関西支部は、3月23 日の総会に併せ「“情報 戦”といわれる現代の戦 争の武器は“メディア”」 と題した講演会を開いた。 ゲストスピーカーは、米 国在住のベテランズ・フ ォー・ピース(VFP: 平和を求める元軍人の 会)終身会員で通訳・コ ーディネーターのレイチ ェル・クラーク氏=写真。
VFPは、2016年 から日本で講演活動を行 っており、去年、近畿唯 一の米軍基地、京都府経 ケ岬のXバンドレーダー の視察及び地元住民との 交流会をJCJ関西と共 催した。
講演では、米国のメデ ィア事情が紹介された。 過去20年で、全米の新聞 約9000紙のうち約3 000紙が廃刊に追い込 まれ、ジャーナリストの 3分の2の約4300人 が解雇された結果、地方 で新聞空白地帯が多数生 まれ、議会に張り付いて いた記者がいなくなって、 チェック機能が働かなく なったことや、予算、人 員削減で調査報道が減り、 特ダネのチャンスをもら おうと政府機関に取り入 り、プロパガンダの片棒 を担がされる悪循環が生 まれていることなどが報 告された。
一方、インターネット やSNSに関しても、I Tメディアを支える出資 機関に軍や政府の予算が 使われ、特に9・11以降 の検閲強化で、国がメデ ィアをコントロールする 危険性が指摘された。
日本では誤情報を修 正すると肯定的に捉えら れているファクトチェッ クも、組織の大口寄付者 に政府機関が名を連ね、 第三者機関としての公平 性を保つものばかりでは ないとも指摘された。
日本人が注視すべき 事例としてウエブサイト のコンテンツ言語の使用 統計があった。実に50% 以上が英語で日本語はわ ずか4・5%。日本語で 検索できる情報は、この 4・5%内のもので、そ の殆どが国内情報。私た ちがウエブサイト上で得 る世界の情報がいかに脆 弱かを考えさせられた。
アメリカは、戦争とと もに経済基盤を築いた国 で、国家予算のおよそ半 分を国防総省が握る。つ まり何らかの形で軍や政 府、諜報機関の目が張り 巡らされており、メディ アも例外ではない。
日本はどうか?防衛 費が膨らみ、武器輸出も 解禁される。メディアの 果たす役割を改めて考え させられる講演だった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号