2021年11月01日

【リアル北朝鮮】南北通信回線再稼働 対韓は融和 対米は強気=文聖姫

 10月4日午前9時、南北間のすべての通信回線が再開された。金正恩・朝鮮労働党総書記はこれに先立つ9月29日、最高人民会議第14期第5回会議で行った施政演説で、「北南関係が一日も早く回復し、朝鮮半島に堅固な平和が宿ることを願う全民族の期待と念願を実現するための努力の一環」として、10月初めから南北の通信回線を復旧すると表明していた。
 北朝鮮は昨年6月9日、韓国の脱北者団体が金正恩氏を批判するビラを散布したことに反発し、南北の通信回線を一方的に遮断した。同月16日には、開城にある南北共同連絡事務所を爆破した。それから約1年後の今年7月に通信回線を復旧させたが、8月の米韓合同軍事演習などに反発して再び遮断していた。
 今回再度通信回線を復旧させた背景には、南北関係を早期に改善させようという意図があるものと思われる。通信回線復旧を伝えた北朝鮮国営・朝鮮中央通信は4日、「通信回線の再稼働の意味を深く刻み、北南関係を収拾し、今後の明るい前途を開いていくうえで優先すべき重大課題を解決するために努力すべき」だとして、韓国が対北朝鮮敵視政策を撤回するよう求めた。

 北朝鮮が南北関係改善を求める主な目的は、経済協力の再開にあるといえる。ただ、韓国の文在寅政権がいくら経済協力を再開したいと思っても、国連安保理決議に基づく経済制裁がある限り、簡単には進まない。通信回線の再稼働の意味を深く刻めというのは、通信回線を復旧させたのだから、次は韓国が行動するべきだろうというようにも聞こえる。
 金正恩氏は施政演説で、アメリカに対しては、「われわれに対するアメリカの軍事的威嚇と敵視政策は少しも変わっていない」と牽制した。韓国に対しては融和姿勢をとり、アメリカに対しては引き続き強気の姿勢で臨んでいるように見える。まずは、韓国を動かし、その後は米国と、というシナリオなのかもしれない。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年10月25日号
 


 
posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする