2021年11月29日

【スポーツ】個性尊重の指導が求められている=大野晃

 エンゼルスの大谷翔平投手が、米大リーグで最高のア・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。投げて9勝、156奪三振。打って46本塁打、100打点。走って26盗塁。チームは優勝に遠かったが、投打の二刀流で申し分ない見事な成績だった。
  日本人としてイチロー外野手以来の20年ぶり2人目の栄誉だが、伝説的なベーブ・ルースに挑んだ27歳の若きヒーロー誕生で、コロナ禍の米国ファンの夢を育んだ。
 テレビ観戦がほとんどの日本人ファンも歓喜した。パワフルな豪速球を投げ込み、三振を恐れずに豪快に振り抜く。ライナーでスタンドに突き刺さる本塁打は本場ファンの度肝を抜いた。
 笑顔を絶やさず、生真面目で、しかも、楽しそうにプレーする姿は、さわやかで大らかな青年の魅力を振りまいた。その裏で、体を鍛え抜いてケガを克服し、研究熱心な努力家でもある。
 高校野球ならエースで4番はあっても、プロ野球では、投打二刀流は理想であり、憧れであっても、現実的ではないと思われてきた。しかし、193aの恵まれた体格と高い潜在能力を見込まれて、日本ハム時代から大きく育てることに、指導者が十分に留意し、渡米後も継続されて開花したが「米国の方が、二刀流を受け入れてもらえた」と言う。うれしい挑戦の場があったということだろう。

 ともすれば、日本野球は、勝利至上で競技者を型にはめて、個人プレーの評価を狭くする傾向があり、大きな飛躍の障害となるケースが少なくなかった。だから、奇跡の幸運児でもある。
  多くの競技で、大型の外国人に匹敵する日本人離れした体形の少年が育っている。鍛え方しだいでは、大きく能力を伸ばす可能性を秘めている。
 大谷の躍進は、保守的な日本的指導法に新たな問題を投げかけた。イチローの活躍以来、個性を尊重する指導の必要性が訴えられた。
  しかし、多くの指導者が改革には尻込みしがちである。第二、第三の大谷登場を見逃してはいないだろうか。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする