2023年02月12日

【今週の風考計】2.12─日本を襲う2つの大地震、そして原発事故の恐しさ

トルコ・シリア大地震の恐怖
トルコ・シリア大地震による死者は2万3千人、建物の倒壊はトルコ国内だけでも6500棟を超え、さらに被害は拡大している。 震源の深さは本震(マグニチュード7.8)が地下18q、余震(M7.5)が地下10q、浅い所で発生したため地表の揺れは極めて激しく、建物の倒壊に拍車が掛かったとみられる。
今回の地震の震源地ガジアンテプの地底では、複数のプレートが衝突し、その境界には「東アナトリア断層」など、複雑な断層がひしめいている。そのため歪みがたまりやすく、蓄積されたエネルギーが放出されて起きる地震の多発地帯だった。
 だが、この地域では200年以上、大きな地震がなく、警戒すべき兆候もなかったため、耐震対策や救援体制が不十分だったので、被害を大きくしている。

首都直下地震と南海トラフ地震
さて日本はどうか。世界で起きるM6.0以上の地震のうち、その2割が日本で発生している。まさに地震多発国、心配がつのる。内閣府の発表によると、今後30年以内に発生する確率が70%の大規模地震には、首都(東京)直下地震と南海トラフ地震の2つがある。
まず首都(東京)直下地震は、どこで起きるか。東京のど真ん中でとは限らない。予測では東京駅を中心に直径100kmの円内のどこかで、M7.0ほどの地震が起きる。すなわち東は千葉県・銚子、西は静岡県・熱海、南は房総半島南端、北は群馬県・高崎までが含まれる。
こうした範囲の地下深くには複数のプレートが集まり歪みが生じやすく、国内でも地震の多い地域である。もし起きれば都内の死者は最大6200人、火災や倒壊による建物被害は約19万4400棟と予測している。くわえて国の中枢機能が集中しているだけに、日本全体が沈没するほど、甚大な影響を受ける。
南海トラフ地震はどうか。静岡県・駿河湾から熊野灘、土佐湾を経て宮崎県・日向灘沖にかけて、海溝「南海トラフ」が伸びている。その下に「フィリピン海プレート」が太平洋側から年間数センチほど潜り込むために歪みが生じ、その限界が来ると「陸のプレート」が跳ね上がって地震が発生する。
 太平洋沿岸の東海地方から九州地方にかけ、10mを超える大津波の襲来も予測され、西日本側の広い地域に甚大な被害をもたらす。

<3・11フクシマ>から12年
この2つの地震以外にも、日本全国には約2,000もの活断層があり、近い将来、大地震を起こす可能性の高い活断層も明らかにされている。いつどこで大きな地震が起きてもおかしくない。
 日本で最大のM9.0を記録した東日本大地震から12年。その余波が、いまもなお続いているのを忘れてはならない。
昨年3月16日には、牡鹿半島沖の深さ60kmを震源とするM7.4、震度6強の揺れを観測する地震が、宮城県と福島県で起きている。この地震により3人が死亡、247人が負傷し5万棟近くの住家が被害を受けた。東北新幹線の車両が脱線事故を起こすなど、甚大な被害が発生している。
加えて原発事故を伴った<3・11フクシマ>の被害は、子々孫々に及ぶ世界にも例を見ない規模となった。いまだに原発廃棄物デブリや汚染土の処理、被害者救済のロードマップも遅々として進まない。
 南海トラフ地震が起きたら、もろに被害がおよぶ浜岡原発。太平洋に面する静岡県・御前崎の突端にある。すでに稼働40年を超え老朽化し、稼働を停止しているとはいえ、耐震性や防波壁も不十分、住民の不安は尽きない。

原発稼働を無期限化する妄動
ところが岸田政権は、<3・11フクシマ>の教訓を反故にし、突如として原発再稼働・稼働期間の延長・新規建設をぶち上げ、国会審議にもかけず突っ走り、10日には閣議決定までしてしまう。
また司法も事故を起こした電力会社の社会的責任は問わず、政府の意向に追随する。原子力規制委員会に至っては、原発稼働は「原則40年・最長60年」の規制を骨抜きにし、60年を超えても老朽原発が稼働できる道を整えてやるのだから呆れる。こんな乱暴な原発推進が、いかなる結果をもたらすか、国を亡ぼすのは目に見えている。(2023/2/12)
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする