2021年10月26日

【お知らせ】保健所の「終わりの見えない闘い」〜ドキュメンタリーを撮った監督に聞く〜=JCJ神奈川支部 

 昨年初めから世界を覆った新型コロナウイルス禍。日本ではこの秋ひとまず収束の傾向にあるが、いつまた第6波に襲われるかは誰にもわからない。
 そんなコロナ禍の第一線で頑張る「現場」は、いったいどのような状況にあるのだろう。病院での看護師や医師の奮闘は少しずつテレビ番組などで紹介されているが、では、保健所の状況は?。最近完成した映画「終わりの見えない闘い」は、中野区保健所にほぼ1年間カメラを据え、保健師や医師たちの日々を追った現場ドキュメンタリーだ。都が対応しきれない患者の入院先探し、在宅療養者の電話や訪問でのケア、クラスターへの対応など、彼ら、彼女らは家に帰る時間も惜しみ、栄養ドリンクを飲んで頑張っている。だが、まだ終わりは見えない。
 コロナ禍を第一線の保健所で撮り続けた映画監督に、制作過程で見たことや思いを聞きます。

日時11月6日(土) 午後6時〜8時

会場 かながわ労働プラザ(Lプラザ)4階 第5・6・7会議室 
横浜市中区寿町1-4(JR石川町駅 徒歩3分) TEL045-633-5413 

講師 宮崎信恵さん(映画「終わりの見えない闘い」の監督)
宮崎さんは、他にもハンセン病をテーマにした「風の舞 闇を拓く光の詩」などの監督作品があります。
参加費 500円 主催 日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部
            
参加ご希望の方は、下記の電話かメールアドレスまでお申し込みください。

申込み・問合せ 080-8024-2417(保坂)
メールアドレス fdhosaca@theia.ocn.ne.jp

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2021年10月25日

被爆76年 どう引き継ぐ長崎 「市民の歴史」愚直に綴れ 二番手に悩み、資料館も=橋場紀子

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  首相の1分遅刻が注目された平和祈念式典から1か月後の9月9日、長崎市の平和公園では恒例の「反核9の日」の座り込みが行われた。原水禁の共同議長で被爆者の川野浩一さんはマイクを握り、平和祈念式典後の菅義偉首相とのやりとりに触れた。「広島の原爆資料館には総理をはじめ、閣僚もあわせこれまでに50数名が訪れている。では、長崎の資料館には何人が来たのかー」。

首相の訪問なし
  原爆投下の翌年の「慰霊祭」以降、8月9日の「平和式典」に現職の首相が参列したのは1976年が初めてで、広島から5年遅れた。長崎原爆資料館によると、96年の開館からこれまで現職の首相が同館を訪問・視察したことはない(前身の国際文化会館には84年に中曽根康弘首相(当時)が来訪。現資料館には延べ4人の閣僚が訪れている)。「海外では『広島・長崎に来て、原爆被害の実態を見てほしい』と訴えながら、総理はなぜ、誰一人として長崎には来ないのか」、川野さんは語気を強める。

相次いで鬼籍に
 今年、地元メディアは盛んに被爆者団体の活動継続への不安を書きたてた。被爆者援護と核兵器廃絶運動、そして被爆体験の継承をけん引してきたいわゆる「被爆地の顔」となる被爆者がここ数年、相次いで鬼籍に入った。あわせて、長崎被災協の場合、コロナ禍で修学旅行生や観光客がぱったりと止み、事務所1階に入った土産物屋が撤退。テナント収入を見込んでいた活動資金に大打撃を与えた。また、県被爆者手帳友愛会は、前会長の後任選びが難航した経緯を持つ。
 「怒りの広島」「祈りの長崎」と長く言われ、長崎は都市の規模が大きな広島の「次」、後塵を拝するイメージがつきまとう。オバマ米大統領は長崎には来ず、ローマ教皇は広島にも寄る。常に二番手であるものの、人数が少ないからこその平和活動の「まとまり」(田上市長が「チーム長崎」と評した)は長崎の強みであった。しかし、被爆者団体だけでなく、被爆二世や労働組合までも高齢化し、平和活動を支えられなくなりつつある。
 被爆二世で、平和活動支援センターの平野伸人所長は長崎の現状について、「基礎体力がなくなっている」と憂う。平野さんの活動は幅広く、在外被爆者や中国人強制連行被害者、被爆体験者の救済・支援に加え、高校生平和大使など若い世代のサポート役も担う。8月9日を前に、メディア取材が最も集中する一人だ。しかし、ここ数年、様相が変わってきたと平野さんは感じている。

本質ぼけている
 「『被爆』という言葉がつかなければメディアは興味も示さない。全国で報道されるが、広島・長崎はこうでなければいけない、と凝り固まってしまっている」と指摘する。分かりやすく共感を呼びやすいストーリーが描けたとしても、内外の戦争被害者を追い続けたり、読者・視聴者に多様な視点を提供したりはできず、「問題の本質がぼけているのではないか」(平野さん)と手厳しい。
 もはや、被爆者、戦争体験者の声が聴ける本当に最後の時代だ。原爆被害だけでなく、いったい先の戦争は何だったのか、「市民の歴史」を愚直に綴れ、「取り残された者は本当にいないのか」と長崎は問われている。被爆者と共に在る残り少ない「8月9日」だったのに、政権末期を象徴したとはいえ全国からは「首相の1分遅刻」で描かれてしまう−その溝もまた、長崎の課題である。
 橋場紀子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年10月24日

【今週の風考計】10.24─本当にコロナ感染拡大は治まったのか、油断大敵!

飲食店の短縮営業が、25日から全面解除! 酒の提供制限・夜8時も撤廃。11月に入れば「Go To イート」食事券の利用まで再開する。
 観光業界が手ぐすね引いて待つ「Go Toトラベル」も、装いを新たにして始まるだろう。それもこれもコロナ感染拡大が収まり、経済を回していく措置の引き金にするためという。

22日の新規コロナ感染者数は日本全国で325人、死者は12人と激減。東京都ではここ1週間連続で新規感染者が50人を下回り、22日は26人、今年の最少水準となっている。
なぜか。8月以降、急速にワクチン接種が進み、感染拡大にブレーキがかかった、それが減少の要因だと指摘されている。だが医者や感染・疫学の専門家も確定的な理由が挙げられず首を傾げている。
 政府のコロナ対策が急激に進んだとも、繁華街への人流が急減したとも思えないのに、ワクチン接種だけで、こうも激減するのか、もう一つ、頷けない気持ちが誰しも残る。

その一方、北海道や青森などでは「リバウンド」、すなわち再拡大への兆候が見られると、警鐘が鳴る。冬を迎え気温と湿度が下がるにつれ、コロナ感染が広がりやすい環境になるからだ。
 また早めにワクチン接種を受けた人は6カ月が経過、感染予防効果が下がって感染の度合いが高まる。いわゆる「ブレークスルー感染」の危険も増す。
専門家は「第6波は必ず来る!」という。この兆候を早期に掴んで抑え込むには、ワクチン接種の加速、PCR検査の徹底が重要だと呼びかけている。
 あわせてコロナ感染による軽症・中等症への治療対策、宿泊療養の体制を充実させる取り組みが重要になっている。

世界全体でみれば、感染者は1日あたり47万人、死者8千人と増え続ける。ワクチン接種率が高い英国でも再拡大が進み、1日に新規感染者が5万人、若い世代の感染は深刻だ。
ロシアでは、デルタ株より感染力の強い新しい変異型ウイルスが猛威を振るっている。20日、1日あたり新規感染者数は3万4千人を超え、死者も1028人と過去最悪を更新。30日から1週間、ロシア全土で出勤を禁ずる「非労働日」が実施される。
 まだまだコロナは抑え込むどころか、感染拡大が止まらない。日本も世界の現実を直視し、万全を期すべきだ。

期待していいニュースがある。米国のメルク社が開発中の「モルヌピラビル」である。コロナウイルスの増殖を抑える飲み薬で、発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果がある。
 認可されれば世界で初めて実用化される。外来で診断された患者に対し使えれば、医療機関の負担は大幅に軽減できる。
 日本でも導入に向け、政府は力を尽くしてほしい。(2021/10/24)
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2021年10月23日

【映画の鏡】『屋根の上に吹く風は』─冒険に満ちた自由な教育 主体的・対話的で深い学びとは=鈴木賀津彦

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 コロナ禍の今、オンライン教育で四苦八苦している都会の学校教育と対比しながら見ると、とてもタイムリーな映画だと感じた。
 鳥取県智頭町の山あいの里山にある新田サドベリースクールという「学び舎」の素顔を、1年以上にわたり追ったドキュメンタリー。子どもたちが屋根の上に助け合いながら登り、怖がりながらも飛び降りにチャレンジするシーンから始まるのが象徴的だ。

 スクールの説明書には「先生・カリキュラム・テスト・評価のない学校。子ども達の好奇心に沿った遊びや体験から学んでいく学校です。何をして遊ぶか、何を学ぶか、すべて自分で決める自由があります」とある。それで学校なの?と言われるかもしれないが、ご指摘の通り学校としては認められず、いわゆるフリースクールである。

 少々型破りにも見えるが、子どもの主体的な学びを重視して、ルールづくりからサポートの大人のスタッフを選挙で決めることまで、子供の意思を尊重する徹底ぶりはみごとだ。「なんでもやってみたらいいんよ」「みんなで話し合ってみたら」。大人が指示を出さないように悩みながら子どもと対話する様子は、従来の「教えるプロ」としての教師像を打ち破ってくれる。

 大人の対応に、実は子どもたちも悩む。自由って何だろう? 指示されないので何もしなければ、ただ退屈な時間だけがすぎていく。「案外、自由って難しい?」

 この子どもと大人の葛藤、これって新しい学習指導要領が強調する「主体的、対話的で深い学び」の実践だよね、と気付かされる。指導要領の解説映像にしてほしい作品だ。浅田さかえ監督。2021年10月 ポレポレ東中野ほか全国順次公開予定
鈴木賀津彦
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年10月22日

【フォトアングル】朝鮮人追悼式典 伝統舞踏家・金順子さんが鎮魂の舞を献じる=酒井憲太郎

                            
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「6千余名の朝鮮人の命が奪われた」1923年の関東大震災から98年。朝鮮人犠牲者追悼式典(同実行委員会主催)がコロナ対策のため一般参加なしの、オンライン生中継開催となった。5年連続で追悼文を出さなかった小池百合子都知事を批判する挨拶が続いた後、韓国無形文化財の伝統舞踊家・金順子さんが追悼碑の前で鎮魂の舞を献じた=1日、東京都墨田区・横網町公園、酒井憲太郎撮影
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年10月21日

【おすすめ本】謝花直美『戦後沖縄と復興の「異音」 ─米軍占領下 復興を求めた人々の生存と希望 』─復興と生活の軋みから漏れ出る「異音」を掬い出す=栗原佳子(新聞「うずみ火」記者)

 「沖縄タイムス」記者 として沖縄戦、沖縄戦後史を長年取材してきた著者は2010年、1年間休職し、大阪大学大学院の門を叩いた。本書は18年に博士号を取得した論文を再構成した労作だ。
 沖縄戦から米軍占領下で生き延びた命をつなぎ「復興」を目指した市井の人々を主人公として描く。 例えば「ミシン業」の女性たち。戦争で夫を失ったり、米軍基地に土地を奪われたりした人々が生活の糧とした。手内職の「既製品」を立ち売りする商売は「新天地市場」へと結実した。
 故郷を那覇軍港に接収された那覇市「垣花」の人々の軌跡も辿る。軍労働に伴う移動を繰り返した結果、離散。
 一方、那覇の「復興」の陰で旧真和志村(1957年那覇市編入)の農村復興の希望は潰えた。米軍の占領施策が、全てに優先される時代とはいえ、「抗うべき相手は占 領下で同様に苦しむ沖縄の人々だった」のだ。

 しかし56年、人々の怒りは「島ぐるみ闘争」として爆発した。著者は米軍住宅で働いた女性たちの「気持ちまでは取られない」という言葉に象徴される、人々の気持ちが島ぐるみ闘争へつながったのだと述べる。
 沖縄戦、沖縄戦後史の体験者や不条理に泣く人々の声に耳を傾けてきた著者だからこそ、女性のつぶやきを聞き留め、主流の歴史には表出してこない無数の「異音」を 聞きわけたのだろう。
 来年は復帰50年という節目。復帰とは何だったのか。いまを考えるには沖縄戦後史を知ることの大事さを、改めて教えられた。沖縄からの「異音」は聞こえるか。私たちが問われている。(有志舎2600円)

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2021年10月19日

【スポーツ】3大懸念の北京冬季五輪=大野晃

 来年2月4日の北京冬季五輪開幕まで3カ月余りに近づいた。2008年夏季五輪に続く、史上初の夏冬五輪同一都市開催であり、2018年韓国の平昌冬季五輪から東アジアでの3五輪連続開催の締めくくりとなる。
  東京五輪の教訓が生かされるか注目される。新型コロナウイルス感染症の感染収束が見えない中で、国際オリンピック委員会と同五輪組織委員会は海外からの観客受け入れを断念した。
  熱烈な応援の中国観客が圧倒的に取り巻く中でのメダル争いとなる。
 海外の競技者が参加してテスト大会が始まっているが、東京五輪と同じ隔離と検査漬けを特徴とする感染防止対策が徹底されるようだ。東京五輪が都民の感染爆発を招いたように、地元民の感染拡大に不安はないのか。
 競技は混合種目が増えて7競技109種目と史上最多に膨らんだ。会場は3地域に分かれ、スケートなど屋内競技は北京市内に集中し、アルペンスキーとそり競技は北部の延慶区で、ノルディックスキーなどは北 京市から約160`離れた万里の長城に近い張家口市で行われる。

  近年の冬季五輪で最大の課題は、雪不足など温暖化による自然環境対策。人工雪で克服するというが、スムーズに競技できるかは未知数だ。 
 しかも、米中対立の厳しい国際情勢が左右しかねない。バイデン米政権には政府関係者の参加ボイコットの声もあり、中国の人権問題が障害になる恐れがある。
  国際政治に振り回され、政府がボイコットを言い出したら、日本オリンピック委員会は、どう対応するのか。
  夏季五輪で中国批判を繰り返したマスメディアだが、踏襲するだけで、メダル獲りに大騒ぎか。
北京で2度目の五輪開催は、コロナ禍での社会問題、温暖化の自然環境問題、そして複雑な国際問題と、3大懸念を抱えた、むずかしさを示す。
 3五輪連続開催が、アジアのスポーツ発展に何をもたらしたかを見つめ直す場でもある。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


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2021年10月18日

【支部リポート】神奈川 「カジノはいらない」横浜市長選に市民の思い=伊東良平

 神奈川支部では横浜におけるカジノを含むIRを反対する立場から、横浜カジノの是非を自ら決めようという「市民の会」などの活動を追跡取材して支部通信に掲載してきたが、その審判となったのが、8月22日に投開票が行われた横浜市長選挙であった。
 大きく報道されたように、カジノの「断固反対、即時撤回」を訴えた立憲民主党推薦の元横浜市立大学教授・山中竹春氏が現職閣僚を辞めて立候補した自民党の小此木八郎氏をはじめ過去3回当選の現職市長、元県知事の2人らを抑えて当選を決めた。菅首相のお膝元で全面的に支援した小此木氏の敗北はその後の菅首相の総裁選不出馬=事実上の退陣につながったのはご存じのとおりである。
 山中氏は医学部教授の立場でコロナについてテレビのワイドショーにゲスト出演していたとはいえほとんど無名の新人である。その知名度アップのために「市民の会」などの諸団体や労組、市民ボランティアが一体となって草の根的な宣伝活動を行った。多くの駅前でのビラ配布や政策チラシのポスティングなど、押し上げに力を発揮した。
 自民・公明が事実上応援した小此木氏が「IR誘致取りやめ」を表明したために、自民党の一部市議がIR推進の林前市長を支持して保守分裂に助けられた面もあるが、IRを反対する候補者も田中康夫氏など知名度のある人が立って票が割れたことを考えると、山中氏の善戦は際立っている。
 コロナ対策が後手となった菅政権の中で、横浜市はさらにワクチン接種が遅れるなどの状況であり、専門の立場で「データと科学的知見に基づくコロナ対策」を政策に掲げて、カジノだけでなく、コロナで得票を伸ばしたのが大きかったと言える。
 山中新市長は9月10日市議会で、IR誘致の撤回を正式に表明した。ここに2014年以来8年間続いてきたカジノ反対運動にピリオドが打たれた。結果が出た後で敗戦の辞を述べた林前市長は「IR誘致表明以来、反対の嵐のなかを生きてきた」と述べたが、反対の嵐を呼び寄せたのは、カジノはいらないという一人ひとりの市民の熱い思いが作った大きな台風の眼であった。
伊東良平
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年10月17日

【今週の風考計】10.17─総選挙のテーマに忘れてならぬ食料自給率37%

★岸田政権が解散・総選挙に打って出た。だが、この4年間、民主主義をことごとく踏みつぶしてきた安倍・菅政権の「悪弊」は、未解決のままだ。
 森友学園問題での公文書改ざんに始まり、<桜を見る会>では安倍元首相の118回に及ぶ国会での虚偽答弁、河井議員夫妻の選挙買収事件など「政治とカネ」に絡む不正、学術会議の6名任命拒否などなど、ほったらかしでよいわけがない。

★岸田政権は、本当に「悪弊」を断ち切れるのか。残念にも、もういち早く「岸田<3Aリモコン>政権」は、解明や説明責任に背を向け、逃げの姿勢へと走っている。
 しかも「所得倍増論」は消え「金融所得への課税強化」も行方不明、その代わり憲法改定には早期の実現を目指し、さらにGDP比2%への軍備増強、敵基地攻撃能力の開発・強化など、タカ派政策を打ち出している。まさに安倍・菅政権の継承ではないか。

★31日の投開票日に向けて、じっくり岸田政権の政策を吟味しよう。アベノミクスの弊害、原発依存、ジェンダー平等社会への取り組み、気候変動とCO2 削減、どう対処し解決への処方箋が示されるのか、野党共闘の力を結集しての論戦も大いに期待したい。そして国民の声が生きる政治へと切り替えたい。
★その際、日本の農業問題もクローズアップしてほしい。16日は国連が定めた「世界食料デー」、月末まで飢餓や食料問題を考え、2030年までに「飢餓ゼロ」の目標に向け行動する。
 いま日本は、コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っている。貯蔵されている過剰米がダブつき、米価が昨年と比べ2割から3割下落し、1俵(60キロ)1万円を下回る銘柄も続出。生産コストに1万5千円を要するのに、これでは破産するしかない。
★米価の回復には、過剰米と新米との連動性を絶ち、米価下落を防ぐ措置、すなわち過剰米を政府が買い上げることがどうしても必要だ。15万トンの買い上げでは追いつかない。

★しかも国内需要の1割に及ぶ77万トンものミニマムアクセス米を、外国から輸入し続けるのは不条理そのもの。もっと日本のコメ農家の悲鳴に向き合うべきではないか。
 もともと国民が必要とし消費するコメなどの食料は、できるだけその国で生産するという、「国消国産」の考え方が根本になければならぬ。
★現在、日本の食料自給率は37%、過去最低の水準だ。安倍政権が進めた「官邸農政」は、世界の競争に強い農業を謳い、大規模化と外国企業の参入に道を開き、日本農業を壊滅状況に追い込んでいる。
★外国や多国籍企業の利益のために、種子法の廃止や種苗法の改悪など、日本の食料主権を譲り渡す農業政策はやめさせねばならぬ。
 減反政策などで一度荒れてしまった農地から、農作物を収穫するには、最初から土づくりや水の管理、病害虫対策など、一からやり直しだ。まさに「農業枯れて国滅ぶ」。(2021/10/17)
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2021年10月16日

【沖縄リポート】安部―菅支配が遺した惨憺たる現状=浦島悦子

                         
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 菅総理大臣の突然の辞任表明には驚いたが、同時に当然の自滅だと思った。権力に固執する最後の悪あがきが「墓穴」をより深く掘ったのだろう。
 安倍政権誕生以来、長期間続いてきた安倍―菅強権支配は、日本という国に多大な禍根を残したが、沖縄ではそれがよりいっそう露骨かつ過酷に表れた。それは惨憺たる現状を見れば明らかだ。
 民意も地方自治も一顧だにせず、国が「粛々と」強行する米軍新基地建設工事では、サンゴ移植に、水生生物にも人にも有害な接着剤が使われていることが明らかになった。
 米国におもねり、米軍のやりたい放題を追認したツケはすべて県民に押し付けられている。相次ぐ米軍事故や米兵犯罪に加え、宜野湾市や県の猛反対にもかかわらず米軍が普天間基地から強行放出したPFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)汚染水は、半永久的に地域住民の命の水を汚染し、低体重児の出生、免疫力の低下、ガン化などの健康被害が危惧されている。

  9月2日、この暴挙に対し宜野湾市・うるま市の市民らが、米軍司令部(北中城村石平在)前で緊急抗議集会を行った(写真)。コロナ禍の中、平日の午後にもかかわらず150人以上が集まったことは危機感の大きさを物語っている。
 陸上自衛隊がうるま市勝連分屯地にミサイル連隊本部を置くことも報道された。琉球諸島4か所のミサイル部隊を指揮統括するという。米国の対中国戦略の楯として沖縄を差し出そうというのだ。
 国策に従わない民にどんな仕打ちをしてきたかも沖縄ではよく見える。わが名護市は来年1月に市長選を控えているが、前回選挙で、新基地建設に反対する前市長を何としても潰すために、菅官房長官(当時)が自ら采配を振るったことを忘れるわけにいかない。
 私たちが望む政権交代も今衆議院選では厳しいだろう。せめて自民党議席を大幅に減らし、政権の暴走を止めたい。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
 
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2021年10月15日

【JCJオンライン講演会】「メディアの地殻変動」――ゼロベースで新たなジャーナリズムを―― 10月30日(土)午後2時から4時まで

                           
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講師:ジャーナリスト・神保哲生氏
(日本ビデオニュース株式会社代表取締役、インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』代表・編集主幹)

司会・進行役:立教大学教授・砂川浩慶氏(ジャーナリズム論)
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 新聞やテレビなど既存の大手メディアは十分に報道の役割を果たしているか。首相会見の場に流れる「お行儀の良い」空気。視聴者が知りたいことを突っ込んで聞く質問も少ない。自民党総裁選報道でも「劇場」を演出することに、メディアが場を貸したような形になった。コロナ問題を含む根本的な政策批評と検証は極めて少ない。このままでは報道は劣化する一方だ。神保氏は根本的に、ゼロベースからジャーナリズムを構築し直すべきと語る。そこにある意図、考え、具体策などを立大の砂川教授を聞き役に、引き出してもらう。

参加費:500円
peatix(https://chikakuhendo.peatix.com/)で申し込まれた方々に講演前日の10月29日までに、Zoomで視聴できるURLをメールでお送りします。
【JCJ会員は参加費無料。onlinejcj20@gmail.com に別途申し込んでください】
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)電話03・6272・9781(月水金の午後1時〜6時)
メール office@jcj.sakura.ne.jp  ホームページ http://www.jcj.sakura.ne.jp/
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2021年10月14日

【おすすめ本】原 武史『歴史のダイヤグラム 鉄道に見る日本近現代史』─鉄路にまつわる大事件から列車での小さな出来事まで=萩山 拓(ライター)

 歴史は鉄路で作られる─といっても過言ではない。本書の内容は副題が的確に表している。
 今年は満州事変から、ちょうど90年。1931年9月18日の夜、中国東北部・奉天(現在の瀋陽)近郊の柳条湖で、南満州鉄道の線路が爆破された。当初、中国兵による 不法な襲撃とされたが、実は日本の関東軍が仕組んだ謀略だった。
 本書は、まさに鉄路が絡む大きな事件から、鉄道を介して展開される小さな出来事まで、まったく知られなかった近現代史の実相が、著者の豊富な鉄道知識を通して、浮かび上がってくる。

 「第一章 移動する天皇」では、「神を載せる車両」「御召列車の政治的効果」に触れて、次のような記述がある。
 「御召列車とすれ違う列車の便所は使用禁止になったばかりでなく、名古屋や京都などの停車駅は構内の便所などが幕でおおわれた。聖なる天皇の視界に便所が入ってしまうこと自体が、おそれ多いと見なされたのだ」
 以下、「郊外の発見」「文学者の時刻表」「事件は沿線で起こる」「記憶の車窓から」と章題をつけ、荷風が見た井の頭線の田園風景、ダイヤ改正と「点と線」の4分間トリック、丸山眞男が聞いてメモした車中の政治談義、 最後はポーランドを訪れた際のワルシャワのトラムと食堂車での体験が綴られている。

 私事で恐縮だが、筆者も5年前、ポーランドを旅して体験した記憶が、著者の記述で甦る。クラクフからワルシャワヘ行く特急列車ペンドリーノに乗り、連結されたビュッフェで、ビール「ジヴィエツ」を瓶から飲み、サラダとケバブを挟んだ丸いパンにかぶりついた。その味が忘れられない。
 本書は朝日新聞の土曜別刷り「be」に連載のコラムを新書化。各テーマ3ページ・写真付きで、どこから読んでも面白い。(朝日新書850円)

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2021年10月12日

【スポーツ】身勝手な国際感覚=大野晃

 大相撲をリードした横綱・白鵬が引退した。 横綱として15年間にわたり、野球賭博問題や八百長問題、東日本大震災やコロナ禍など、大相撲が揺れ動いた苦境の時代を乗り越え、45回の優勝など数々の記録を樹立した。
 少年時代にモンゴルから来日し、厳しい環境の中で、鍛錬を積んで頂点に立ち、米国ハワイ出身の高見山以来続く外国人力士が日本伝統の大相撲を支え発展させた象徴的な存在になった。
 にもかかわらず、立ち合いの強引さなどで、横綱の品格を批判されることもしばしばだった。
モンゴル出身の後輩横綱・照ノ富士など外国人力士抜きに興行は成り立たないのだが、大相撲関係者などに、外国人力士への差別意識が根深いようだ。
 米国大リーグで、大谷翔平投手が2桁勝利、2桁本塁打で本塁打王の、二刀流の偉業に迫った。 神様ベーブ・ルース以来、103年ぶりの快挙をファンは固唾をのんで見守った。日本人競技者の躍進に拍手を惜しまなかった。
 海外で活躍する日本人競技者が多くなったが、海外のファンは喜んで迎え入れている。
 なのに、日本では、海外での成果には大騒ぎはするが、伝統を強調する競技を中心に、外国人競技者を素直に受け入れようとはしない。 スポーツに国境はないはずだが、日本人のスポーツ観には、垣根があるようだ。

 五輪で、日本代表のメダル獲りばかりを追うのは、そのためだろう。ひいきの応援に熱心なあまり、高い能力による競い合いの面白さや競技の醍醐味を、見逃す観戦者が少なくない。
 自ら競技を体験することが、極端に少ないからではないか。学校卒業後は、資金がなければ、挑戦する機会や場がほとんどない。
 「誰もが、いつでも、どこでも」の国のスポーツ振興策が、かけ声倒れになっているからだ。
 国際化を喜ぶファンが多くはなったが、競技は見るだけに限定される状態が続くと、身勝手な国際感覚の温床になりかねない。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
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2021年10月11日

【オンライン講演会】台湾有事の危険指摘 「対中、けんか買う行為だ」半田滋さん=須貝道雄

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 JCJは8月22日、防衛ジャーナリストの半田滋さん(元東京新聞論説兼編集委員)を講師に「日本は再び戦争をするのか?」の題でオンライン講演会を開いた。
 台湾海峡をめぐって現在、米中の緊張が高まっている。半田さんは、米国が対中国に備えて開発している新型の中距離ミサイルの詳細を解説した。地上発射型の超音速滑空ミサイル(LRHW)で、軍事専門サイトによると射程は約2775`を超える。23会計年度までに開発を終える予定だ。
 米国のインド太平洋軍は日本円で約2兆9千億円の予算を投じ、沖縄からフィリピンを結ぶ線に沿って、対中ミサイル網を築くとしている。そのミサイルがLRHW。日本や韓国、台湾に配備すれば、中国本土の約1610`以上の目標を攻撃できる。日本には沖縄本島や宮古島、奄美、石垣島への配備を米軍は求めてくるだろと半田さんは見ている。
 台湾有事について米軍高官の発言が相次いでいる。今年3月にインド太平洋軍のデービットソン司令官は「台湾への脅威は今後、6年以内に明白になるだろう」と明言。次期司令官のジョン・アキノリー海軍大将は同月、中国が台湾に侵攻する可能性は「大半の人が考えているよりもはるかに近いと思う」と議会で話した。制服組トップのミリー統合参謀本部議長も「台湾侵攻がここ1、2年で起きる可能性は低い。ただ6年後、8年後は分からない」と述べた。

 こうした環境の中、4月の日米首脳会談でバイデン大統領と菅首相は52年ぶりに台湾に触れた共同声明を発表。「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記した。
 並行して現場が動いている。海上自衛隊は2018年から3年続けて南シナ海、インド洋に訓練部隊を長期に派遣。日米共同作戦に加えて、中国軍を想定した対潜水艦訓練も実施している。
半田さんは「米中対立の南シナ海に、海上自衛隊は護衛艦や潜水艦を恒常的に派遣している。日米の連携は進むものの、けんかを買って出る行為」と危険性を指摘した。
 敵基地攻撃能力を持つ兵器の準備も日本で進んでいる。1988年4月、時の防衛庁長官・瓦力氏は、相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器の保有は憲法が禁じていると国会で答弁。禁止兵器として@大陸間弾道ミサイル(ICBM)A長距離戦略爆撃機B攻撃型空母などを挙げた。
 半田さんによれば、現在は@のICBMは島嶼防衛用高速滑空弾の開発で、Aの長距離戦略爆撃機はスタンド・オフ・ミサイル(射程500〜1000`)の導入で、B攻撃型空母は護衛艦「いずも」の空母化と垂直離着陸ができるF35Bの搭載で、禁止の壁を突破しつつある。
 今、喫緊の課題は米国が対中ミサイル網を築くため、沖縄などに中距離ミサイルの配備を求めたとき、日本はどうするかだ。米中対立に日本が巻き込まれ、参戦するような事態を避けるため「注文をつけることができるはずだ」と半田さん。韓国やASEAN(東南アジア諸国連合)とも連携して、米国と中国に対し無謀な軍事強化、武力行使を辞めるよう働きかけることが大事になると強調した。    
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年10月10日

【今週の風考計】10.10─米軍のPFAS処理に9千万の税金そして沖縄いじめ

沖縄の米海兵隊が米軍普天間飛行場から、訓練で使用した泡消火剤PFAS(ピーファス)を含む汚染水6万4000リットル・ドラム缶320本分を、低濃度処理したとはいえ、一方的に宜野湾市民が使う公共下水道に流し、大問題になっている。
ご存じPFASは、分解されないまま水中や空気中を漂う。摂取すれば体内に「永遠の化学物質」として残る。しかも人体に肝機能障害、甲状腺疾患、発達障害、がん発症をもたらす。世界各国でPFASの製造・使用が禁止になっている。日本でもこの10月22日に禁止の法令が施行される。

PFAS汚染水は焼却処分が原則なのに、米軍は処理に費用と時間がかかるので、低濃度処理で済ませ、公共下水道を使い基地外に流す、そんな乱暴な計画を日本側に打診していた。日本の環境法令を無視した例外規定を認めさせようという魂胆だったというから、恐れ入る。
 しかも沖縄県が独自に調査する権限は与えられず、米軍が貯蔵している汚染水の量や処理の内容すら確認できないとは、どういうことか。
そこへきて、なんとなんと防衛省が、米軍普天間飛行場内に残る未処理の汚染水、約36万リットル全てを引き取り焼却処分するという。その処分費用9200万円、これも日本が負担するときては、開いた口がふさがらない。
 環境汚染を拡散させ、処理費用まで私たちの税金で負担するというのか。理不尽極まりない。

これら日本政府の米軍迎合、加えて沖縄いじめ″は限度を超える。世界自然遺産登録が予定される「やんばるの森」で活動する、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの不当捜査もその一つだ。
 沖縄県・東村高江の米軍北部訓練場で集めた米軍の廃棄物を、メインゲート前に置き通行妨害したとして、威力業務妨害の疑いで、沖縄県警が彼女の自宅を1時間半にわたって家宅捜索した。
これまで同訓練場跡地から火薬入りの弾薬、野戦食の袋や大量の瓶などが見つかり、27年がたった今も大量に放置されている。米軍は沖縄をゴミ捨て場と考えているのか。県民の家宅捜索より、まずゴミ放置に抗議し取り締まるのが先きではないか。

もう一つ、沖縄いじめ″の典型が、沖縄戦で犠牲となった人々の遺骨が混じる土砂を、米軍の辺野古基地建設に利用する企てだ。あまりにも人道を顧みない日本政府の方針は、「戦没者への冒瀆」だとして、数多くの自治体が「遺骨の混じった土砂の埋め立て利用に反対する」意見書を採択している。
先月末までに沖縄県内11、県外45の地方議会から意見書が国へ送付されている。都道府県別では、沖縄以外では大阪の10が全国で最も多い。
 米軍の治外法権を許し、米軍基地を沖縄に押し付ける政治は、本当に変えなければならぬ。(2021/10/10)
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2021年10月09日

【リアル北朝鮮】長引く経済的苦境 不良青年≠スちを建設現場に=文聖姫

 8月28日は北朝鮮の「青年節」だ。今年は60周年とあって、とりわけ大きなイベントが開催された模様だ。地方も含め1万人以上の若者たちが平壌に集まり、大会などに出席しただけでなく、コンサートを観覧したり、夜会に参加したり。夜間営業が基本の遊園地で絶叫マシーンにも興じた。
 そんな彼らにとって、一番の栄誉は金正恩朝鮮労働党総書記と会って写真を撮ったことだ。北朝鮮で最も栄誉とされるのは、「最高指導者との接見」だ。記念写真は家宝である。北朝鮮の家を訪れるとわかるが、歴代の最高指導者と写した写真は必ず家の一番良い場所に掲げられている。1万人といえば、本人の顔は米粒のようでほとんどわからないが、それでも一家の誉なのである。
 ところで、この「青年節」に際し、金正恩総書記は、困難で過酷な経済建設現場に自ら志願して行くこととなった若者たちに祝賀文を送った。そこでこんなことを言っている。「私が何よりうれしいのは、立ち遅れた青年たちが愛国で団結した社会主義愛国青年同盟の一員らしく、母なる祖国のために自らを捧げる立派な決心を抱き、困難で韓国な部門に進出することで人生の再出発をしたことです」。
 「立ち遅れた青年」とは、北朝鮮流にいえば、非社会主義行為を働いてきた若者たちを指すのであろう。非社会主義行為にはいろいろあるが、たとえば韓流ドラマをひそかに見ることも当てはまる。最近では服装の乱れなども非社会主義的行為とされる。それだけ当局が若者たちの非行に頭を痛めている証拠だろう。
 金総書記は、困難で過酷な建設現場へと向かう、かつての不良青年たちに会い、写真まで撮った。何とかして若者たちの心をつかみ取りたいという気持ちが伝わってくる。
 長引く経済制裁に相次ぐ自然災害、さらには新型コロナによる国境封鎖で経済的困難にある北朝鮮。最近の若者懐柔策を見ていると、北朝鮮の苦境が伝わってくる。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
 

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2021年10月08日

【出版界の動き】コロナ禍のなか、出版社・取次・アマゾンの攻防が激化

◆2021年上半期(1月から6月累計)の出版市場は8632億円(前年同期比+8.6%)、電子2187億円(同+24.1%)─紙の出版物販売金額6445億円(同+4.2%)と、2期連続で増加。この出版物販売額は取次ルートのみで、直販は含まれない。
 書籍3686億円(同+4.8%)、雑誌2759億円(同+3.5%)、月刊誌(コミックス・ムック含む)2331億円(同+5.7%)、週刊誌428億円(同-7.2%)。
 電子出版市場は、電子コミック1903億円(同+25.9%)、電子書籍231億円(同+20.9%)、電子雑誌53億円(同-11.7%)。

◆講談社とアマゾンの間での直接取引が始まる。当面の対象は「現代新書」「ブルーバックス」「学術文庫」の既刊本。すでにKADOKAWAを初め、直接取引の出版社は3600社に及び、アマゾンが取次を経ないで出版物を販売するシェアは急伸長する。
 昨年(2020)の国内通販市場は10兆6300億円(前年比+20.7%)、そのうちアマゾンの売上高2兆1848億円(同+25.2%)と5分の1を占める。この伸びが出版界にも及ぶのは間違いない。
◆集英社の決算─売上高2010億円(前年比+31.5%)、過去最高額を記録。コミックス617億円、(同+43.1%)、デジタル・版権などの事業収入936.4億円(同+35.6%)、書籍178億円(同+72.4%)、雑誌200億円(同-3.8%)。
 とりわけ電子コミックと映画関連の活況により、デジタル449億円(同+42.5%)、版権367億円(同+25.6%)の伸びが著しい。

◆文藝春秋のニュースサイト「文春オンライン」8月の純PV(ページビュー)が月間6億3094万PVに達し、17年のサイト開設以来、最高となった。
◆角川春樹事務所が、10/15に発売の稲田幸久『駆ける 少年騎馬遊撃隊』(第13回「角川春樹小説大賞」の受賞作)に対し、「書店マージン35%」を実施する。
 来年4月発売のシリーズ「にほんの詩集」(全12巻)でも、「書店マージン35%」の販売施策を検討している。

◆三省堂書店・神保町本店のビル、及び隣接する第2、3アネックスビルが建て替え。総敷地面積530坪、延べ売り場面積1050坪の神保町本店は2022年3月下旬に営業を停止、4月から解体工事が始まる。
 新ビル竣工は2026年頃。新ビルの規模・内容は未定。なお、この期間、仮店舗で営業を継続する。
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2021年10月07日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】ラジオ視聴者増える ラジコ人気が貢献

                           
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 ラジオを聞く人がコロナ禍で増えていることが伝えられたのは、2020年2月ごろからだ。
ビデオリサーチによると首都圏のラジオ局5局の週別平均聴取人数(1分当たりのラジオ聴取人数、推計)では20年2月から3月では80万人だったのが、4月に入ると週90万人に増加したことがわかっている。その後も90万人前後が続いるとみられる。
 同社が12歳〜69歳の男女5000を調査したところ、コロナ禍での行動の変化について「ラジオを聞く時間が増えた」人は2.6%だった。
 
900万人
 ラジオは従来AMやFMのラジオチューナーでしか聴けなかったが,2010年ラジオがインターネット機器で聴ける「ラジコ」が始まった。ラジコは当初居住している地域のローカルラジオに限定されていたが、2014年から月350円で全国のラジオが聴ける「ラジコ・プレミアム」が始まった。さらに2016年には1週間以内であれば放送時間外の番組も聞ける「タイム・フリー」機能が追加された。
 ラジコによると、月間ユーザー数はコロナ禍以前の昨年2月から約1ヵ月の間で約150万人増加し、900万人を超えた。 さらに、10代リスナーの30%が昨年3月以降にラジコの利用を開始しているという。
 ラジコはiPhoneなどのケータイはもとより、家庭でパソコンでもアプリを入れれば聞くことができる簡便さで大きく伸びた。加えて、多数のラジオ番組がSNSやYouTubeと連携した番組作りをしているのも、ラジコの存在があってのことだ。ラジコの大幅増加の背景には外出自粛や休校、加えてテレワークの広がりなどがある。
 日経ビジネスのアンケートでは、コロナ禍でラジオを聴く機会が大幅に増えた14.3%、やや増えた 34.1%と、ラジオを聞き始めた人の半数はコロナ以降だ。
 どのような機器でラジオを受信しているか調べてみた。据え置き型ラジオ、CDカセット付ラジオ、カーラジオ、カーナビ。ケータイ端末、パソコンなどだ。ラジコはカーナビ、ケータイ、パソコンなどで横断的に聴取できる。

聴取者像は
 ラジオを聴く時間帯はこれまでのカーラジオ時代であれば出退勤時や受験生向けの深夜そして日中も主婦、高齢者の一定の高さが続いていた。しかし今回の日経調査では21時以降、24時以降が他の時間帯を大きく超えるという特徴を見せた。
  関西で人気のラジオ局FMCOCOROでは、大阪府に初めて緊急事態宣言が出された2020年4月上旬頃から、「新たに聴き始めた」、「今までも聞いていたが、リクエストするのは初めて」などといったメールなどによる反応が急激に増えたという(読売新聞大阪版、20年7/11夕刊)。またTokyo FMでは、ある番組が番組放送後、不定期に「オンライン飲み会」を開催しているのだが、時に参加者が1万人をこえることがある(朝日新聞東京版21年5/24夕刊)。これらの情報はラジコが威力を発揮し始めていることを示している。
 また15〜19歳の若者のうち3割が「コロナ禍以降ラジコで番組を聞き始めた」という調査もある。20代から30代も「日常的にラジオを聴いている」という。好きな芸能人やアーティストの生の声を聴きたいという若者を呼び込んだとみられる。在宅勤務でテレワーク中の中年世代でもラジオを聴く習慣が身に付き始めているようだ。

特集が相次ぐ
 ラジオの魅力に着目、大型の特集を組む雑誌が相次いで刊行されているとの報道が伝えられた。「RUTUS」3月号で「なにしろラジオ好きなもので」、「TV Bros.」2月号、ラジオ特集、「日経トレンディ」2月号、ヒットをなぜ生み出せるか、「週刊金曜日」8月20日号、ラジオが面白い、などである。ラジオと雑誌は規模や受け手との距離が似ている。コロナ禍で改めてラジオの双方向性やリスナーとの距離感に着目した企画が多く、報道系の番組では話し手がのびのびと語れる、などの記述があった(民間放送9/22)
 21年6月、関西圏のラジオ聴取率調査が行われた。明らかになった事実は、FM Cocolo765とFM802が地上波局(ABC, MBS, NHK大阪)を抑えて聴取者の支持を得ていることであった。50代男女の場合の関西ラジオ支持率を例示してみよう。
1,FMCOCOLO765 20.3%、2.FM802 15.7%、3,MBS 15,6%、4,ABC 14.6%、5,FM大阪 6.7%、6,NHK第1 6.6%。ちなみに、FMCOCOLOの20.3%という数字は、一週間に135万人の視聴者がいることを示している。
 以上のデータで見る限りAM局を上回るFM局の活躍が目立つ。現在のAM局は数年後には新たなFM周波数に転換するが、その備えが出来ているかを問う必要があるだろう。
 ともあれ、ラジオは新たなメディアに再生しつつある。しかも聴取者の身近に存在するという特性を持つメディアでもある。今後のラジオの新たな発展に注目する必要がある。
 
番組ベストテン
  最後にどんな番組に人気が集中しているのか、見ていただきたい(日経ビジネス2/19)。
 ワイド系
1. ニッポン放送、オードリーのオールナイトニッポン。2.ニッポン放送、Creepy Nutsのオールナイトニッポン。3.Tokyo FM、福山雅治 福のラジオ、4.ニッポン放送 菅田正暉のオールナイトニッポン、5.Tokyo FM、山下達郎の楽天カード サンデー ソングブック。6.TBSラジオ、赤江珠緒たまむすび。
 アイドル系
1. ニッポン放送、Six Tonesのオールナイトニッポン。2.ニッポン放送、藤ヶ谷太輔 Peaceful Days。3.NHKラジオ第一、らじらー!。 
隅井孝雄(ジャーナリスト)
 
 
posted by JCJ at 01:00 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする