Kプロジェクト2022
劇場公開は2月に終わったが、直後から各地で自主上映会が開催され、さらに脱原発団体だけでなく多様な団体からの上映申し込みが相次いでおり、本作品に注目が集まる。
原子力発電所の推進に舵を切った岸田政権は、60年を超える運転延長を可能にする法案など5つの法改正案を束ねた「グリーントランスフォーメーション(GX)脱炭素電源法案」を2月28日に閣議決定したが、原子力規制委員会では反対意見を多数で押し切るなどスケジュールありきで、国民の疑問に何も答えないままで進めているのだ。
映画に登場する樋口英明・元福井地裁裁判長は、こんな政府のデタラメぶりを誰もが分かるように説明してくれる。2014年、関西電力大飯原発の運転停止命令を下した判決で、原発が頻発する地震に耐えられない構造であることを指摘、また「環境問題を原発の運転継続の根拠とすることは甚だしい勘違いである」と明快に述べている。映像は樋口氏が定年退官後に、日本の原発に共通する危険性を説いて回っている姿を追う。
一方、被災地の福島では、若い農業者が畑の上で太陽光発電するソーラーシェアリングに挑戦し、農業復活にかける力強い思いをカメラが捉える。新たな農業の形を伝え、「希望」がどこにあるのかを示してくれる。日本の未来は原発ではなく、ここにある!と。
政府の進める「GX」とやらに少しでも疑問を持ったら、まずはこの「希望」の映画を観てほしい。身近な所で自主上映会を気軽に企画し実現してはいかがだろう。上映申込は専用サイトから=https://saibancho-movie.com/wp/
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年4月25日号