5月末をもって休刊する『週刊朝日』のカウントダウンが始まっている。「2022年12月の平均発行部数は7、4125部」(朝日新聞出版の社告)というから、まだまだ売り上げが期待できる週刊誌である。
「朝日歌壇に詠まれた『週刊朝日』休刊」など、休刊まであと8号の同誌4月14日特大号には、送別会のような企画記事が掲載されている。「この国が軍拡に舵を切る最中『週刊朝日』休刊決まる」(静岡県・白井善夫さん)の短歌が目を引く。
休刊に際した特大スクープを期待したのは野暮だった。同誌同号の「日本の安全保障を支える以外な『会社』」に付された囲み記事「予算増で熱気にわく防衛展示会 中小企業も事業機会に照準」は、千葉・幕張メッセで開かれた防衛産業の国際展示会「DSEI JAPAN」(3月15日〜17日)をたんたんとリポートしている。
岸田政権が大軍拡を打ち出したこともあり、「3日間で2019年に開催された前回約1万人の2倍超となる約2万2千人が来場」「65カ国から250社以上が出展した」という。中小企業のビジネスチャンスの角度からの記事で、この種の軍需産業イベントが市民から「武器見本市」「人殺しの道具の商談」として批判されていることに一言も触れていない。
一方で、吉田敏浩氏による『サンデー毎日』4月16日号の連載記事「昭和史からの警鐘C―松本清張と半藤一利が残したメッセージ」がタイムリーだ。「台湾有事 悪夢のシナリオを暴く!」と題して、「戦場となって大被害を受けるのは日本で、アメリカ本土まで戦場となる可能性は低い。中国も核戦争につながるアメリカ本土攻撃は控えるはずだ。結局、日本が犠牲を強いられる。悪夢の戦争シナリオである」と指摘している。
日米安保条約を通じて日本がアメリカの軍事戦略に組み込まれ、戦争に巻き込まれる危険があるというのが、この間の日本の安全保障問題の核心である。吉田氏の連載は第1回「軍事膨張の果てには悲劇しかない」が昨年7月3日号、第2回「松本清張と半藤一利が警戒した自衛隊クーデター計画 : 『三矢研究』と自民党改憲案の危険な関係」が昨年9月11日号、「第3回「反撃能力とは『戦争のできる国』のこと」が今年1月29日号の掲載だから、正真正銘の「不定期連載」である。
吉田氏の不定期連載を読むかぎり、週刊誌の役割は、捨てたものではない。むしろ、奮起を求めたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年4 月25日号