2024年02月03日

【焦点】ガザ戦争 即時人質解放と停戦 「戦場記者」須賀川氏訴える=橋詰雅博

                     
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 「国境なき医師団」(MSF)日本事務局は、パレスチナ自治区ガザから帰還した日本人スタッフ2人とTBSテレビ前中東支局長の須賀川拓氏=写真=らを交えガザで深刻化する人道危機などをテーマにしたトークイベントを昨年12月11日都内で行った。2019年から中東を始め世界の紛争地を駆け回った須賀川氏は、それまでの映像記録をベースに自ら監督したドキュメンタリー映画『戦場記者』を22年末に公開した。
 ガザに何回も取材で入った須賀川氏は「ガザは天井のない監獄と言われているが、監獄はすなわちプリズンじゃないですか。確かにイスラエルにテロ行為を繰り返すハマス戦闘員はいるが、罪を犯した、悪いことをした人はほとんどいない。天井のない収容所という方が適切だと強く思っている」と人口約223万のガザをこう表現した。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマス(イスラム抵抗運動のアラビア語略)がイスラエルに奇襲攻撃した10月7日の2日後の9日にイスラエルに入った須賀川氏は、ガザに入ることは叶わなかったがイスラエルで3週間滞在し取材。
  須賀川氏が言う
「牙をむいたイスラエルはガザの全員を抹殺するかのような行動です。恐怖を覚える人は多いと思う。一方ハマスもロケット弾などで無差別攻撃している。イスラエルからのしっぺ返しで多くの住民が死ぬことを考えられなくなっているのだろうか」「(国際赤十字委員会が1971年提唱した民間人保護など戦争のルールを定めた)国際人道法に基づき双方は平等に裁かれるべきです」
 ただし容赦しない攻撃をガザに浴びせるイスラエルの方が罪は相当に重いのは明白だ。

 イスラエルもハマスもSNSなどでフェイク情報を平気で発信を続けているので、騙されてはいけないという須賀川氏は「特に過激な情報は拡散する、信じ込む前にちょっと一拍置く。MSFのような信頼できる発信元か確認が必要」とアドバイスした。
 日本人ができることは何かについて須賀川氏は「(原油の9割以上を中東に依存している)日本は中東安定のためパレスチナに経済自立支援を行い、イスラエルとも経済交流など関係は深い。両方につながりがある稀有な国」と日本の立場を指摘したうえで「対立は終わらないだろうから、関心を長く持ち続けることが大きなタスク」と語った。

 そして須賀川氏は「人命を救うため即時の人質解放と停戦」を訴えた。第三国の仲介によるイスラエルとパレスチアの和平交渉はそれが済んだ後だという。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする