2023年01月28日
【JCJオンライン講演会】2月4日(土)午後2時から4時 ロシアのウクライナ侵略と日本の安全保障 〜敵基地攻撃と軍事費大幅増の危うさ〜 講師:歴史学者 纐纈 厚さん(明治大学国際武器移転史研究所 客員研究員)
2007年に防衛庁が省に格上げされた当時から指摘されていたように、日本は軍事的力量や法制面で、「いつでも戦争ができる国」としてすでに登場している。そして今や、政府は軍事費の大幅増により、武器の爆買いをし、敵基地攻撃能力の保持を目指し、核の共有議論までしようとしている。
ロシアのウクライナ侵攻の長期化、北朝鮮、中国の動向などが口実とされている。このような事態を私たちはどう考え、どのような未来を見つけたらよいのか。今、しっかり立ち止まって論議を尽くさねばならない時ではないでしょうか。長年、日本の軍事的側面を研究分析してこられた纐纈厚さんに「日本の安全保障」について講演をお願いした。
【講師の略歴】
纐纈 厚(こうけつ・あつし)
1951年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、明治大学国際武器移転史研究所客員研究員、山口大学名誉教授(政治学博士)、東亜歴史文化学会会長、植民地文化学会代表理事。この他に全国革新懇談会代表世話人、共同テーブル発起人、「重慶爆撃を継承する会」「中国文化財の返還を求める会」の共同代表などを務める。
参加費:500円
当オンライン講演会に参加希望の方はhttps://jcjonline0204.peatix.com/viewで参加費をお支払いください。
(JCJ会員は参加費無料。jcj_online@jcj.gr.jp に別途メールで申し込んでください)主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)03-6272-9781(月水金の13時から18時まで)https://jcj.gr.jp/
【22読書回顧】―私のいちおし 助力者としての男性像とは=谷岡 里香(メディア総合研究所所長)
『新しい声を聞くぼくたち』(講談社)の著者河野真太郎氏は、異性愛者の男性で、大学教員で健康な肉体を持つマジョリティの一人である。そうした自身の社会的階層を自覚した上で、男性間にある階級や障害等の横断的な交差性(インターセクショナリティ)を多くの事例を基に解説する。
新自由主義とグローバル化の中で社会の至る所で分断が見られる現在、マジョリティである「ぼくたち」はどういう声に耳を傾けると良いのか。筆者は国内外の映画を題材に男性性の生き残り戦略として「助力者」という言葉をあげる。この点は自身の弱さを認め仲間の力を得て成長する男性像に共感が集まることと呼応している。
「イクメン」の危険性にも言及する。子育てに熱心な父親は女性差別意識が高い。「イクメン」は自己管理能力を重視する新自由主義の申し子という側面も持つのである。
筆者はゴールに「ケアする社会」を置く。超高齢社会にあって他者への正しい依存も許されず、市場からの脱落は「自己責任」と烙印を押される時代にあって、「助力者」や「ケアする社会」は成熟を思わせる。マジョリティの男性が男性性を考えることは社会を変えることに繋がっている。
山口智美・齋藤正美・荻上チキ著『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(勁草書房)が発行されたのは2012年であるが、今年電子書籍版が出た。本書は、フェミニスト側の著者たちが、反フェミニズム運動(世界日報社は最も恐れられた組織である)の複数の中心人物に直接会って対話をした記録である。
21世紀初頭のバックラッシュ時、ジェンダーを敵視する側の運動を、組織的犯行と筆者も思い込み恐怖を感じていた。しかし実際は、地域で誠実に活動し信頼を得た上で反対運動をしている人物が複数いた。保守の地道な草の根運動に対して、フェミニズムのそれはどうであったか。
改めてジェンダー問題の足元を批判的に見る機会を与えてくれる一冊。