2021年10月17日

【今週の風考計】10.17─総選挙のテーマに忘れてならぬ食料自給率37%

★岸田政権が解散・総選挙に打って出た。だが、この4年間、民主主義をことごとく踏みつぶしてきた安倍・菅政権の「悪弊」は、未解決のままだ。
 森友学園問題での公文書改ざんに始まり、<桜を見る会>では安倍元首相の118回に及ぶ国会での虚偽答弁、河井議員夫妻の選挙買収事件など「政治とカネ」に絡む不正、学術会議の6名任命拒否などなど、ほったらかしでよいわけがない。

★岸田政権は、本当に「悪弊」を断ち切れるのか。残念にも、もういち早く「岸田<3Aリモコン>政権」は、解明や説明責任に背を向け、逃げの姿勢へと走っている。
 しかも「所得倍増論」は消え「金融所得への課税強化」も行方不明、その代わり憲法改定には早期の実現を目指し、さらにGDP比2%への軍備増強、敵基地攻撃能力の開発・強化など、タカ派政策を打ち出している。まさに安倍・菅政権の継承ではないか。

★31日の投開票日に向けて、じっくり岸田政権の政策を吟味しよう。アベノミクスの弊害、原発依存、ジェンダー平等社会への取り組み、気候変動とCO2 削減、どう対処し解決への処方箋が示されるのか、野党共闘の力を結集しての論戦も大いに期待したい。そして国民の声が生きる政治へと切り替えたい。
★その際、日本の農業問題もクローズアップしてほしい。16日は国連が定めた「世界食料デー」、月末まで飢餓や食料問題を考え、2030年までに「飢餓ゼロ」の目標に向け行動する。
 いま日本は、コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っている。貯蔵されている過剰米がダブつき、米価が昨年と比べ2割から3割下落し、1俵(60キロ)1万円を下回る銘柄も続出。生産コストに1万5千円を要するのに、これでは破産するしかない。
★米価の回復には、過剰米と新米との連動性を絶ち、米価下落を防ぐ措置、すなわち過剰米を政府が買い上げることがどうしても必要だ。15万トンの買い上げでは追いつかない。

★しかも国内需要の1割に及ぶ77万トンものミニマムアクセス米を、外国から輸入し続けるのは不条理そのもの。もっと日本のコメ農家の悲鳴に向き合うべきではないか。
 もともと国民が必要とし消費するコメなどの食料は、できるだけその国で生産するという、「国消国産」の考え方が根本になければならぬ。
★現在、日本の食料自給率は37%、過去最低の水準だ。安倍政権が進めた「官邸農政」は、世界の競争に強い農業を謳い、大規模化と外国企業の参入に道を開き、日本農業を壊滅状況に追い込んでいる。
★外国や多国籍企業の利益のために、種子法の廃止や種苗法の改悪など、日本の食料主権を譲り渡す農業政策はやめさせねばならぬ。
 減反政策などで一度荒れてしまった農地から、農作物を収穫するには、最初から土づくりや水の管理、病害虫対策など、一からやり直しだ。まさに「農業枯れて国滅ぶ」。(2021/10/17)
posted by JCJ at 06:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする