2023年03月03日
【沖縄リポート】有事起こさせぬ民間外交を=浦島悦子
2月1〜7日、沖縄平和紀行韓国参加団(女性6名、男性5名)が来沖した。参加団を構成するのは、韓国・群山で駐韓米軍の問題に取り組む「ピョンファパラム(平和の風)」と地域メディアプロジェクト「ナルリポプソク(日本語で「喧々諤々」)」。米軍基地問題を共有し、長年、韓国市民との交流を続けている「沖韓民衆連帯」が受け皿となり、沖縄のさまざまな現場で市民・住民との交流を深めた(=写真=)。
ナルリポプソクは、映像やメディアを通じて、群山はじめ駐韓米軍の問題を発信している韓国各地の若者たちで構成されている。今回、海外の事例についても学び、交流とともに撮影やインタビューを行いたいと、沖縄戦の戦跡や伊江島、辺野古や普天間、浦添、嘉手納、読谷、PFOS等の環境問題、うるま市や石垣島のミサイル基地の現場などを廻った。
4日には、オール沖縄会議主催の辺野古ゲート前県民集会(毎月第1土曜日開催)にも全員で参加・登壇し、韓国から持参した「沖縄から米軍は去れ!」と書かれた横断幕を沖縄に贈呈。630人余の集会参加者の熱い拍手を浴びた。
私事だが、集会の後、私も彼らから、かなり長時間のインタビューを受けた。通訳を通じてのもどかしさはありつつも、若者たちの真摯な問いかけ、向きあい方に感動を覚えた。
沖縄も含め日本の学校教育の中で、日中・日韓関係、朝鮮戦争など東アジアを含む戦後史がほとんど教えられないまま、「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」が喧伝され、国民の「嫌中」「嫌韓」を増幅しつつ戦争への準備が急激に進んでいる。日本政府が米国の要求のままに軍備だけを増強し、外交を放棄している中で、小さくはあっても、このような「民間外交」の積み重ねが、いま極めて重要だと思う。
12日に那覇市で開催される「第一回沖縄・台湾対話シンポジウム」もその一つだ。台湾と沖縄の人々が顔を合わせ、「『台湾有事』を起こさせないために何ができるか」を対話する。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号