★コロナ感染拡大は「第6波」に突入した。今日から沖縄・山口・広島の3県に、「まん延防止・重点措置」が、31日まで適用される。
沖縄県では6日の1日だけで、コロナ新規感染者が981人。昨年12月12日〜18日の1週間を累計した新規感染者は27人、この数字を見ても急拡大の恐ろしさは桁はずれだ。
★沖縄にある米軍基地で発生した昨年12月末のクラスター(感染者集団)は、1月6日現在、合計4027人に達した。米国でクリスマスを過ごし、沖縄の9基地に帰ってきた海兵隊員は、PCR検査もないまま、マスクもつけず基地外に出て飲食を続けてきた。
沖縄県民の新規感染も、この米軍基地からの「染み出し」感染によるとみられ、基地周辺の住民からは怒りの声が噴出している。
★この事態は、沖縄だけでなく日本全国の米軍基地周辺で広がる。6日までの米軍基地内の感染者は、山口県・岩国基地で529人、静岡県・御殿場の「キャンプ富士」46人。神奈川県の横須賀基地213人、東京都・横田基地85人、青森県・三沢基地133人、ここからの「染み出し」感染が、「第6波」に拍車をかけている。
★これまで米兵や軍関係者には、日本での検疫が免除されていた。まさに「穴の開いたバケツ」状態で入国し、在日米軍基地に着任していたのだ。
昨年末になってやっと、日本政府の申し入れにより、米軍は日本到着後24時間以内のPCR検査を実施するようになった。
★こうした事態を招いたのも「日米地位協定」があるからだ。在日米軍に対しては、日本の国内法が適用されず、警察の捜査や裁判権が及ばない特権を保障している。1960年に制定されたまま、以来62年間、改定されていない。
米軍は世界中の80カ国に800カ所を超える軍事基地を持つが、ドイツ・イタリア・ベルギー・イギリスなどの国々は、米軍基地に対して国内法を適用させている。日本だけが唯一、国内法の適用外とは、あまりにも日本の主権を疎かにしてはいないか。
★いまから18年前、日本の全国市長会が<日米地位協定の見直しに関する要望書>を国へ提出している。沖縄県もドイツやイタリアに調査団を派遣し、「日米地位協定」の不平等性を告発し、見直しを強く求めている。
★「日米地位協定」に基づき設置されている日米合同委員会もクセモノだ。日米幹部が米軍や基地の具体的な運用を図るため、実務者協議を隔週で行っている。
そこでの合意事項は日米双方に拘束力をもつが、協議の内容は非公開、国会への報告義務もない。国民の知らない密約が数多く結ばれているといわれる。
★まさに「日米地位協定が憲法の上にあって、日米合同委員会が国会の上にある」のが実態だ。その実態を、吉田敏浩『追跡! 謎の日米合同委員会』(毎日新聞出版)が、明らかにしている。とりわけ本書の第5章で、<新型コロナと検疫と日米合同委員会の合意と米軍特権>を詳述していて参考になる。(2022/1/9)