■メディアミックス時代への備え
昨年10月期放送の日本テレビドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が、1月29日に急死した。生前に『セクシー田中さん』の実写ドラマ制作をめぐりトラブルが起きていたという事態に、漫画などの映像化の現状を踏まえ、漫画家の権利を擁護するエージェントの必要性が言われている。
というのは現在、著作権者の意向を置き去りにして出版社と映像制作を担当する企業のあいだで、映像化企画がひとり歩きしているという事実があるからだ。そこで小説家、漫画家、イラストレーターなどの著作権者と契約し、その意向や利害を代弁する立場で、出版社や映像制作会社などと交渉し、出版契約や映像化権契約の契約実務を代行するエージェント(代理人)の重要性が指摘されている。
欧米の出版界では一般的になっているが、日本では普及していない仕事だが、日本の出版界でも早川書房出身の編集者が1999年に創業したボイルドエッグズ(東京・東久留米市)や講談社出身の編集者が2012年に起こしたコルク(東京・渋谷区)など、この業務を行なうエージェントも出てきている。
このようなエージェントが出版社や編集プロダクションと異なるのは、出版や映像化の対象となるコンテンツに対して100%作家の利害を代弁する立場で交渉を行なう点だ。
メディアミックス時代には、利害が複雑に絡むことは必至だけに、著作者の権利を十分に守るエージェントの重要性は、ますます高まっている。
■<団塊ジュニア世代>を狙う本
ここにきて「50歳からの」と詠う本が続々と刊行されている。読書案内や精神論、旅案内も含め、人生の節目に挑戦するガイド本や生き方案内など、内容は様々だ。
挙げれば中央公論新社編『50歳からの読書案内』、枡野俊明『50歳からは、好きに生きられる』(PHP文庫)、山脇りこ『50歳からのごきげんひとり旅』(だいわ文庫)、村瀬幸浩ほか『50歳からの性教育』(河出新書)、斎藤孝『50歳からの孤独入門』(朝日新書)まである。
これまで出版界は、50代をターゲットにした本には傾注してこなかった。ここにきて50歳前後を迎える<団塊ジュニア世代>が注目され、そこに対応したテーマの本が刊行・売れ始めている。
■コンビニ内のセレクト書店
奈良県天理市のコンビニ「セブン―イレブン天理成願寺町店」には、絵本や専門書を並べた書籍コーナーが設けられ話題になっている。ここには海外の絵本、短歌集、パレスチナ問題の新書など、独自の選書が好評で多くの人々が立ち寄っている。
店長はコンビニの枠を超え地域密着型の挑戦を続けてきた。「日常の中に異空間」を設けたいと、スタッフとアイデアを出し合い本のコーナーを作ることにした。扱う本をより多様にすれば、日常に小さな刺激を生み出せると考え、大和郡山市にある書店「とほん」に協力を依頼。そして知的好奇心を刺激する選書本コーナーが、コンビニ内に設置できることとなった。
■急伸止まる!「アマゾン日本」
「アマゾン日本」の2023年度売上高は、3兆6662億8200万円(前期比6.6%増)、1ケタ増収にとどまり急伸がストップ、アマゾンの全売上高に占める日本事業の割合は4.5%、2022年比で0.2ポイントダウン。他国での売上高は、以下の通り。
アメリカ :3956億3700万ドル(前期比11.1%増)、ドイツ :375億8800万ドル(同11.9%増)、イギリス:335億9100万ドル(同11.7%増)、その他 :819億6700万ドル(同17.4%増)
■インボイス制度への不満爆発
昨年10月に導入された消費税のインボイス制度による、初めての所得税の確定申告が16日から始まった。消費税の申告(4月1日まで)も本格化する。インボイス登録して、新たに支払いが課せられる小規模事業者は、改めて「書類を作る複雑さ」に困惑し、生産性のない過重な事務負担で現場は疲弊などの声が挙がっている。
いっぽう未登録の業者は、この制度によって「仕事が減った」と不満を募らせ、差別・バッシング、免税業者に対する一方的な値下げや取引排除が横行している現状を嘆いている。