◆22年10月の出版物販売金額845億円(前年比7.5%減)、書籍484億円(同5.9%減)、雑誌360億円(同9.7%減)。月刊誌296億円(同10.8%減)、週刊誌64億円(同4.3%減)。返品率は書籍34.1%、雑誌43.8%、月刊誌43.4%、週刊誌45.5%。
◆昨年の出版物販売額は1兆4473億円(前年比1.0%減)。そのうち電子媒体の販売金額は4,662億円(前年比18.9%増)、紙媒体と比べて大幅な増加。海賊版サイトの閉鎖措置で、電子コミックの収益が回復。さらに出版各社がネットや映像との融合、デジタルメディアの強化、電子書籍の展開など、新たなビジネスモデルの構築に傾注。
講談社では、企業や団体が販売促進や広告宣伝に役立つサイト『C-station』を展開。またソフトバンクと協業して講談社が運営する「ミクサライブ東京」で、LIVEエンターテインメントコンテンツを展開する。集英社はDeNAと共同会社を設立し、エンターテインメント事業の開拓に乗り出している。
◆日販の「出版物販売額の実態」最新版(2022年版)によると、21年度の出版社数は2907社、売上高100億円以上の出版社は全体の1.0%(29社)、総売上高の52.5%を占める。売上高10億円以上(全体の7.4%)と広げれば総売上高の84.6%となる。売上高1億円未満の出版社が全体の70.3%、それらの売上をすべて合わせても、出版物総売上高の2.7%に過ぎない。出版界の寡占化は激しい。
一方、書店の状況はどうか。21年度の書店は 8642店舗。2010年度をピークに店舗数および坪総数が減少しはじめている。ここでも「書店の大型化」が進み大型店舗のみが生き残る事態になっている。町の本屋さんが消失している。
◆紀伊國屋書店は15年連続で黒字決算。今年度期の連結売上高1209億円(前年比4.6%増)、当期純利益20億3200万円(同34.8%増)と大幅に伸長。
◆出版文化産業振興財団の調査で、書店のない市町村が全国で26.2%に上ることが分かった。全国1741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっている。人口減少による経営難や活字離れ、スマートフォンの普及による娯楽の多様化が背景にあり、全国の書店数はこの10年で約3割も減少。地方では文化発信の場が失われる危機が迫る。
全自治体に占める書店ゼロの割合は、トップの沖縄県56.1%、順に長野県51.9%、奈良県51.3%。書店ゼロか1店舗しかない自治体の割合は長野県71.4%(55自治体)、北海道70.9%(127)が高かった。
◆日販とトーハンが2022年の年間ベストセラーを発表。総合1位は、和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)で発行部数57万5000部。
◆2022年上期の新聞(朝刊)発行部数は、読売新聞686万部、朝日新聞429万部、毎日新聞193万部、中日新聞192万部、日本経済新聞175万部、産経新聞102万部。北海道新聞85万部、東京新聞39万部。
出版部会