『週刊文春』と『週刊新潮』が創価学会を批判するキャンペーンを始めた。『週刊文春』の見出しを追うと、「統一教会新法を骨抜きにした創価学会のカネと権力 二世たちの告発」(12月1日号)「創価学会が恐れるオウム以来の危機」(同8日号)「「池田大作は3年間近影なし 創価学会の『罪と罰』」(同15日号)。
先んじていたのは『週刊新潮』で、同誌11月24日号で「『長井秀和』が明かす『創価学会』と『政治』『献金』『二世』」を掲載したところ、創価学会側が新潮社とお笑い芸人の長井氏に抗議書(学会代理人・新麹町法律事務所)を送付する騒ぎになった。学会は『週刊文春』にも抗議書を持参し、謝罪と訂正記事の掲載を求めている。
創価学会は、ホームページの基本情報によると、会員は827万世帯、海外会員280万人、聖教新聞の部数は公称550万部とされる。統一教会問題で浮上した高額献金や二世問題は、創価学会と通底すると指摘されてきたが、週刊誌が今頃になって取り上げ始めたのは、なぜか。この問題に関心を持つ読者の市場規模もあるが、それだけではない。
一つは、元創価学会員が声を上げ始めたことだろう。長井氏に続いて、元創価学会本部職員・ライターの正木伸城氏は『週刊新潮』12月1日号の手記で、36歳で創価学会本部を辞めた理由として「公明党を心から応援できなくなったことも一因である」「自分に嘘をつくことに私は耐えられなかった」と書いている。「学会は公称827万世帯という会員数を誇るが、その勢力は衰え続けている」とも。
二つには、統一教会の被害者を救済するはずの新法を骨抜きにしたのが創価学会ではないかとの疑惑があるからだ。新法には、マインドコントロール下での高額寄付の禁止や寄付金の上限規制が盛り込まれなかった。信者からの寄付金を収益の柱とする創価学会が、公明党国会議員を使って新法の骨抜きに奔走した様子を『週刊文春』が伝えている。
週刊誌が創価学会を追及する理由は、「数多の宗教団体とは異なり、政権与党・公明党の支持母体であるからに他ならない」(『週刊文春』12月8日号)とも書いている。
もし、そうであるならば、もっと早くから追及する記事を連打すべきだったのではないか。岸田政権への公明党の影響力の低下にあわせて、記事を出したり、引っ込めたりすることは、ジャーナリズムの道から外れていると言わなければならない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年12月25日号