2022年01月01日

【2021年スポーツ回顧2】世界の特徴=大野晃

1年延期の東京五輪パラリンピックを無観客で異常開催
◎2021年7月8日に、東京都などの無観客実施をIOCと合意した。東京都、北海道、神奈川県、埼玉県、千葉県、福島県の1都1道4県の会場は無観客で実施された。
◎競技関係者は、多国間、多競技間の競技者同士や応援ファンらとの交流禁止で、毎日検査し、移動は選手村など宿泊施設と競技会場に限られ、選手村滞在は競技開始5日前から終了後2日までに制限された。「バブル方式」の隔離と検査漬け。それでも、東京五輪パラリンピック関係者の感染は、選手13人を含む878人に上った。
◎28競技で史上最多の321種目に加えて、日本の要望などで、スケートボード、クライミング、サーフィン、野球・ソフトボール、空手の5競技が追加競技とされ、33競技339種目に膨張した。
◎28競技では、男女均等を目指し、男子種目を5つ減らし、女子種目を11種目増やすとともに、混合団体の9種目を新設し、女子の参加可能種目を165種目に大幅拡大した。若者に人気の自転車BMX(モトクロス)フリースタイルやバスケットボールの3人制(3バイ3)を加えた。テレビ映りのいい種目増で、競技や限られたトップ競技者の商品見本市化が拡張し、五輪の興行化は頂点に達した。
◎出場選手数は制限され、28競技で男子5440人、女子5176人の計10616人、男女比は男子51.2%、女子48.8%になった。追加競技を含めると、男子5704人、女子5386人の計11090人、男女比は男子55.7%、女子44.3%。五輪の簡素化を目指した「アジェンダ2020」で種目数の上限を310種目程度、出場選手数の上限を10500人程度としていたが、一気に突破した205カ国が参加し、ロシアはドーピング違反で選手団参加が禁止され、北朝鮮は不参加を表明した.。リオデジャネイロ五輪に続き、難民選手団が結成された。
◎競技運営費用や関係者の増大、輸送などで開催地に大幅な負担増となった。

2022年北京冬季五輪・パラリンピック開催に暗雲
◎2021年9月29日にIOCが大会組織委員会の方針を承認し、観客は中国本土在住者のみ容認することが決まった。東京五輪に続いて海外からの観客受け入れは断念。大会参加者は東京五輪同様に隔離と検査漬けで、ワクチン未接種者は北京到着後に21日間の隔離措置。
◎2021年12月6日に、米国が北京冬季五輪パラリンピックに米政府の代表を派遣しない「外交的ボイコット」を表明した。「中国の新疆ウイグル自治区で進行中のジェノサイドと人道に対する罪、その他の人権侵害」を理由とした。選手団は派遣する。豪州、英国、カナダなどが同調。IOCは12月11日の五輪サミットで外交的ボイコットに「五輪とスポーツの政治化に断固として反対する」と宣言した。
◎五輪テスト大会でも感染者が出た。
◎北米プロアイスホッケーリーグがコロナ禍の公式戦消化のため、2018年平昌冬季五輪に続き、不参加を決定した。

五輪開催地決定方式の大幅改定で招致合戦が消える
◎五輪開催地決定方式を2017年に変更し、2024年パリ夏季大会、28年ロサンゼルス夏季大会を同時決定したIOCは、2019年6月に、さらに開催地選定方式を大幅に変更し、2021年7月21日に、2032年夏季開催地に、豪州・メルボルン市を決定した。
◎2019年の改訂に基づき、21年2月に、IOC将来開催地夏季委員会が、2032年夏季開催地に、豪州・メルボルン市を選定し、同委員会の答申に基づき、IOC理事会が決定し、IOC総会に提案して、承認を受けた。
◎膨張した大会経費で開催地立候補が極限する中で、IOCが方針転換し、IOC総会へ向けた招致合戦は姿を消すことになった。

IOCが五輪での差別撤回のパフォーマンスを認める
◎IOCが、東京五輪で、片膝をついて人種差別に抗議するなどの政治的パフォーマンスを一部認め、サッカー女子などで拡大した。米国女子選手による「抑圧された人々」への連帯行動も認めた。
◎ジェンダー平等を目指すIOCの方針により、東京五輪で性変更選手が重量挙げに登場した。性的興味の映像などを防ぐため、ドイツ女子体操チームが足首までのタイツを使用するなどスタイルに変化も出た。

大谷翔平投手が米大リーグMVPに
◎米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手が、最高の栄誉であるア・リーグの最優秀選手(MVP)に選出された。日本選手としては2001年のイチロー外野手(マリナーズ)以来20年ぶり2人目だった。
◎投打の二刀流で、大谷は、投手として9勝2敗、防御率3・18、156奪三振、打者で打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、26盗塁の好成績を残した。本塁打はリーグ3位、盗塁は同5位。選手間投票による両リーグの年間最優秀選手にも選ばれた。

欧州のサッカーなども観客制限で再開
◎欧州などのサッカーやラグビーのプロ競技が、無観客や観客制限で実施されたが、サッカー欧州選手権で、英国政府がロンドンの競技場で開催し、6万人以上を収容した決勝、準決勝を含む計8試合分を集計した結果、約6400人が感染したとみられると公表した。
◎英国スコットランドの公衆衛生局は、サッカー欧州選手権の試合を観戦したり、関連イベントなどに参加したりしたスコットランド住民ら約2000人が新型コロナウイルス感染症に感染したことが確認されたと発表した。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする