来年2月4日の北京冬季五輪開幕まで3カ月余りに近づいた。2008年夏季五輪に続く、史上初の夏冬五輪同一都市開催であり、2018年韓国の平昌冬季五輪から東アジアでの3五輪連続開催の締めくくりとなる。
東京五輪の教訓が生かされるか注目される。新型コロナウイルス感染症の感染収束が見えない中で、国際オリンピック委員会と同五輪組織委員会は海外からの観客受け入れを断念した。
熱烈な応援の中国観客が圧倒的に取り巻く中でのメダル争いとなる。
海外の競技者が参加してテスト大会が始まっているが、東京五輪と同じ隔離と検査漬けを特徴とする感染防止対策が徹底されるようだ。東京五輪が都民の感染爆発を招いたように、地元民の感染拡大に不安はないのか。
競技は混合種目が増えて7競技109種目と史上最多に膨らんだ。会場は3地域に分かれ、スケートなど屋内競技は北京市内に集中し、アルペンスキーとそり競技は北部の延慶区で、ノルディックスキーなどは北 京市から約160`離れた万里の長城に近い張家口市で行われる。
近年の冬季五輪で最大の課題は、雪不足など温暖化による自然環境対策。人工雪で克服するというが、スムーズに競技できるかは未知数だ。
しかも、米中対立の厳しい国際情勢が左右しかねない。バイデン米政権には政府関係者の参加ボイコットの声もあり、中国の人権問題が障害になる恐れがある。
国際政治に振り回され、政府がボイコットを言い出したら、日本オリンピック委員会は、どう対応するのか。
夏季五輪で中国批判を繰り返したマスメディアだが、踏襲するだけで、メダル獲りに大騒ぎか。
北京で2度目の五輪開催は、コロナ禍での社会問題、温暖化の自然環境問題、そして複雑な国際問題と、3大懸念を抱えた、むずかしさを示す。
3五輪連続開催が、アジアのスポーツ発展に何をもたらしたかを見つめ直す場でもある。
大野晃(スポーツジャーナリスト)