2021年10月16日
【沖縄リポート】安部―菅支配が遺した惨憺たる現状=浦島悦子
菅総理大臣の突然の辞任表明には驚いたが、同時に当然の自滅だと思った。権力に固執する最後の悪あがきが「墓穴」をより深く掘ったのだろう。
安倍政権誕生以来、長期間続いてきた安倍―菅強権支配は、日本という国に多大な禍根を残したが、沖縄ではそれがよりいっそう露骨かつ過酷に表れた。それは惨憺たる現状を見れば明らかだ。
民意も地方自治も一顧だにせず、国が「粛々と」強行する米軍新基地建設工事では、サンゴ移植に、水生生物にも人にも有害な接着剤が使われていることが明らかになった。
米国におもねり、米軍のやりたい放題を追認したツケはすべて県民に押し付けられている。相次ぐ米軍事故や米兵犯罪に加え、宜野湾市や県の猛反対にもかかわらず米軍が普天間基地から強行放出したPFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)汚染水は、半永久的に地域住民の命の水を汚染し、低体重児の出生、免疫力の低下、ガン化などの健康被害が危惧されている。
9月2日、この暴挙に対し宜野湾市・うるま市の市民らが、米軍司令部(北中城村石平在)前で緊急抗議集会を行った(写真)。コロナ禍の中、平日の午後にもかかわらず150人以上が集まったことは危機感の大きさを物語っている。
陸上自衛隊がうるま市勝連分屯地にミサイル連隊本部を置くことも報道された。琉球諸島4か所のミサイル部隊を指揮統括するという。米国の対中国戦略の楯として沖縄を差し出そうというのだ。
国策に従わない民にどんな仕打ちをしてきたかも沖縄ではよく見える。わが名護市は来年1月に市長選を控えているが、前回選挙で、新基地建設に反対する前市長を何としても潰すために、菅官房長官(当時)が自ら采配を振るったことを忘れるわけにいかない。
私たちが望む政権交代も今衆議院選では厳しいだろう。せめて自民党議席を大幅に減らし、政権の暴走を止めたい。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号