2022年10月31日

【焦点】五輪選手村訴訟の第1回控訴審で2回と3回目の日程決まる、原告が提示した3点の要求の採否に注目=橋詰雅博

 東京・晴海の五輪選手村訴訟の控訴審第1回口頭弁論が10月11日に開かれ、次回第2回弁論は12月15日(木)午後1時40分、第3回は来年2023年3月14日(火)午前11時20分に開かれることが決まった。いずれも101号の大法廷で行われる。
 この日、口頭陳述した原告の中野幸則団長は「都市再開発法を濫用・誤用して合法性を装って、129億6千万円という著しく廉価な譲渡価格を都議会にも財産価格審議会にもかけずに秘密裏に決定したことは地方自治体法違反の財務会計行為」と述べ、控訴審での厳正な審判を求めた。
 原告側代理人の淵脇みどり弁護士は「五輪から1年を経過し、6月に収支報告書が出ましたが、本件住民訴訟で損害賠償を求めている1000億円を超える選手村敷地の土地差額は経費支出として計上されていません。この隠された支出は特定建築業者(土地を取得した三井不動産など11社)の利益となりました」と述べて、「本件は五輪利権をめぐる地方自治体の本質に関わる重要な訴訟」だから司法の場で十分な審議をすべきだと訴えた。
 原告が提示した@小池百合子都知事ら6人の証人申請、A不動産鑑定士の田原拓治氏の意見書の採用、B非開示している都と事業協力者(三井不動産など13社)の協議議事録の命令申立書の採否を裁判長は次回法廷で明らかにする。
 裁判の行方を決まるだけに裁判長がこれら採否をどう判断するのか注目される。
 橋詰雅博
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2022年10月30日

【今週の風考計】10.30─目に余る「ミャンマー国軍」の暴挙へ制裁を!

パカン空爆で死者63人
ミャンマー国軍の暴挙が止まらない。去年2月1日のクーデターで実権を握って以降、市民への弾圧は拡大するばかり。
 ミャンマー国軍は、23日、北部カチン州パカンで開催されていたコンサート会場を空爆。国軍に抗するカチン独立機構(KIO)の創設62周年を祝う祭典を標的にしたものだ。カチン独立軍幹部や観客・歌手ら死者63人、負傷者61人に上った。その悲惨な映像には目を覆う。
 そのほかにも最大都市ヤンゴンのインセイン刑務所での爆発や東部カイン州や西部ラカイン州などでの紛争も、国軍の暴挙に起因している。

ASEAN緊急声明
こうしたミャンマー国軍の暴挙に、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、27日、緊急に特別外相会議を開き協議した。その結果、去年4月にミャンマー国軍とも合意した「暴力の即時停止」などの5項目が履行されていないとし、「具体的・実践的で期限を定めた行動」を通じ、履行を迫る方針を確認した。
日本でも、26日、ミャンマー・ヤンゴンで軍に対する抗議デモを取材中に現場で拘束され、合計10年の禁錮刑を言い渡されたドキュメンタリー制作者・久保田徹さんを巡り、フリージャーナリストらが記者会見し、「無条件での即時解放」を訴えた。
 7月30日に拘束された久保田さんは現在、ヤンゴンにあるインセイン刑務所に収監中。現地の日本大使館が家族との電話仲介や差し入れをしており、今のところ元気だという。

アウンサンスーチー勢力の撲滅
さてアウンサンスーチー氏(77)は、今どうしているだろうか。6月22日、住宅での軟禁状態から、首都ネピドーにある刑務所の独居房へと移された。9月2日の裁判では、スーチー氏に選挙違反の罪で禁錮3年の判決を言い渡した。これまでに下された判決10件とあわせ禁錮刑は計20年になる。
 ミャンマー軍政はスーチー氏を一生拘束するのが狙い。すべての罪状で有罪の判決を下し、計190年以上の実刑判決をもくろむ算段だ。
7月22日には、内外からの制止の声も聞かず、現在、拘束されているスーチー氏が率いた国民民主連盟(NLD)の元議員や民主活動家ら4人に対し死刑が執行された。政治犯への執行は1976年以降で初めて。
 すでに死刑の判決が下されている民主派は117人に上る。加えて約1万2千人が拘束中で、拷問に苦しむ人もいるという。

日本は「二枚舌外交」を止めよ
だが日本政府は、ミャンマーに対するODA(政府開発援助)を、既存に限り継続しているため、ミャンマー国軍の利益につながり、少しも経済制裁になっていない。しかも軍政が任命した外交官5人のみならず、新たに留学生4人を防衛大学校などに受け入れ、安倍晋三元首相・国葬への招待案内まで送っている。
 日本はこうした「二枚舌外交」を止め、ミャンマー国軍の暴力行為の停止、人権の尊重、民主主義体制の回復を厳しく求め、経済制裁に踏み込むべきだ。(2022/10/30)
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2022年10月29日

【オンライン・シンポジウム】統一教会の実像に迫る―メディアはどこまで伝えて来たか―11月13日(日)14:00〜16:00 金平茂紀さん、鈴木エイトさんら3人が出演

 安倍元首相銃撃事件を機に統一教会の闇が次々明るみに出され、ジャーナリスト、メディアの追及が続いています。統一教会解散命令を求め、霊感商法対策弁護士連絡会が声明を出し、元二世信者らがネット署名を開始、臨時国会で野党の追及も始まりました。
 取材の最先端で活躍するジャーナリスト3人に、これまでに明らかにされた統一教会の実像をさらに掘り下げていただき、自民党と統一教会の癒着解明、統一教会解散、被害者救済など今後の問題解決に向け、メディアや市民の課題は何かを考えます。 オンライン申込者には後日録画配信あり

<パネラー>
金平茂紀さん(兼司会) ジャーナリスト 早稲田大学大学院客員教授
鈴木エイトさん ジャーナリスト
藤森 研さん JCJ代表委員

★参加費800円
申し込みはPeatixのhttp://ptix.at/Ney6Pdをクリックしてください。 

主催 NHKとメディアの今を考える会
(問い合わせ先)
丹原美穂 t.miho@galaxy.ocn.ne.jp 090-8955-6050 
小滝一志 kotaki@h4.dion.ne.jp 090-8056-4161

賛同団体 NHKとメディアを語ろう・福島 日本ジャーナリスト会議 日本ジャーナリスト会議東海 放送を語る会 メディアの今を考える市民の会・ぎふ
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2022年10月28日

【おすすめ本】森達也『千代田区一番一号のラビリンス』―天皇夫妻が乗り出す冒険の旅 問題小説の問題とは何か=鈴木耕(編集者)

 この日本に、ファミリーネーム(姓)のない人々が存在する。国民の誰もそれを不思議に思わない。だがそこに触れることはタブー視されている。それが天皇一家という存在である。彼らが何を考え、どんな暮らしをしているのか、本書がおそらくエンターテインメント小説としては初めて、そこに踏み込んだ。だから本書の帯には「戦後日本の表現における臨界に挑む問題小説」と書かれている。
 だが、これは「問題小説」か? 静かな生活を送る老夫婦(現上皇夫妻)の淡々とした日常を描いた小説のようである。ただ「明仁と美智子」と敬称抜きで現れるから、読み手はギョッとする。ギョッとさせることが作家の意図であることは明白だが、その流れに語り手たる森克也が介入して、物語はがぜんファンタジー色を帯びる。
 始まりはフジテレビが「憲法」についてのノンフィクション番組を企画したことだ。フリーディレクターの克也は第一章「天皇」の部分を担当しようとして、天皇へのインタビューを提案する。当然ながらテレビ局は怖気づき、二の足を踏む。だが諦めない克也は手段を尽くして天皇夫妻との接触に成功、その過程で皇居(それがタイトルの「千代田区一番一号」である)の地下に、不思議なラビリンス(迷宮)があることに気づく。興味を持った天皇夫妻は、克也とその恋人桜子とともに、ラビリンスの「冒険」に乗り出していく。
 淡々とした老夫婦の生活が、冒険譚に変化していく。見事な作家の仕掛けである。その仕掛けに乗せられて、読者は「問題小説」の「問題」とは何かを考えざるを得なくなるのだ。

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2022年10月27日

【オンライン講演会】『ルポ・収容所列島』を取材して――精神医療の今に何を見たか――11 月6日(日)午後 2 時から 4 時まで

                              
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 私的な事ですが、実は息子が統合失調症の疑いで精神科病棟に1カ月ほど入院したことがある。面会時に目の当たりにした患者の扱い方の様子から、米映画『ミッドナイト・エクスプレス』で描かれたトルコの精神科病室のシーンを思い出した。医師の指示通りに3カ月もいたら息子はふぬけになると思い、強引に退院させた。『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』を読んで、その時の異様な光景が記憶によみがえった。本書で取り上げた強制的に精神科病院に移送する民間会社の存在にも戦りつした。人権侵害も甚だしい精神医療の実態を共著の 3 人が冷静かつ怒り込めて語る。(主催スタッフの一人より)
講師:風間直樹さん(『週刊東洋経済』編集長) 井艸恵美さん(東洋経済記者)辻麻梨子さん(Tansa リポーター)

★参加費:500 円=Peatix で参加費をお支払いください。
【Peatix での参加費の支払い方法】
(1)https://syuyojyo.peatix.com/ をクリックする
(2)参加券を求める (3)支払いをカードかコンビニ払いにするかなどを選ぶ(4)初
めての方は途中、氏名、メールアドレスを入力し、独自のパスワードの設定をします。
(5)支払いを済ませた方に講演前日・11 月5日までに Zoom で視聴できるURLをメール
で送ります。
【JCJ会員は参加費無料。onlinejcj20@gmail.com に別途メールで申し込んでください】主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)電話 03・6272・9781(月水金の午後 1 時から 6 時まで) メール office@jcj.gr.jp
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2022年10月25日

【フォトアングル】朝鮮人犠牲者追悼式典、舞踏家・金順子が鎮魂の舞を=酒井憲太郎

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1923(大正12)年9月1日の関東大震災から99年になる。虐殺された多数の犠牲者を追悼する朝鮮人犠牲者追悼式典(同実行委員会主催)が行われた。浅川金刀比羅神社の宮司による祝詞奏上に続き、白いチマチョゴリを着た韓国伝統舞踊家金順子さんが追悼碑の前で鎮魂の舞を献じた。各界からの追悼に韓国からの挨拶も述べられた。今年もまた都知事からの追悼文は届かなかった。1日、東京都墨田区・横網町公園、酒井憲太郎撮影
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月24日

【好書耕読】45年前に統一教会を告発!=守屋龍一(JCJ出版部会)

  おそらく初めて系統的に、統一協会・原理運動・勝共連合の関係について、一書として告発されたのが、茶本繁正『原理運動の研究』(晩聲社 1977年刊)だと思う。
 統一協会の指導下にある学生組織「原理研究会」の内幕を、詳細に追究した画期的なルポである。1978年にJCJ賞奨励賞を受賞。入手が困難であれば図書館で借り出し精読してほしい。
 1970年代、文鮮明が始めた統一協会の信者となった多くの青年が、大学内に「原理研究会」を作り、カルト宗教である事実を隠して学生たちを勧誘・布教する活動が広がった。あげくに学業放棄や家出などが頻発し社会問題となった。
 本書は、この「原理運動」の奇怪な実態と布教・洗脳の狂気を克明に暴いただけでなく、文鮮明の正体やA級戦犯・岸信介と勝共連合の関係、霊感商法や合同結婚式の実態を詳細に調査し、当事者からの検証も加えた労作である。
 統一協会には、数多くのダミー組織がある。「原理研究 会」も「CARP」と姿かたちを変え、今でもなお東京大学を初め、全国70の大学に浸透している。

 「JAPAN Guardians」なる団体は、安保法制に反対する学生団体SEALDsに対抗すべく立ち上げ、改憲を促進する自民党と連携し活動している。これまでの国際勝共連合の学生部隊「勝共UNITE」や「国際勝共連合オピニオンサイトRASINBAN」の別働隊だ。「原理運 動」を軽視してはならない。
 さて筆者が「週刊現代」の新入編集部員だった頃、「週 刊現代」のアンカーを務めていたのが茶本さん。親しく取材の方法など貴重なアドバイスをいただいた。その後JCJ代表委員を務められた。
 2006年3月76歳で逝去。その半年後、小泉内閣で官房長官を務めた安倍晋三氏が政権を握る。冥途の茶本さん、どんなにか慨嘆し国の先行きを心配したことだろう。
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2022年10月23日

【今週の風考計】10.23─<パンダ外交>から習近平「個人崇拝・強権政治」へ

パンダが日本に来た日
日中国交正常化を記念して、中国からパンダ2頭が日本へ寄贈されたのが、1972年10月28日。当時、田中角栄と周恩来の両首相による演出もあり、パンダフィーバーが起きた。パンダ来日─「あれから50年」。
 その後、1984年にはケ小平がパンダを贈与する方針から貸与へと切り替え、貸与期間も10年から2年へと短縮。1頭につき年間50万ドル(約8千万円)のレンタル料を支払うこととなった。
現在、日本ではパンダ13頭が3つの場所で飼育されている。上野動物園5頭、和歌山県ワールドベンチャー7頭、神戸市立王子動物園1頭。パンダへの人気は衰えず集客力は抜群だが、13頭の年間レンタル料は計算してみれば約10億円に上る。
 飼料の竹の準備や病気予防など、飼育員の苦労は計り知れない。生まれたパンダも所有権は中国にあり、もし死亡でもすれば50万ドルの罰金を支払い、遺体も中国に返還しなければならない。
 これらを計算に入れれば中国の<パンダ外交>は、成果並々ならぬものがある。

習近平氏の強権的手法
さて中国共産党の第20回党大会が22日閉幕した。習近平党総書記(国家主席)が3期目も続投する。しかも憲法で定めた2期10年の制限を撤廃して就いただけに、「終身国家主席」への道を拓いた意味は極めて重い。
 毛沢東の文化大革命が起こした悲劇を教訓として、個人崇拝を厳しく戒めているにもかかわらず、自らに忠誠心の高い側近たちで固め、中国独自の発展モデル「中国式現代化」による社会主義「強国」の建設に邁進する。
しかし習近平氏の強権的手法では、長年にわたって未解決の国内問題、すなわち新疆ウイグルとチベット両自治区や香港の人権問題は、解決が遠のくばかり。
 国外に向けても、その強権的手法はとどまるところを知らない。「台湾への軍事的威嚇」をはじめ、東・南シナ海への海洋進出など、米国や東南アジア諸国から指弾の声が挙がる。 ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の態度もまた、国際的な批判を呼び起こしている。

日中首脳会議を開け
いま中国は新型コロナの封じ込めに躍起の「ゼロコロナ」政策に加え、不動産不況が長期化し景気停滞が長引いている。中国政府が3月に掲げた成長目標「5・5%前後」の達成は困難であるのが確実となり、党大会開催中にGDPの発表をやめたのは、あまりにも「不都合な数字」が浮上してきたためだ。
 現に7〜9月期の成長率の市場予測は3・5%前後、年間成長率も3%台にとどまるのは避けられない状況に陥っている。
今年は日中国交回復50年。ところがここ数年、日中間の対話は滞ったまま。日中両国とも武力を背景にした威嚇の外交ではなく、もう一度「パンダ外交」の精神をよみがえらせ、早期に首脳間の対話を再開し、意思疎通を図らねばならぬ。(2022/10/23)
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2022年10月22日

【JCJ沖縄知事選報告】分断はねのけ「オール沖縄」勝利 新基地反対民意揺るがず

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全国から注目された沖縄県知事選挙は9月11日に投票が行われ、即日開票の結果、県政与党の「オール沖縄」勢力が支援した現職の玉城デニー氏(62)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=が33万9767票を獲得し、いずれも無所属新人で、前宜野湾市長の佐喜眞淳氏(58)=自民、公明推薦=と前衆院議員の下地幹郎氏(61)を破り、再選を果たした。
投票率は、57.92%と4年前の知事選に比べ、5.32ポイント低下し、過去2番目の低さとなった。
今選挙戦での最大の争点となった辺野古新基地建設を巡り、玉城氏は「軟弱地盤の存在もあり、絶対に完成させることはできない」と明確に反対の立場を強調した。前回も出馬して敗れた佐喜眞氏は、4年前は容認を明確にしなかったが、今回は「容認」の立場を明確にした。下地氏は馬毛島(鹿児島県)への訓練移転により「これ以上は埋め立てない」と訴えるなど、争点は明確となった。
玉城氏の当選は、前回知事選や2019年に実施された県民投票などで示された「辺野古新基地建設反対」という民意を改めて示し、新基地建設に反対してきた玉城県政の継続を多くの県民が信任した形となった。

また、同日に行われた、普天間基地を抱える宜野湾市長選挙では、辺野古移設「容認」を掲げた現職の松川正則氏(68)=自民、公明推薦=が2万9664票を獲得して、新人の仲西春雅氏(61)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=を1万1206票差で破り、再選を果たした。
県知事選では、多くの市町村で玉城氏の得票数が上回ったが、普天間基地を抱える宜野湾市、辺野古を抱える名護市のそれぞれで、佐喜眞氏の得票数が上回った。宜野湾市長選挙の結果も踏まえ、改めて公約の辺野古新基地建設阻止に対する手腕が玉城氏に問われることになる。
復帰50年の節目に行われた今回の知事選挙で、沖縄県民は玉城県政の継続を選んだ。辺野古新基地建設阻止はもちろんのこと、コロナ禍で落ち込んだ沖縄経済をどう立て直していくのかなど、さまざまな課題が山積する中、公約をどう実現していくのか、玉城県政の4年間の舵取りに注目が集まる。   
 次呂久勲

旧統一教会、自民に逆風

  沖縄県知事選挙は、自民党沖縄県連の候補者選考会議が佐喜真淳氏を候補者に決定した時点で、勝敗は決していた。
 4年前の知事選。保守のエースと目されていた佐喜眞氏が宜野湾市長を辞職して立候補した。だが、名護市辺野古の海を埋め立てる新基地建設には一切触れず、大挙して応援に押し寄せた政府・自公とのパイプを強調したのだが、落選した。
 政府挙げての札束攻勢は、基地はいらないという沖縄の民意の前に、はかなく散ったのだった。
懲りずに県連はまたも佐喜真氏を擁立した。これに自民支持者からは、「なぜ落ちた人がまた出るのか」と不満が噴出した。加えて旧統一教会問題が連日、マスコミで取り上げられたことで、佐喜真氏と旧統一教会との関係が明るみになり、佐喜真氏は謝罪せざるを得ず、県連は万事休すとなった。

 ある県連幹部は「それを払しょくするために大掛かりな総決起大会を開いた。だが旧統一教会問題は、佐喜真氏にボディブローのように効いた」と語る。
 旧統一教会問題と距離を置きたい公明の支持母体・創価学会の一部会員は、佐喜真氏を推さず玉城デニー氏支持に回った。
 また、沖縄の統一地方選と重なり、自民党内も地方議員の応援で精いっぱいと、佐喜真氏の事務所に出入りする姿が減っていった。前回、玉城氏を支援した経済関係者は、今回は佐喜真氏を支持したのだが。
 佐喜真氏の誤算は、前回、辺野古をスルーしたことから一転して容認を打ち出したことにある。県民の7割が辺野古反対なのに、直近の参院選で容認を明確にした元総務官僚の候補が現職に肉薄したことを過大評価したのだろう。
今回の知事選は、自公と経済界と政府の敗北であり、県民の良識の勝利である。 
  金城正洋

「手立てはまだある」示す

 復帰50年の節目の沖縄県知事選で県民が改めて示したのは、米軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設する政府計画への「反対」だった。
 知事選で辺野古移設の反対を公約した候補者が勝利したのは3回連続だ。沖縄の民意は底堅い。
 知事選で移設反対の民意が強固に示されるきっかけとなったのは2013年、当時の仲井真弘多知事が公約に反して防衛省の埋め立て申請を承認したことにさかのぼる。仲井真氏は県民の批判を浴び、3期目を目指した翌年の知事選で故翁長雄志知事に敗れた。
 しかし、仲井真氏の承認によって、民意を受けた翁長氏も、その後の玉城デニー氏も、苦戦を強いられている。
 1期目で玉城氏は、辺野古の軟弱地盤改良で政府が出した設計変更申請を不承認とした。事実上の「最後のカード」と言われるが、政府は次々と対抗措置を取り、国と県は新たな法廷闘争に入っている。先行きは不透明だ。

 一方、工事の進捗もまた見通せない。埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤(深さ90b)の改良は前例がない。防衛省は、最短でも事業完了は14年後とするが、地盤改良の難しさを考えればそこからさらに数年後となることも想像に難くない。返還合意から40年近く経って基地が完成しても国際情勢に対応できるのかとの疑問もすでに出ている。
 そうした最中、今選挙では、膠着状態の辺野古問題について玉城氏から新たな提起がなされた。候補者討論会で玉城氏は、既に埋め立てられた部分の平和利用を明言したのである。それは、たとえ工事が進んでも、移設反対という民意の実現は可能であるということを示唆している。
 玉城氏は今後、国連や米議会など、国際社会へ直接アピールしていく考えも表明した。「われわれが取り得る手だてはまだまだある」(玉城氏)との言葉からは、沖縄があきらめない限り、政府の計画の実現は困難であるとの覚悟が読み取れた。
 黒島美奈子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号


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2022年10月21日

【お知らせ】JCJ「夏のジャーナリスト講座」

 夏のジャーナリスト講座は8月21日に「作文術」をテーマに東京新聞の野呂法夫編集員が、同28日に「通信社と海外特派員」の題で共同通信の岩橋拓郎記者がオンラインで講義をした。

カンカラ作文術の
7原則を踏まえて
 ▼野呂法夫・東京新聞編集委員 私は青森県生まれで、同郷の板画家・棟方志功が「わだばゴッホになる」と言って上京したのにならい、「わだば新聞記者になる」と決め上京した。作文の書き方は毎日新聞・山崎宗次氏が塾長の「山崎塾」で学んだ。山崎氏はNHKドラマ「事件記者」のモデルになった人だ。
 山崎氏が提唱したのはカンカラ作文術。「カンカラコモデケア」の7原則を踏まえ作文を書くべしと教わった。
 カンは感動、感銘。読み手に感動を与える切り口を考える。カラはカラー、色彩感覚。文中に青や赤といった色を入れる。コは今日性。今、なぜ取り上げるのかを書く。モは物語性。論文ではだめだ。デはデータや数字。説得力が増す。ケは決意。結論で自分はどうしたいのかを書く。アは明るさ。暗い内容の文でも、どこか明るさを感じさせること。アは愛、味、遊びと考えてもいい。例えば犯罪加害者を切り捨てるのではなく、背景にある貧困問題や虐待にも目を向ける愛がほしい。
 新聞社の就職試験で課される作文は「私はこんな人物です」と自己をアピールする場だ。自分の「売り」は何か、自身を見つめ、つくっていく必要がある。様々な問題の現場に出かけ体験ルポを書く、あるいは講演会に出て多様な言説から何かヒントをつかむのもいい。それらが「売り」につながる。
 誰もが思いつくような切り口は避けて、自分だけのオリジナルな内容の作文を書くこと。論より実体験が大切。決意も肩肘張らず、さわやかにロマンあふれるようにしたい。

海外支局では驚き
と新鮮さ忘れずに
 ▼岩橋拓郎・共同通信記者 2016年9月から4年8か月間、マニラ支局長を務めた。共同通信は世界41か所に70人強の特派員を配置し、大半が1人支局だ。マニラも1人支局で、年間の3分の1は東南アジアなどに出張する。タフさが必要で「原稿より健康」が大事になる。
 海外取材で重要なのは、任地国の事情に通じつつも驚きと新鮮さを忘れないことだ。プロであるとのちょっとしたプライドを持ちながらも、その国の住人と比べたら「素人」であり、やはり「お客さん」であると自覚する謙虚さが欠かせない。
その土地のことを「知っているつもり」になると、記事が書けなくなる。「あー、あのことですか。よくある話ですよ」といった感覚になり、日本人から見たら驚くことを見過ごす恐れがある。
 マニラでは自分にしか書けない記事を書くため、可能な限り現場に出かけた。赴任直後の16年末には、フィリピン・中国間で領有権を争っていたスカボロー礁へ木造の漁船をチャーターして出かけた。ルソン島から約200`の沖にあり、片道20時間かかった。そこで漁民を取材し、中国公船を撮影。ひざ下まで水につかりながら、スカボロー礁の上を歩いた。
 17年2月にマレーシアの空港で起きた北朝鮮の金正男氏殺害事件では、独自ネタとして日本政府が正男氏の指紋を捜査当局に提供したとのニュースを報じた。
 フィリピンの人たちは人生に固定的なレールを敷かず「生きたいように生きている」。同調圧力も感じない。LGBTにも寛容だ。「大人だな」との印象を持っている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月20日

【好書耕読】 日本で起きた戦後最大の「墜落疑惑」に迫る必読のルポ=森永卓郎(獨協大学教授)

 本欄で青山透子『日航123便 墜落の新事実』(河出文庫)を取りあげるのは、どうしてもジャーナリストに読んで欲しいからだ。
 1985年8月12日、御巣鷹の尾根に墜落した日航123便を巡っては、当時から不可思議な事態が起き続けた。123便は午後7時前に墜落したが、現場が特定されたのは翌朝だった。だが墜落直後に米軍の輸送機が現場を特定し、その後救援ヘリも飛ばそうとしたのに、なぜか日本政府は断っている。
また墜落直前まで自衛隊のファントム2機が、123便を追尾していたという複数の証言がある。つまり政府は最初から墜落現場を特定していたことになる。

 「発見」までの間に何が行われたのか。本書によると、機体前部の遺体は完全炭化するほど燃え尽き、現場にはガソリンとタールを混ぜたような異臭が漂っていたという。自衛隊が使う火炎発射機は、ガソリンとタールを混合したゲル状燃料を用いている。
 本書はファントム機とは別に、123便を追尾していた赤い飛行体の存在を指摘し、地上から目撃され、乗客が機内から撮った写真にも写っている。自衛隊が使う炸薬非搭載の訓練用ミサイルはオレンジ色に塗られている。それが尾翼破壊の原因になった可能性が高い。
 もしそうだとすれば、修理ミスを認めたボーイング社は、身代わりを務めたことになり、日本政府は大きな借りを作ったことになる。現実に事故の翌月には、プラザ合意による急激な円高がもたらされた。日本の完全な米国隷属化である。

 実は遺族が日航にボイスレコーダーの開示を求める裁判は今も続いている。だが報じる大手メディアはない。私自身、この20年間、報道番組や雑誌に真実を追求する特集を組んでほしいと懇願してきた。実現寸前までいっても最終段階で不思議な圧力がかかり葬られてきた。私には打つ手がない。ぜひ戦後最大の疑獄解明に手を貸してほしい。
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2022年10月18日

【リレー時評】軍事大国化を急ぐ政府、十分な監視を=𠮷原 功(JCJ代表委員)

 <日本帝国は朝鮮半島を植民地にして極悪非道な行為を重ねた。日本は、禁断の実をアダムに食べさせたイブの国家であり、その贖罪のためにアダム国家である韓国に、日本のすべての物資を収集して捧げなければならない>。旧統一教会の教義で、日本に関連する部分を要約すれば以上のようになろう。この旧統一教会を日本に跋扈させたのが、安倍三代と右派政治家の協力だ。
 安倍元首相射殺事件の容疑者家族が象徴するように、日本の信者=民衆は、「極悪非道の償い」という「教義」に基づく「霊感商法」や「寄付」などで金品を搾り取られてきた。韓国の教団本部に蓄積された膨大な金品は、教団の欧米進出資金となり、日本に還流した一部は日本政治の保守的右翼的潮流を裏から支える活動資金となって貢献した。そして安倍政権下で親教会議員が大臣のときに原理運動、勝共連合、統一教会とさまざまな顔を使い分けて展開してきた教団の負のイメージを隠す「世界平和統一家庭連合」への改称にも成功した。
 安倍元首相銃撃死事件を機に統一教会問題が再浮上し、メディアは競って「空白の30年」を経て統一教会問題を報道し始めた。成果も出ているが、メディアには教団が政府与党の政策にどんな影響を与えているか、もっともっと踏み込んで取材するよう期待したい。
 8月末、23年度予算の概算要求が出揃った。防衛省の概算要求は5・5兆円弱、100項目規模で盛り込まれた金額を示さない「事項要求」を加えると6兆円台半ば。防衛費をNATO並みにGDPの2%に拡大するために走り出そうという驚くべき内容だ。

 実現すれば世界第3位の軍事大国。相手の射程圏外から攻撃するミサイルの量産、無人アセット防衛能力、宇宙・サイバーなど「領域横断的」能力に、弾薬・火薬の確保や部品不足の解消、部隊や補給品を前線に送る「機動展開能力」など臨戦態勢を思わせる項目も溢れている。まさか安倍元首相の「核共有」は想定されてはいまいが。
 岸田首相は内閣改造の5重点分野の筆頭に「防衛力の抜本強化」をあげ、浜田防衛大臣は就任会見で「南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化していく」と述べた。「ウクライナ」報道に自衛隊・防衛省関係者が連日登場し主張する防衛力強化に見事に呼応する。 
 沖縄にさらなる負担を強制する姿勢も見逃せない。内閣府の概算要求では沖縄振興予算を大幅減額する一方で、台湾有事を想定し、先島に住民用避難シェルター整備を検討。
 台湾有事でなぜ先島に?自衛隊・米軍の基地が攻撃され、ついで沖縄本島、さらには本土が標的になる。年末には安保関連基本3文書の改訂が行われ、予算に反映されかねない。
 日本が軍事大国に向かうのか、平和憲法にふさわしい国家にむけて努力するのか、メディアは岐路に立たされている。
  𠮷原 功
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月17日

【NHK】五輪番組虚偽字幕 公共放送たり得るか 「重大な倫理違反」= 小滝一志 

 放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会は9日、NHK「BSスペシャル 河P直美が見つめた東京五輪」(2021年12月26日放送)の字幕に「重大な放送倫理違反があった」との意見書を公表した。
 番組は、東京五輪公式映画の監督河P直美氏に密着取材したドキュメンタリー。公式映画ディレクターの一人である男性にインタビューするシーンで、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と問題の字幕を付けた。
 放送直後から、「インタビューの内容は真実なのか」「市民の意思表示であるデモの評価を貶めるものではないか」など視聴者の批判が殺到。NHKは今年1月9日、番組で「お詫び」、2月には「誤った内容の字幕を付けた」「放送ガイドラインを逸脱していた」との専務理事が責任者の調査チーム報告書に追い込まれた。

事実歪め3回変更
 BPO意見書は、@男性の五輪反対デモ参加Aお金をもらったなどの事実を担当ディレクターが確認したのかを詳細検証―。その上で「事実に反した内容を放送した」その「最大要因は、取材の基本を欠くおろそかな事実確認」と断定した。
 意見書は「デモの価値を貶めようとの悪意の介在は『不明』だが、試写段階で3回変更が加えられた問題の字幕は、試写を重ねるごとに取材した内容から離れ、事実を歪める方向に変わった」と指摘している。

番組全体に責任
 意見書はさらに、問題のシーンで男性が語る「デモは全部上の人がやるから(主催者が)書いたやつを言ったあとに言うだけ」「予定表をもらっているから それを見て行くだけ」は、別のデモに関する発言を五輪反対デモの発言に“すり替え”たものと指摘。「発言者を正確に確認せず、独自の解釈で編集した結果、視聴者を誤信させる番組を作った」とディレクターの姿勢を厳しく批判した。その上で、「五輪反対デモや、デモ全般までも貶めるような内容を伝えたことは、取材過程の問題点とは別に重大な問題」として、番組全体の責任にも言及した。

リスペクトを大切に 
 意見書は「放送前、6回もの部内試写を行いながら結局、取材・編集過程で問題シーンへの本質的疑問にチェック機能が働かなかった」ことを重視。要因としてスタッフの「デモに関心はないし、取材経験もない」「参加者にお金が支払われること違和感はもたなかった」などの発言にみられる社会運動への「関心の薄さ」を挙げ、「放送局のスタッフとして、民意の重要な発露である市民の活動に真摯な目線を向けるべきだ」とも指摘した。
 最後に「背景に無意識の偏見や思い込みがなかったか」と問題提起、今回の問題は正確な事実の報道と共に「取材相手と社会に対するリスペクトの精神を失わないこと」の大切さを放送界全体に教えていると結んでいる。
  小滝一志
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年10月16日

【今週の風考計】10.16─生活に根差した女性議員が増えれば日本は良くなる

北谷町議会の快挙
★「沖縄タイムス」の報道(10/13付)で知ったのだが、9月の沖縄・統一地方選を経て、新たに構成された北谷(ちゃたん)町議会(定数19人)は、女性議員の割合が36.8%、那覇市の32.5%を抜いてトップとなった。おそらく日本全国でも上位に入るのではないか。
★その北谷町議会で「女性だけの委員会」が誕生した。町の教育や福祉施策などを審議する「文教厚生常任委員会」の全委員6人が、30〜70代までの現職や元職、新人など女性だ。
 沖縄県内41市町村議会でも例がないという。子育てや介護などを経験している若手や中堅、ベテランの委員が、様々な角度から議案を審議している。
★女性議員が増え委員会での討議も活発になれば、保育や介護などの関連施策や男女の賃金格差解消、女性が安心して働ける環境整備に向けた取り組み、また女性特有の病気へのケアなど、女性であるがゆえに直面する課題への政策が具体化され、実現性が高まるのは明白である。

女性議員の比率は最低レベル
★現在、日本の地方議会に占める女性議員の割合は、都道府県議会11.8%、市区議会17.5%、町村議会11.7%でしかない。平均すると13.7%。女性議員がゼロの議会は、いまだに全体の3割を占める。
★国会ではどうか。女性国会議員が占める割合は衆院9.9%、参院25.8%、衆参両院合わせて15.4%、議員713人のうち女性議員は110人、7人に1人しかいない。依然として先進国の中では最低レベルという実態である。
★初めて女性の国会議員が誕生したのは戦後の1946年。39名の女性議員が誕生し、衆議院の議席の8.4%を占めた。以来76年を経て、ようやく2倍にも満たない15%になってきた現状は、誇れるどころか情けないとしか言いようがない。

急がれるクオータ制の導入
★この7月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、2022年度版の「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位、先進国で構成されるG7の中で最下位だった。
 とりわけ日本が他国の平均から大きく遅れをとっているのが、政治分野における女性活躍の項目である。なんと146カ国中139位。
★政治分野での女性活躍が顕著な上位3カ国は、この報告書でも34歳の若き女性大統領が誕生したフィンランド、アイスランド、ノルウェーと北欧が占めている。「誰もが政治家になりやすい」風土が基盤になっているからだ。
★この風土を、どうやって作るかだ。一つの試みが、「クオータ制」と呼ばれる仕組みの導入である。議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に不利益な扱いを受けている人に割り当てる「クオータ制」は、すでに世界118の国と地域で導入されている。
 フランスでは「パリテ(男女同数)法」と呼ばれるクオータ制が2000年に制定され、2002年には12.3%だった女性下院議員の割合が、2020年には39.5%にまで増加している。
 韓国も2000年にクオータ制を導入し、比例代表候補者の50%を女性にする義務、小選挙区の30%以上を女性に割り当てる努力をして、政治分野での女性の活躍を促進している。
★遅れに遅れたが、やっと日本政府も2025年までに、せめて全政党が衆参両院の議員候補者を決める際、女性の割合を35%にする目標値を掲げた。それをテコに女性議員を増やし、生活に根差した政策を実現させよう。それにしても岸田政権を支える自民党と公明党、まず隗より始めるのが先決だ。まあ無理か。(2022/10/16)
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2022年10月15日

【オンライン講演】シンポジウム「復帰50年 沖縄のいま・これから――沖縄にとって日本とは何か/ジャーナリズムは何をすべきか」 29日(土)午後2時から4時まで 基調提言:作家・池澤夏樹さん

パネリスト:金城正洋さん(ジャーナリスト) 黒島美奈子さん(沖縄タイムス論説副委員長)
司会:米倉外昭さん(琉球新報論説委員)

 今回のシンポは「沖縄の今とこれから」に目を向け、政治・経済に加えて文化的な課題も含めて、沖縄と日本の関係、日本にとって沖縄とは何か、沖縄にとって日本とは何かという、テーマを改めて考える。
  作家の池澤夏樹さんは、1993〜2005年に沖縄に住み、「カデナ」など沖縄を舞台にした小説や多くのエッセーを発表し、政治についても発言してきた。現在、沖縄の文化を世界に向けて発信するサイト「あまくま琉球」に取り組んでいる。池澤さんに、今そしてこれからの沖縄をどのように見ているのか、課題は何か、サイト作りに取り組む理由にも触れながら、基調提言という形で語っていただく。

★参加費:500円 Peatixhttps://imakorekara.peatix.com/?utm_medium=web&utm_medium=%3A%3A%3A1%3A3389235&utm_source=results&utm_campaign=searchを通じてお申込みください。
【なおJCJ会員は無料です。onlinejcj20@gmail.com に別途メールで申し込んでください。】

★パネリスト・司会の略歴
金城正洋さん:1959年、石垣島生まれ。琉球朝日放送記者を経てジャーナリスト
黒島美奈子さん:1970年沖縄県生まれ。93年沖縄タイムス入社。社会部・学芸部・政経部・デジタル編集部を経て現在、論説副委員長
米倉外昭さん:1961年富山県生まれ。1987年琉球新報入社。現在、編集局整理グループ所属、論説委員

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) 
  電話03−6272−9781(月水金の午後1時から6時まで)
  メール:office@jcj.gr.jp
デイリーJCJ:http://jcj-daily.seesaa.net/
ホームページ:http://jcj.gr.jp
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2022年10月14日

【出版界の動き】拉致問題を巡り「図書館の自由」を侵す文科省要請=出版部会

●22年8月の出版物販売金額801億円(前年比1.1%減)、書籍423億円(同2.3%減)、雑誌378億円(同0.2%増)。月刊誌315億円(同0.3%減)、週刊誌62億円(同2.4%減)。返品率は書籍37.9%、雑誌41.8%、月刊誌41.5%、週刊誌43.3%。
 雑誌の売り上げがわずかにせよ前年増となったのは21年5月以来。『ONE PIECE』(集英社)第103巻が300万部を超えて発売されたことなどによる。

●日本出版者協議会(出版協)が文科省の「拉致問題に関する図書の充実に係る協力要請」に、9/29付で抗議声明を発表した。
 文科省が8月30日に各都道府県の教育委員会宛てに出した事務連絡「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等について」は、内閣官房拉致問題対策本部事務局より協力依頼があったためとして、公立図書館・学校図書館等で拉致問題に関する本の充実を図ること、さらに拉致問題に関するテーマ展示等で児童生徒や住民がそうした図書等を手に取りやすくする環境を整備すること、を求めている。
 出版協は「図書館が社会的問題や人権問題に関する資料を充実させることについて異論はない。ただし、それはあくまで図書館が自主的に判断する問題であり、権力が介入するべきではない」として「図書館の自由」を侵す要請に強く抗議し、事務連絡の取消しを求めている。また図書館問題研究会も10/9付で、同趣旨の声明を発表している。

●昨21年、公共図書館から個人が借り出した出版物の総数は5.4億冊(20年は6.5億冊)、21年の図書館数は20年より6館増えているのに、なぜ1億冊以上も減少しているのか。コロナ禍や電子書籍図書館化が原因とも思われず、この減少は注視しなければならない。

●新プロジェクト「#木曜日は本曜日」をスタート─東京都内にある中小書店が中心となって10月6日から、多くの人々に本屋へ足を運んでもらうための取り組み。一週間に一度、毎週木曜日に本屋と本を愛する人にインタビューする動画を公開。また本好きが選書した本を都内約180店舗で販売する。

●出版業界で働く女性有志が運営する「出版女性人の会」が、11月16日開催の上野千鶴子氏オンライン講演会の参加者を募集。講演テーマは「ホモソーシャルな出版業界 ―その悪しき体質、変えられますか?」。定員200人、会費500円。申込み締切日11月6日。申し込みはhttps://shuppan-josei221116.peatix.com へ。問い合わせはメールにて小学館PS・中島氏(n-aika@sho-ps.co.jp)、ワニブックス・出原氏(idehara@wani.co.jp)まで。
 出版部会
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2022年10月13日

【おすすめ本】小山美沙『黒い雨 なぜ被爆者たちは切り捨てられたのか』―援護法の根本精神に反する「歯止め論」=菅原正伯

 原爆による放射性物質をふくむ「黒い雨」を浴びた被爆者が、なぜ戦後70年以上も救済されず放置されてきたのか。本書は志をもった若き記者が為政者の責任を追及したドキュメントだ。
 たとえば、黒い雨被爆者であると認定されるには黒い雨の降った雨域を確定する必要がある。最初の卵形をした宇田雨域(1953年)は行政区の境界線で「線引き」したため不正確で、区域外から不満が続出していた。2度目は気象学者の増田善信だ。原爆の後の大火災に伴う降雨が、きれいな「卵形」で降ることはありえない。再調査に乗り出した増田は、約2年かけて30編59冊の手記と体験記集を読み、アメーバ形の増田雨域(89年)を完成させた。宇田雨域の約4倍もの広さだった。
 3度目は08年に広島市がおこなった黒い雨体験に関する大規模アンケート。2万7000人から有効回答を得て、大瀧雨域(10年)を発表した。被爆者に認定される宇田大雨雨域より5〜6倍広いと報道された。
 ところが、増田雨域や大瀧雨域にもとづき援護区域の拡大を申請したところ、国からはともに拒否される。理由は、被爆者援護行政を見直す基本懇報告書(80年)に盛られた「被爆地域の指定は、科学的・合理的な根拠のある場合に限定」という一文。「科学的・合理的な根拠」の具体的な内容は示さず、基準もない。鬼に金棒だ。
 黒い雨被爆者はついに提訴した(15年)。だが、一審、二審とも原告の全面勝訴となった。「根拠」云々は結局、被爆者拡大の「歯止め」とすることであり、被爆者援護法の根本精神に反するものだと断罪された。(集英社新書960円) 
                           
「黒い雨」訴訟(表紙).jpg
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