2023年03月23日
【オピニオン】日韓学生フォーラム 米軍、韓国で勝手放題 危機感受けとめ平和報道を=古川英一
「日米で煽っている『台湾有事』には沖縄を犠牲にするという発想があるのではないか」琉球新報の新垣毅報道本部長の危機感に満ちた講演で、沖縄での「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」が始まった。
このフォーラムは日韓のジャーナリスト志望の学生たちが平和や歴史問題について共に学ぼうと、
6年前に記者などの有志が企画してスタート、JCJの会員も実行委員に加わっている。7回目の今回は1月末から4泊5日の日程で、日韓から30人あまりが参加した。韓国からは学生だけでなく「韓国記者協会」のキム・ドンフン会長も訪れた。
期間中、沖縄の「今」と「過去」の現場として、普天間飛行場のある宜野湾市や辺野古、糸満市での遺骨収集や、沖縄戦で民間人が集団自決した読谷村のチビチリガマなどを見学し、地元で活動を続けている人や沖縄の2紙の記者などから話を聞いた。
キム会長は、2004年に米軍のヘリが墜落した沖縄国際大学で、米軍は事故直後から現場への日本側の立ち入りを一切認めなかったことなどを聞くと、「沖縄のように韓国でも米軍の事故や、元米軍基地の土壌汚染があっても、米軍の責任が問われることはなかった」と強い口調で学生たちに語った。
県民の反対を尻目に埋め立ての進む辺野古では、抗議の座り込みが続いている。そのリーダーともいえる山城博治さんが日韓の学生たちのために駆けつけてくれた。山城さんは敵基地攻撃能力を日本が持つことに対して「政府は米国と一緒に沖縄で戦争をしようとしている。勝てると思うのなら東京からミサイルを撃てばいい」と怒りを込めて語り、「記者の卵のみなさんは、この地域の平和を願う報道をしてほしい」と訴えた。
またチビチリガマを案内してくれた知花昌一さんが戦争遺跡はきれいにするのではなく、そのまま残していくべきとしたうえで「若者は絶望してはいけない。絶望したら戦争になる。闘う人がいたら絶望にならない」と学生たちを励ました。
沖縄の人たちの日本の軍拡政策へのヒリヒリするような危機感を、学生たちはしっかりと受けとめ、これからジャーナリストとしての一歩を踏み出す。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号