安倍派出席幹部らの弁明は、「知らなかった」「記憶にない」の大合唱。岸田文雄首相と自民党が「国民への説明」とうたった衆参両院の政治倫理審議会は、開催や誰が出るのか綱引きを含め裏金事件「幕引き」狙ったセレモニーすぎなかった。その間にも秘密保護法の特定秘密を拡大し、罰則付きで民間も対象とする経済安保保護法案や、安保3文書に基づく大軍拡路線推進が狙いの新有識者会議の初会合(いずれも本紙2月号参照)など、看過できない様々の動きが進んだ。
その代表的な事例が、日本が英国、イタリアと進めている「次期戦闘機共同開発」であり、イスラエルからのドローン導入などだ。日本はポツダム宣言以降、常に「軍事紛争不介入」の憲法原則世界に訴えてきた。だがこれらは防衛費を5年間でGDPの2%にするなどの軍拡路線下でこれまでの日本の憲法原則を大きく逸脱した決定だ。
しかし、こうした具体的な「政策」が、議論もなく進められ、メディアはそれをチェックしてではなく、決まったきとをただ報じているだけに陥っていることこそ大問題だろう。
戦闘機共同開発
兵器輸出国へ
戦闘機の共同開発問題は、実は2022年12月に発表され、23年には事業管理の国際機関(GIGO)設立条約に署名が行われた。与党間協議で、「共同開発した武器を直接第三国に売れるかどうか」がさすが問題になり、公明党が難色を示した。しかし、結局「次期戦闘機の共同開発は我が国の安全を確保する上で中核となる」とし「防衛装備品移転3原則」と運用指針を改定、「限定的」といいながら、殺傷兵器の開発、輸出にも道を開いた。
岸田政権は3月22日にも閣議決定する予定だという。
同政権は昨年12月には、日本企業がライセンスを得て生産した地対空ミサイル「パトリオット」を米国に輸出可能としており、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型について、殺傷兵器の輸出を認めている。
共同開発の戦闘機輸出については公明党は「政府の方針が国民に届いていない」と「抵抗」したが、押し切られたという。
もともと、22年末の安保3文書改訂を受けた「武器輸出3原則」は国会論議もなく決められ、「軍事産業支援法」ができて、日本は「世界の兵器廠」路線を歩もうとしている。それで本当にいいのだろうか。
イスラエル製
ドローン導入
3月12日の参院外交防衛委員会で、共産党の山添拓氏は政府がイスラエルから、小型無人攻撃機(攻撃型ドローン)の導入を計画している事実を明らかにし「ジェノサイド(集団殺害)が指摘される中、イスラエルの軍需産業を支えるなど絶対にやってはならない」と批判した。
これは、今年1月下旬から2月に、日本が実証のための実機として7機のドローン導入を契約。うち5機がイスラエル製だったというもの。
防衛省は、「実証で求める機能・性能を満たし、一般入札で競争性を担保した」と答弁したが、中には、落札額1円のものもあったという。
3月末までの実証試験に約100億円の税金が使われるといい、イスラエルを潤していることになる。報道によると、このイスラエル製ドローンの輸入代理店には、「日本エヤークラフトサプライ」「海外物産」「住商エアロシステム」「川崎重工」などが代理店契約をしており、日本商社の兵器ビジネスは広がっている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年3月25日号