2023年01月04日
【沖縄リポート】司法と行政の茶番劇だ=浦島悦子
司法はここまで落ちぶれてしまったのか‼
沖縄県による「辺野古埋立承認撤回」を取り消した国土交通大臣の裁決は違法だと、県が裁決の取り消しを求めた抗告訴訟で12月8日、最高裁は県の上告を棄却。一度の弁論も行わないまま、「裁判の対象ではない」「県に原告の資格はない」とした一審・二審の判決が確定した。私人(国民)の権利救済のための行政不服審査法を国(行政権力)が使った裁決が、適法かどうかという中身の判断を避けた。
松野官房長官は「沖縄県の訴えを不適法とする国の主張が認められた」と語ったが、司法と行政権力が結託した茶番劇、「国の言うことに従え」という脅し以外の何物でもない。
辺野古新基地建設を巡って沖縄県がこれまでに提訴した訴訟はことごとく、県の敗訴に終わっている。訴えの中身には一切触れず門前払いする司法の在り方は、三権分立をかなぐり捨て、地方自治を踏みにじり、社会正義を実現する「最後の砦」としての役割を放棄した「自殺行為」だ。
私たち新基地予定地周辺に住む住民も、県の抗告訴訟と同様の訴訟を起こしたが、これも今年4月、那覇地裁で原告適格なしとして棄却され、現在、高裁に控訴中だ。
また、埋立予定地の大浦湾側で見つかった軟弱地盤改良工事のための設計変更申請に対する玉城デニー知事の「不承認」についても、国交大臣は同じ「手口」で取り消しの裁決を行った。これに対して沖縄県が提起した3件の訴訟の2件について1日、福岡高裁那覇支部で口頭弁論が開かれ(写真)、玉城デニー知事が意見陳述した。知事は、「これは沖縄の問題ではなく、わが国の地方自治体の自治権を守るたたかいだ」と強調した。
私たち住民も、知事の不承認を支持する新たな抗告訴訟(原告20人)を提起した。県(行政)よりも、基地の被害を直接受ける住民の方が原告適格を認められやすい。「原告適格」の関門を突破すれば、国の違法性を問う中身の審理に入れる。その可能性を探りつつ、同時に司法をただす気概を持って取り組んでいきたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年12月25日号