2022年11月26日

【22年度JCJ賞受賞者スピーチ】核のゴミ  民主主義 機能しない国 北海道放送報道部デスク 山ア裕侍さん

                             
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JCJ賞は2年前にも「ヤジと民主主義」で受賞させていただきました。今回の番組にもサブタイトルに民主主義とつけました。地方で  起きている問題が、この国の問題に凝縮されていて、そこをずっと見て取材していくと、この国の民主主義が機能していない課題というのがすごくわかります。
この問題の発端は2年前の8月の北海道新聞のスクープでした。「寿都町が核のごみの最終処分場の調査を検討」と。もうびっくりしてですね、それから取材を始めました。毎日、記者たちが札幌から車で3時間、180キロを通いました。核のゴミと未来というキャンペーン報道を続け、今年の5月末までに416回、ニュースや特集を出しています。それらをまとめたものが今回受賞した番組になります。
 人口2700人の小さな町に全国からメディアが来て説明会のあと、住民を囲んで賛成か反対かと。我々がさらに住民の分断を招いてしまった部分があるのではないか。説明会が終われば住民にはまた日常が続くわけです。メディアが煽っている部分もあると反省しながらキャンペーン報道を続けてきました。

 町長は、批判の報道が強くなるとメディアを賛成・反対で選別するようになりました。しかし町長の手を挙げざるを得ない思いも正確に伝える、賛成派の言い分も伝えるようにしています。一方、反対する住民は、札幌の大きな労働団体などからの協力を断り、私たちの町のことは私たちでやると、いろいろな意見を出し合いながら、地域に暮らしながら反対していくというのは、こういうことなのだろうなと感じました。
 やはり核のごみというのは日本全体の問題ですが、地元メディアですら、核を取るか過疎を取るか寿都町、というタイトルで放送するのです。違うだろうと、押しつけられたのは地元であるけれども押しつける構造自体に問題がある。報道を通じてみんなの問題という風に感じてもらうためにはどうしたらいいのかということを考えて番組にしました。
 核のごみの交付金に頼らない町づくり、もう一歩先を見据えて住民たちが活動を始めています。それができれば課題解決の先進地になるのではと思い、これからも取材を続けていきたいと思います。

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 22年度JCJ賞受賞者スピーチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする