2024年03月03日
【沖縄リポート】土地利用規制法 基地反対標的の不安=浦島悦子
多くの懸念と反対を押し切って2021年6月に成立し、2022年9月に全面施行された重要土地利用規制法。政府は、2024年中としていた区域指定を大幅に前倒しして2023年度内に終え、春からの本格運用をめざす。
昨年12月26日、第4弾の区域指定候補が公表され、全国47都道府県全部にまたがる候補地は583カ所に及んだ。
沖縄では今回、これまでの離島市町村39か所に加え、沖縄島の米軍基地・自衛隊施設を含む31カ所が選ばれた。狭い県土に全国の70%以上の米軍基地が置かれ、さらに近年、自衛隊基地・施設の建設が急ピッチで進む。迷惑施設があることを理由に二重・三重の迷惑を被る県民は、まさに「踏んだり蹴ったり」だ。
沖縄県は1月31日、国の意見聴取に対して、軍事施設が生活に及ぼすさまざまな被害、土地利用や経済の阻害に「さらなる負担を強いるもの」と指摘、注視区域・特別注視区域の指定を必要最小限にするよう求めた。
米軍基地が集中する沖縄島中部では北谷町・嘉手納町の民間地すべてが「特別注視区域」に含まれ、宜野湾市も大部分が含まれる可能性がある。
私の住む名護市では、米軍キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫、名護海上保安署などが候補地となった。キャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫から「(法が指定する)半径1km以内」の陸上・海上で行っている辺野古新基地建設反対運動が「機能阻害行為」として標的にされるのではないか、という不安が広がっている。基地ゲート前の座り込み=写真=が妨害されないか。運動の拠点になっているテントが撤去されるのではないか。参加者の個人情報や思想信条が調べられるのではないか…。
ヘリ基地反対協議会は1月25日、名護市の担当部局と面談、市民の不安を取り除き市の自治権を守るために、区域指定の理由を国に明らかにさせ、市に求められる情報提供の内容などについて説明会を行うよう要請した。
人権侵害を防ぎ、「戦争する国づくり」に引きずり込まれないために全国連携が不可欠だ。