2022年11月09日

【月刊マスコミ評・出版】右派メディアのアベ礼賛祭り=荒屋敷 宏

  統一教会をめぐる『週刊東洋経済』10月8日号と月刊『マスコミ市民』10月号の勇気ある編集に敬意を表したい。「宗教 カネと政治」で37ページにわたり特集を組んだ『週刊東洋経済』の読みどころは、統一教会と関係の深い企業一覧だろう。鮮魚・飲料・置き薬・自動車学校・病院・学習塾…と超多角化経営だ。
 外国語教室を営む統一教会関連企業は伊藤忠商事、三菱商事、日本生命保険、電通、三菱UFJ銀行、JR東日本の研修実績があると宣伝している。文化庁が宗教法人と交わした「裏約束」、「LGBTたたき」で一致する統一教会と神社本庁などスクープ満載である。
 特集「統一教会と自民党」で事の真相に迫る『マスコミ市民』の島薗進、有田芳生、前川喜平、山口広の各氏へのインタビューは、読み応えがある。島薗氏は、日本からカネを収奪する統一教会を右派メディアが批判できない弱点を突き、月刊『Hanada』や月刊『WiLL』などの雑誌について「困惑していると思います」と指摘している。
 右派雑誌の代表ともいえる『Hanada』『WiLL』『正論』は事件後、故安倍晋三元首相を礼賛する特集を掲載し続けている。『Hanada』11月号には「国葬」で開き直る岸田文雄首相と小川榮太郎氏の対談をはじめ、「国葬」反対派は“極左暴力集団”との虚偽を意図的に流した有本香氏、反安倍の国民を「アベガー教」のカルトだと攻撃する藤原かずえ氏、『WiLL』11月号にはアベガーの俗論を徹底粉砕としつつ「旧統一教会の実態は、私は専門家ではないし、わかりません」と腰の引けた阿比留瑠比氏など、確かに、統一教会への困惑を隠せない様子だ。
 なかでも『正論』11月号では、岩田清文元陸上幕僚長と島田和久元総理秘書官・前防衛事務次官が対談し、かつて最高指揮官だった安倍氏を追悼している。防衛省・自衛隊にとっての安倍氏の役割を絶賛し、自衛隊を憲法に書き込む「憲法改正」が心残りだったのではないかと偲んでいる。一方で、かつて吉田茂元首相が自衛隊を「日陰者」と呼んだことへの不満を表明している。そのうえで、安倍氏は、吉田氏の「軽武装経済重視」を改めようとしたのだと結論づけている。戦後、「国葬」となった2人の元首相に対する元防衛省関係者の、この態度の違いは何か。「国葬」賛成雑誌の軍国主義礼賛の本音も透けて見えてくるのである。 
 荒屋敷 宏
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号

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