2024年05月05日

【映画の鏡】地方ローカル局が「グローバル」に番組配信『#つぶやき市長と議会のオキテ(劇場版)』地方政治の現実を丹念に記録=鈴木賀津彦

 
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        広島ホームテレビ 
 地方政治の実態に密着して取材すると、こんなにも面白いドキュメンタリー番組ができることを広島のローカルTV局が示してくれた。
 広島県安芸高田市の石丸伸二市長といえば、X(旧ツイッター)で30万近いフォロワーがあり、今や全国的な有名人だ。

 河井克行・案里夫妻による大規模買収事件で市長らが辞職し、2020年8月に行われた選挙で初当選した37歳の石丸市長。政治経験ゼロの元銀行員が初議会では「議員の居眠り」をXでつぶやいたことに、議会側が猛反発。その後も新しい政策を次々と打ち出す市長に、議員たちは「従来の手順」を踏まない市長提案を否決し続け、対立は深まるばかり。そのドタバタぶりを市長が日々のXで「つぶやく」ので、いわゆる根回しを拒否し政治を見える化している姿として全国から共感が集まる。

 地元ローカル局の広島ホームテレビが密着取材して制作した30分番組が21年11月にテレビ朝日系列の「テレメンタリー」で放送されると、安芸高田市だけのローカルではなく、どこの地域でも抱えている問題として大きな反響があった。22年3月には50分版を放送、その後のアーカイブ配信の再生回数は900万回以上を記録したという。

 そんな全国の反響に押され今回の「劇場版」も誕生したが、日本や世界の動きをローカルからの視点で発信することが、こうした形でできるのだと典型的に示してくれた。身近なローカルから全国的な課題をどう発信するのか、今後ますますローカル局の重要な役割として高まるだろう。5月25日から東京・ポレポレ東中野など全国順次公開。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする