2022年01月06日

ゲノム編集食品ラッシュだが 未知の部分置き去り禍根残す恐れも=橋詰雅博

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 本紙10月号記事でゲノム編集技術によって作られたトマトと肉厚マダイが人体に有害の可能性があると指摘したが、ゲノム編集食品の開発は止まらず大学などが市場に続々と参入中だ。
 京都大発ベンチャー企業「リージョナルフィッシュ」は肉厚マダイに続き急速成長させたトラフグ販売=写真=も開始した。
大学や研究機関などが開発中の食品はほかにもある。
 ・芽に含まれる天然毒素が少ないジャガイモ=大阪大と理化学研究所
 ・生んだ卵にアレルギー物質が少ないニワトリ=産業技術総合研究所
 ・収穫量が多いイネ=農研機構
 ・品質低下を起こしにくい小麦・大麦=岡山大など
 ・同量のエサで大きく育つ豚=徳島大発ベンチャー「セツロック」 
 ・攻撃性を弱め共食いしにくいサバ=九州大など
 ・糖度が高いトマト=名古屋大・神戸大など
  これらはやがて販売される予定だ。ゲノム編集食品に詳しい元名古屋大学理学部助手で分子生物学者の河田昌東さんは「世界で最初のゲノム編集食品は、2年前に販売されたコレストロール値を下げる米国の大豆油です。そのあと日本のトマト、肉厚マダイ、トラフグが続いた。さらに相次いで商品化が見込まれるので、日本はゲノム編集食品の最も多い国」と語る。
 ゲノム編集は、特定の遺伝子の塩基配列を切断しその遺伝子の機能を失わせる技術だ。しかし標的外遺伝子の破壊などが問題視されている。にもかかわらずゲノム編集食品は安全性の審査がない。
 「開発者は販売の1年ほど前から資料などを提出した厚労省専門調査会と話し合っている。ここで『厚労省に届け出てOK』と判定されると販売に。ところがこの事前相談≠フ内容はほとんど非公開です。外部から検証ができず、これは問題です」(河田さん)
 河田さんは警告する。
「今の状況は原発の電力が福井県の若狭湾から大阪万博に送られた1970年の時とよく似ている。当時、すでに原発事故や放射能廃棄物問題が指摘されていたが、政府や電力会社は『事故は起きない』『廃棄物は処理できる』と強弁した。それが嘘だったことは証明済み。未知の部分を置き去りのまま経済優先で進めるゲノム編集技術は未来に大きな禍根を残す恐れがあります」
 橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年12月25日号

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