2024年05月02日
【沖縄リポート】うるま市民団結 自衛隊訓練場「断念」=浦島悦子
保革を超えた反対のうねりが、ついに防衛省を断念に追い込んだ!
昨年12月、新聞報道された、うるま市石川地区への自衛隊訓練場計画(24年度予算に計上)。衝撃を受けた地元の旭区自治会が真っ先に反対の声を上げ、近隣自治会もそれに続いた。予定地のゴルフ場跡地周辺は閑静な住宅地で、年間4万人が利用する県立石川青少年の家に隣接している。
石川地区自治会長連絡協議会の要請を受けて玉城デニー知事は2月17日、来沖した木原稔防衛大臣に計画の白紙撤回を要請。保革を超えた反対運動は急速にうるま市全体に広がり、自民党沖縄県連、そして保守系の中村正人うるま市長も白紙撤回を表明。3月7日には沖縄県議会が白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決するに至った。
それでも「白紙撤回はしない」との姿勢を変えない防衛省に対し10日、石川地区を中心とする17団体が「自衛隊訓練場計画の断念を求める会」を結成。20日、「住宅地への自衛隊訓練場計画の断念を求める市民集会」の開催に漕ぎつけた。
会場の石川会館の収容人員は約千人。入りきれなかった200人余はロビーのモニターで集会を見守った。充満する老若男女の熱気は、30年近く前(1997年)の「辺野古新基地建設の是非を問う名護市民投票」当時の名護を彷彿させ、感慨深かった。
地元旭区で活動する若者グループ「ONE PIECE」が元気なブレイクダンスでオープニングを飾った後、会の共同代表・伊波常洋氏が開会挨拶=写真=。20年以上にわたり自民党の市議・県議を務めてきた同氏は、保革を超え辺野古新基地建設に反対して闘った故翁長雄志知事の言葉を引用し「うちなーんちゅ、うしぇーらってーならんどー(侮られてはならないよ)」と訴えた。
高校生代表として挨拶した旭区の高校1年生H・Kさんは、日本国憲法の条文を引きながら、憲法違反の現実をまっすぐに問い、「自由と権利を守るために頑張りたい」と決意を語り、万雷の拍手を浴びた。
代表らは27日、上京して決議文を手交。4月11日、木原防衛大臣は断念を表明した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号