2022年12月12日
【沖縄リポート】与那国 早くも「生活の場が戦場に」=浦島悦子
6年ぶりの第7回世界のウチナーンチュ大会(5年ごとに開催。昨年の予定がコロナ禍により延期)が10月30~11月3日に開催され、沖縄にルーツを持つ人々(世界13の国と地域から約1600人及び国内・県内)が、那覇市の国際通りで行われた前夜祭パレード(=写真=)を皮切りに沖縄各地で絆を確かめ合った。
1899年のハワイ移民から始まった沖縄の移民は、期待とは裏腹な移民先での並々ならぬ辛苦を乗り超えて現地に根を張ると同時に、「本家」の沖縄よりも伝統文化やしまくとぅばを残している。140万県民と、42万人と言われる海外ウチナーンチュの共同作業が、県や国の境を超えた沖縄の未来を拓くのではないか。
閉会式で主催者挨拶を行った玉城デニー知事は、「世界中から戦争の恐怖を取り除くために対話と共存を求めよう」と述べ、今大会のメッセージは「平和」だと語った。
しかしながら沖縄の現実は、真逆の事態が進行している。中国を念頭に置いた自衛隊と米軍による日米共同統合演習「キーン・ソード23」が10日から、南西諸島を主舞台に始まった。自衛隊・米軍基地や訓練区域だけでなく、「有事」を想定した民間空港・港湾施設や公道の使用も行う。台湾に近い与那国島では空港を使用し、最新鋭の機動戦闘車が公道を走る。「生活の場が戦場になる」ことを先取りするものだ。
県民は「戦争前夜」「第二の沖縄戦」の危機をひしひしと感じている。8日朝、演習に向けて沖縄島中部の中城湾港に自衛隊車両を積んだ輸送船が着岸した。港には、ミサイル配備反対の活動を続けている、うるま市島ぐるみ会議を中心に百人以上の市民が集まり、「県民の物流拠点を台湾有事に使うな!」「沖縄を再び戦場にする戦争訓練反対!」と抗議の声を上げた。陸揚げされた73台の自衛隊車両の移動を止めようと港のゲート前に座り込んだが、機動隊によって排除された。
9日、「ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会」が演習の中止を求める緊急声明を発し、夕刻には雨の中、県庁前の県民広場で抗議集会が行われた。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年11月25日号