「大阪にカジノはいらない」という府民・市民の声がますます大きくなってきた。それには次々と出てくるカジノに関わる疑惑が明らかになってきたという事実があるからである。大阪維新の会が大阪湾の埋め立て地の夢洲に「大阪カジノリゾート(IR)」を誘致することを決めてから5年がたち、当初松井市長は大阪市としては一切お金は出さないと言ってきたが、約790億円もの市民の税金を使わなければならないことが明らかになった。
最近、このカジノ用地を違法・不当な不動産鑑定評価に基づいて、異常に安い賃料でIR業者に賃貸しようとしていることが明らかになってきた。これに対して大阪市民有志が、賃貸契約締結の差し止めを求めて、大阪市監査委員に住民監査請求書を提出した。
監査請求書によると、市の依頼で2019年に鑑定業者4社が発行した評価書のうち、3社が1平方メートル当たり12万円、月額賃料428円で一致していたという。21年に3社が発行した評価書のうち2社が1平方メートル当たり12万円、月額賃料428円と一致。市はこれらの鑑定に基づいて賃料を決めたというが、評価額が完全に一致することなど業界の常識からいってあり得ないもので、依頼者の市が指示・誘導した可能性が指摘されている。
政府に「大阪のカジノの誘致を認めるな」という署名も府下いっせいに取り組まれ、20万を超える署名が寄せられているが、今後も第3次の署名運動に取り組むという。
大阪では維新府政になってから13年になるが、コロナによる死者数は全国最多となり、現在8千人を超えている。背景には、検査の抜本的拡大に後ろ向きであり、人口比で全国最少数の保健所を増設せず、コロナ禍の20年21年度に急性期病棟を含む病床を500床以上削減してきた維新府政の姿勢がある。
教育でも、子どもの不登校やいじめが増えるなか、35人学級の府独自の拡大には背を向け続け、高校入試の調査書に結果を反映させる府独自のチャレンジテスト、小学5・6年生対象のテストで子どもと学校を競争に駆り立てている。
4月には統一地方選挙が行われるが、その前半戦では大阪府知事・大阪市長選がたたかわれる。大阪維新の会は府知事に現職の吉村洋文氏を、市長には府議の横山英幸氏を擁立することを決めているが、これに対して府知事には共産党元参院議員の辰巳孝太郎氏と法学者の谷口真由美氏の2人が無所属で名乗りを挙げ、三つ巴の選挙戦になりそうである。谷口氏を推す団体「アップデートおおさか」は市長選には自民党の北野妙子大阪市議に立候補を要請しているという。辰巳氏は「カジノストップ」「暮らしと福祉、教育、医療を守り発展させる」「維新政治転換を」と訴えているが、谷口氏が「カジノ」「コロナ対策」「暮らしと経済の立て直し」「教育」などでどんな政策・政治姿勢で臨むのかが注視されている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号