2022年12月22日
【オンライン講演】統一教会問題はまだ終わっていない 報道の関わり方とは 金平、鈴木、藤森3氏が語る=古川英一
統一教会の問題とメディアの関わり方について考えるオンラインシンポジウムが11月13日に開かれた。主催したのは、メディア関係者や市民で作る「NHKとメディアの今を考える会」で、ジャーナリストの金平茂紀さん(写真左)、鈴木エイトさん(中央)、藤森研さん(右)の3人が顔を揃え、470人が参加した。
まだ「問題」は入口
まず金平さんが「いまは、統一教会の問題はもういい、あきた、視聴率の数字も取れない、といった空気が社会全体に流れている気がする。本当はまだ問題の入り口に過ぎない」と危機感を訴えた。そのうえで、これまでメディアがこの問題をどう報じてきたのが振り返った。藤森さんは、朝日新聞記者として朝日ジャーナルで1986年から1年間キャンペーン報道を展開。統一教会問題についての初めての本格的な報道になった。それを踏まえ「60年代は人の収奪、70年代は金の収奪、90年代からは堅い信者から巻き上げる、というのがやり方」と述べ「メディアがコンプライアンスジャーナリズムとなる中で、
それが企業防衛・保身となって宗教問題に及び腰になっていった」と問題点を挙げた。
フリーとして孤軍奮闘、取材を続けてきた鈴木さんは「単なる金銭収奪だけでなく人生そのものまでを奪ってしまうのがカルト団体の一番の問題」と指摘し、「フリーとして客観報道より踏みこんで自分の存在が教会側に影響を与える、というやり方で取材している」と述べた。また2人は統一教会の人たちから尾行されたり、脅しの電話を受けたりしたことなども裏話として語った、
「悪行」暴く報道を
最後に金平さんは「本質的なところまでいかず事実に蓋をすればまた同じようなことが起きてしまう。メディアはどうしたらよいのか」と提起した。
藤森さんは「教会の悪行は徹底的に暴く、組織ジャーナリズムは調査報道をしなければ社会的な責任は果たせない」と、後輩たちにエールを送った。鈴木さんは「あらゆるものに蓋をせず追いかけていく。被害者を社会全体でケアしていく、きちんと伝えていけば社会の関心が薄れることはない」と静かな口調ながら確信を持って語った。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年11月25日号