JPOT(東海ジャーナリズムプロジェクト)は東海大学文化社会学部の羽生浩一教授のゼミで、学生たちはJCJ賞の受賞者のスピーチを聞いて、取材して、自分たちの意見をまとめて毎年1冊の冊子を作り上げていく。その活動の中から学生たちにジャーナリズムの鼓動や社会の動きを感じてもらおうという狙いだ。2016年に共同プロジェクトとしてスタートし、JCJからも元記者のメンバーが中心になってデスク役を務めている。
2022年は6つの受賞作品と特別講演について1年生から3年生まで7人が参加して(4年生もサポート)、9月の贈賞式以降、受賞者への取材を行った。今回の受賞作は地方からの発信が多かったため、ZOOMでの追加取材や、中には長野まで出かけて話を聞いた学生もいた。そして毎月2回ZOOMでデスクも含めた編集会議を行い、年末までほぼ3か月かけて冊子をまとめていった。
取材して原稿を書くのは初めてという学生もいて、デスクとのやりとりに、めげることなく何度も書き直し、自分の気づきを文章に刻んでいった。沖縄の2紙を担当した学生は「沖縄の犠牲によって今の私たちの生活が成りたっているのかと思うと、沖縄が直面している問題に無関心ではいられない」と記した。また「将来メディアの仕事につけたなら、どうすれば関心のない人にも届くか、どうすれば自分の事として考えてもらえるかを常に意識したい」と意気込みを書きこんだ学生もいる。
冊子では毎回、学生が自分たちで決めたテーマで座談会を行っている。今回は大賞の「教育と愛国」についてだ。日頃キャンパスではなかなか話題にできないような問題を本音で語り合った。「正しい日本人像を教育でどうこうしようというのは違うのではないか」という指摘や、ドイツの教育について調べてきた学生は「加害の歴史を乗り越えて二度と繰り返さないという意識があると思った」と語る。こうして学生たちの問題意識が高まっていくのを見ることができ、この中から、ジャーナリストを目指す人が出てくることを期待したい(これまでに何人かが記者のへ)。
JCJ賞のジャーナリストと学生とのコラボレーション、来月には冊子をお届けできると思う。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年1月25日号