鹿児島県警察本部は今年4月8日、捜査情報を第三者に流出した地方公務員法違反容疑で元警備部公安課所属の巡査長を逮捕し、その関係先として福岡市内のインターネットニュースサイト「ハンター」の事務所を家宅捜索した。
その際、押収したパソコンの中から鹿児島県警に対する別の内部告発文書を発見、これを元に前生活安全部長を国家公務員法の守秘義務違反の疑いで逮捕した。家宅捜索にあたっては、捜索令状が明確に提示されなかったことに加えて「ハンター」側の同意もなく内部告発文書がパソコン上から消去された。
報道機関にとって「取材源の秘匿」は「いかなる犠牲を払っても守るべきジャーナリズムの鉄則」であり、隠された事実・真実は、記者と情報提供者との間に取材源を明らかにしないという信頼関係があって初めてもたらされる。今回の鹿児島県警による捜査は、記者が拒んだにも関わらずに告発文書を押収し、それが情報提供者の逮捕に繋がった。「報道の自由」が保障された憲法のもとで、その根幹をなす「取材源の秘匿」を揺るがす鹿児島県警の行為は到底看過できるものではなく、日本ジャーナリスト会議福岡支部は、これに厳重に抗議する。
さらに報道機関のパソコンから押収した捜査資料等を消去することは、真実を隠蔽し冤罪を生む危険性をはらんでおり、鹿児島県警察本部においては「公益通報」の視点も踏まえ、第三者機関等による真相の解明を強く求める。
2024年6月20日