2021年10月10日

【今週の風考計】10.10─米軍のPFAS処理に9千万の税金そして沖縄いじめ

沖縄の米海兵隊が米軍普天間飛行場から、訓練で使用した泡消火剤PFAS(ピーファス)を含む汚染水6万4000リットル・ドラム缶320本分を、低濃度処理したとはいえ、一方的に宜野湾市民が使う公共下水道に流し、大問題になっている。
ご存じPFASは、分解されないまま水中や空気中を漂う。摂取すれば体内に「永遠の化学物質」として残る。しかも人体に肝機能障害、甲状腺疾患、発達障害、がん発症をもたらす。世界各国でPFASの製造・使用が禁止になっている。日本でもこの10月22日に禁止の法令が施行される。

PFAS汚染水は焼却処分が原則なのに、米軍は処理に費用と時間がかかるので、低濃度処理で済ませ、公共下水道を使い基地外に流す、そんな乱暴な計画を日本側に打診していた。日本の環境法令を無視した例外規定を認めさせようという魂胆だったというから、恐れ入る。
 しかも沖縄県が独自に調査する権限は与えられず、米軍が貯蔵している汚染水の量や処理の内容すら確認できないとは、どういうことか。
そこへきて、なんとなんと防衛省が、米軍普天間飛行場内に残る未処理の汚染水、約36万リットル全てを引き取り焼却処分するという。その処分費用9200万円、これも日本が負担するときては、開いた口がふさがらない。
 環境汚染を拡散させ、処理費用まで私たちの税金で負担するというのか。理不尽極まりない。

これら日本政府の米軍迎合、加えて沖縄いじめ″は限度を超える。世界自然遺産登録が予定される「やんばるの森」で活動する、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの不当捜査もその一つだ。
 沖縄県・東村高江の米軍北部訓練場で集めた米軍の廃棄物を、メインゲート前に置き通行妨害したとして、威力業務妨害の疑いで、沖縄県警が彼女の自宅を1時間半にわたって家宅捜索した。
これまで同訓練場跡地から火薬入りの弾薬、野戦食の袋や大量の瓶などが見つかり、27年がたった今も大量に放置されている。米軍は沖縄をゴミ捨て場と考えているのか。県民の家宅捜索より、まずゴミ放置に抗議し取り締まるのが先きではないか。

もう一つ、沖縄いじめ″の典型が、沖縄戦で犠牲となった人々の遺骨が混じる土砂を、米軍の辺野古基地建設に利用する企てだ。あまりにも人道を顧みない日本政府の方針は、「戦没者への冒瀆」だとして、数多くの自治体が「遺骨の混じった土砂の埋め立て利用に反対する」意見書を採択している。
先月末までに沖縄県内11、県外45の地方議会から意見書が国へ送付されている。都道府県別では、沖縄以外では大阪の10が全国で最も多い。
 米軍の治外法権を許し、米軍基地を沖縄に押し付ける政治は、本当に変えなければならぬ。(2021/10/10)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする