■明日4日、やっと臨時国会が召集される。約4カ月も国会審議から逃げてきた菅首相に代わり、岸田文雄・新総裁が首班指名を受け、岸田政権がスタートする。
しかし、総裁選後の自民党役員人事を見れば、「院政・リモコン政権」とか「背後霊のようにキングメーカーに睨まれる政権」とかいわれ、すでに3A(安倍・麻生・甘利)に主導権を握られているのは間違いない。
■とりわけ自民党幹事長に就いた甘利明氏は、2016年に建設会社と総額1200万円もの金銭授受疑惑が表面化し、経済再生相を辞めた経緯がある。その後、安倍政権下の黒川検事長の差配により不起訴処分となったが、スネに傷がある身。いまだに説明責任を果たしていない。
■2019年の参院選・広島選挙区で繰り広げられた、河井克行・安里夫妻の大規模買収事件を思い起こそう。二階幹事長時代に党本部が提供した1億5000万円、その使途や投入理由は闇のまま。夫妻ともども有罪となったにもかかわらず、独自調査もおこなわず幕引きを狙う。
幹事長といえば自民党の金庫番。甘利幹事長も自分への疑惑が再燃しないよう、「政治とカネ」をめぐる臭いものにフタをしてしまうつもりだ。
■さらに総裁選を争った高市早苗氏は、安倍元首相のお気に入り。岸田政権の立役者、その貢献に報いて政調会長に就く。
だが、その政治姿勢は超保守。靖国神社への参拝のみならず中国を視野に敵基地攻撃能力の開発を促し、夫婦別姓に反対するなど、保守リベラルを自任する宏池会出身の岸田首相は、どう対応するのか。
■菅政権の「2050年カーボンゼロ」政策すら、「再生可能エネルギー最優先」を原則にした基本計画を見直すという高市氏が、政調会長に就任した以上、「それなりに揺り戻しがあるだろう。それが権力闘争の現実だ」と、小泉環境相は1日の記者会見で述べている。
■森友学園への国有地払い下げをめぐる疑惑も晴らされていない。「安倍案件」として公文書改ざんまで引き起こし、その作業に従事した近畿財務局の赤木俊夫さんが自死するという痛ましい事件にも、依然としてホッカムリ。
その麻生財務相は副総裁に横滑りとくるから、「安倍・麻生」ラインはいまだに健在、恐れ入る。
■安倍元首相が開催してきた「桜を見る会」への招待者や会費をめぐる疑惑も、闇のまま。
さらに学術会議の会員6名の任命拒否から、ちょうど1年がたつ。拒否理由さえ説明しない事態が続いている。岸田政権の初仕事は、即時、6人の任命だ。
■臨時国会の会期は14日までの、わずか11日間。8日には岸田首相の所信表明演説、11日から3日間、衆参両院で各党の代表質問が行われる。これで終わり。野党が求める予算委員会の開催すら拒否。これで国民の前に岸田政権の政治姿勢が明らかになるだろうか。
10月から食品が軒並み値上げというのに、生活やコロナ対策への具体案が不透明なまま、総選挙になだれ込むとは、まさに国民を愚弄するのも甚だしい。
■14日に国会を解散すれば、衆院選の投開票日は11月7日か14日という。「安倍・菅政権」を継承する「岸田<3Aリモコン>政権」を打ち破るには、実りある野党共闘しかない。ついに立憲民主党と共産党が「新政権」では閣外協力を前提に、選挙協力することで合意した。両党、力を合わせ頑張ってほしい。(2021/10/3)