2021年10月08日

【出版界の動き】コロナ禍のなか、出版社・取次・アマゾンの攻防が激化

◆2021年上半期(1月から6月累計)の出版市場は8632億円(前年同期比+8.6%)、電子2187億円(同+24.1%)─紙の出版物販売金額6445億円(同+4.2%)と、2期連続で増加。この出版物販売額は取次ルートのみで、直販は含まれない。
 書籍3686億円(同+4.8%)、雑誌2759億円(同+3.5%)、月刊誌(コミックス・ムック含む)2331億円(同+5.7%)、週刊誌428億円(同-7.2%)。
 電子出版市場は、電子コミック1903億円(同+25.9%)、電子書籍231億円(同+20.9%)、電子雑誌53億円(同-11.7%)。

◆講談社とアマゾンの間での直接取引が始まる。当面の対象は「現代新書」「ブルーバックス」「学術文庫」の既刊本。すでにKADOKAWAを初め、直接取引の出版社は3600社に及び、アマゾンが取次を経ないで出版物を販売するシェアは急伸長する。
 昨年(2020)の国内通販市場は10兆6300億円(前年比+20.7%)、そのうちアマゾンの売上高2兆1848億円(同+25.2%)と5分の1を占める。この伸びが出版界にも及ぶのは間違いない。
◆集英社の決算─売上高2010億円(前年比+31.5%)、過去最高額を記録。コミックス617億円、(同+43.1%)、デジタル・版権などの事業収入936.4億円(同+35.6%)、書籍178億円(同+72.4%)、雑誌200億円(同-3.8%)。
 とりわけ電子コミックと映画関連の活況により、デジタル449億円(同+42.5%)、版権367億円(同+25.6%)の伸びが著しい。

◆文藝春秋のニュースサイト「文春オンライン」8月の純PV(ページビュー)が月間6億3094万PVに達し、17年のサイト開設以来、最高となった。
◆角川春樹事務所が、10/15に発売の稲田幸久『駆ける 少年騎馬遊撃隊』(第13回「角川春樹小説大賞」の受賞作)に対し、「書店マージン35%」を実施する。
 来年4月発売のシリーズ「にほんの詩集」(全12巻)でも、「書店マージン35%」の販売施策を検討している。

◆三省堂書店・神保町本店のビル、及び隣接する第2、3アネックスビルが建て替え。総敷地面積530坪、延べ売り場面積1050坪の神保町本店は2022年3月下旬に営業を停止、4月から解体工事が始まる。
 新ビル竣工は2026年頃。新ビルの規模・内容は未定。なお、この期間、仮店舗で営業を継続する。
posted by JCJ at 01:00 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする