2022年01月27日

【オンライン講演】「入管行政の闇」をなくせ 約100人が参加 JCJ12月集会=藤森研

  今年のJCJ12月集会として、「入管行政の闇」をテーマに12月12日、オンライン・シンポジウムを開いた。学生24人を含め98人が参加した。
 パネリストは、今年のJCJ大賞を受けた信濃毎日新聞の牛山健一さんと共同通信の平野雄吾さん。それに、外国人・難民支援活動をしている国際基督教大学1年生の宮島ヨハナさんを含めた3人。進行は藤森研(代表委員)が務めた。
 外国人技能実習生らを取材した信濃毎日の連載「五色のメビウス」デスクの牛山さんは、「日本社会はもう、技能実習生ら外国人の労働に頼らざるをえない。しかし実習生たちは低賃金やパワハラの下で働かされているのが現状だ。母国の送り出し機関に70万円以上の借金を負っており、返す目途が立たずに失踪する人も毎年6千人に上る。多額の借金には、送り出し機関が日本の受け入れ団体に渡す裏金も上乗せされている」と話した。
 失踪した人は非正規滞在者となり、捕まれば入管施設に収容される。平野さんは、入管施設の実態を、ちくま新書『ルポ入管』で明らかにした。
 「コロナで最近は減ったが、2019年6月時点で全国17の入管施設に1253人が収容されていた。施設内では、暴力的な『制圧』や、医療放置が横行している。司法審査なしの無期限収容で、最も長い人の収容は8年に及ぶ」と平野さん。裁判で表に出た「制圧」時の動画も紹介した。被収容者1人を、入国警備官の男たちが数人がかりで押さえつけている場面だった。
 入管施設から「仮放免」で社会に戻る人もいるが、医療保険はなく、就労禁止など制約は大きい。     
 宮島さんは、父親が牧師で仮放免者の保証人を引き受けていたため、幼時から外国人と接していたという。英語の家庭教師をしてくれたカメルーン人女性のマイさんは、一時はホームレスも経験していた。がんに罹患し、高額の治療費は支援者たちが支えたが、今年1月に亡くなった。
 「一人ひとりに人権はあると思う。『不法残留』と呼ぶが、在留資格がないというだけで犯罪者のように呼ぶのはおかしい」と宮島さんは言った。
 平野さんが応じて「メディアも変わらなければと思う。共同配信記事で、私は『非正規滞在』と書くことを押し通して、今は社にも認められた」。牛山さんも「『メビウス』では不法残留や不法滞在でなく、非正規滞在と書くことに決めた」と話した。
 今年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが、名古屋入管の医療放置で死亡した。
 平野さんは「ある調査では、被収容者が病院に行きたいと申請してから実際に病院に行くまでにかかる日数は平均14・4日。病院に連れて行くかは『容体観察』と称して職員が判断する。医療放置の大きな要因は、詐病を疑う職員の心理だ」。
 ウィシュマさんの痛ましい死もあって、今年の通常国会で、政府の入管法改正案は廃案となった。
 この改正案の問題を、宮島さんは3点に整理して説明した。「問題の1つ目は送還を拒否した人に刑事罰を科す点。2つ目は監理措置制度の導入。保証人に行動報告を求めるもので、それでは仮放免者と保証人の信頼関係は崩れてしまう。3つ目は、3回以上の難民申請をした人は強制送 還できるとするもので、国際原則に反する。日本の難民認定率はとても低い。改正するなら、抜本改正でなければおかしい」。
 2年前に新設された、労働者として受け入れる「特定技能」については意見が分かれた。「現在の延長上に制度をつくってもあまり変わらないと思う」と平野さんは懐疑的だ。牛山さんは「問題もあるが、特定技能制度をより良くしていく方法もあるのでは」と話した。
 最後に、入管問題に対して、私たちは何をしたらいいのかを聞いた。
 牛山さんは「外国人も私たちもお互いを知り合うこと。各地のボランティアの日本語教室に関わるのもいいし、自治体の交流イベントも知り合うきっかけになる」。
 平野さんは「行政の透明化が大事。情報公開で市民が関心を持ち、みんなが見ているよ、ということが入管も変える」。
 宮島さんは「難民認定を第三者機関がするようにしてほしい。個人個人の向き合い方も大事。さまざまなバックグラウンドの人が日本社会を築き上げているということを認識したい」と話した。
 参加者からは多くの質問が出され、パネリストが丁寧にそれに答えた。
 藤森研
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年12月25日号
posted by JCJ at 01:00 | オンライン講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする