2022年11月27日

【今週の風考計】11.27─「日本の海」で伊勢エビ・アワビが泣いている

伊勢エビが激減
地球温暖化の大波は日本の海にも押し寄せ、魚介類や海藻など60種以上の生物が危機にさらされている。水温上昇で進出してきた南方系の魚による食害で藻場が減少し、魚が棲めない深刻な事態が進んでいる。
三重県志摩市の和具漁港では、伊勢エビの水揚げが6年前には年間40トン、今や7トン。水温が上昇したための「磯焼け」が原因という。
 アラメやミルなどの海藻が全滅し、見るも無残な<海の砂漠>を見るにつけ、潜ってもアワビやサザエが獲れない海女さんの嘆きが痛いほど分かる。海藻を食べるブダイや毒ウニのガンガゼ、さらには伊勢エビを食いかじるウツボの駆除など対処もいいが、地球温暖化を止める根本的な取り組みが急がれる。

日本でサケが獲れなくなる日
日本近海の海面水温(年平均)は、100年で1.16℃上昇。その率は世界平均が0.56℃の上昇だから、約2倍のスピードだ。日本の外気温の上昇率1.26℃とほぼ同じである。
 海水温が上昇すると、千葉や茨城を北限とするブリが北海道で獲れたり、瀬戸内海や東シナ海が主な産地のサワラが東北でも水揚げされたり、魚種が様変わりする。それだけではない。2050年にはオホーツク海はサケが棲めない高温となり、北海道や東北の河川へとサケが回遊するルートが消失、日本でサケが獲れなくなる日が来るかもしれないのだ。
日本海の深層でも水温が上昇し、かつ酸素濃度が低下しているため、キンメダイやカニといった深海性の生物、さらに死骸などを分解するバクテリアが死滅し、生態系のバランスが崩れ、日本海の恵みが失われる可能性が高まる。

怖い海の酸性化
「黒潮大蛇行」の動きも要注意だ。紀伊半島沖で南に大きく迂回し、その後、東海から関東に近づく大きな黒潮の流れである。この大蛇行は今も継続中で過去最長5年4カ月になる。暖流の黒潮が流れる海は水温が高く、その一方、蛇行の内側では水温が低く、静岡のシラス漁は漁獲量が大きく減っている。
さらに地球温暖化は海の酸性化を加速する。海水は平均8.1pHの弱アルカリ性だが、大気中の二酸化炭素(2020年の吸収量は29億トン)を吸収し続けている。海水が酸性化すれば、炭酸カルシウムの形成が難しくなり、骨格や殻をつくるホタテやアサリなどの貝類、カニやエビなどの甲殻類、サンゴの成長に悪影響をおよぼす。

気候変動による被害140兆円
気候変動による被害額は、2050年時点で年1兆ドル(約140兆円)に及ぶとの試算がある。この20日、「COP27」が気候変動の悪影響に対して脆弱な途上国を支援するための基金の設立を決め、閉幕した。
あわせて世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5℃内に抑えるためには、さらなる努力を追求し、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を2019年比で43%削減するとした。
 クリーンエネルギーによる発電やエネルギー効率化を促進し、石炭火力発電の段階的削減、化石燃料補助金の段階的廃止に向けた取組みも加速することが盛り込まれた。
だが岸田首相は「COP27」に出席せず、「石炭火力発電の廃止や再生エネの導入目標引き上げ」についても沈黙したままだ。来年、日本で開催する主要7カ国(G7)会議の議長国として、脱炭素に向けた取り組みを、もっと積極的に進める義務がある。(2022/11/27)
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする