止まらぬ円安の主因は何か。素人にはなかなか理解しづらいが、専門家によると日本の金利があまりに低すぎるからだと分析する。なぜこうなったと言えば、異次元金融緩和による超低金利政策が元凶だ。欧米はインフレや物価高を抑制するため政策金利を連続的に引き上げたが、日本は超低金利のまま放置してきた。
政策金利を比べると、0・1%の日本に対して米国5・5%、ユーロ4・5%、英国5・25%。日米の金利差は5・4%もある。
これでは超低金利国の日本には世界のマネーが入ってこないし、ジャパンマネーも利回りが高い国に流れる。100万円を日米で預金すると、年間の利子はわずか1000円の日本だが、米国は5万5000円。米ドルでの預貯金や国債などの運用向けに円が売られドルが買われる。かくして円安ドル高の為替相場になる。
円安を止めるには欧米との金利差の解消が不可欠だ。しかし、政策金利の引き上げは住宅ローン金利や国債金利の上昇につながる。
円安を放置すれば、物価高、金利を上げると住宅ローンの破綻と財政負担に襲われる。まさにジレンマ状態なのだ。これがアベノミクスの帰結である。
ではどうすればいいのか。5月25日号新婦人しんぶんに解説記事を載せた群馬大学名誉教授の山田博文氏は「円安とアベノミクスで蓄えられた膨大な利益(輸出などで儲けた大企業の内部留保金600兆円、対外純金融資産418兆円、株高や不動産高騰で潤った富裕層の金融資産364兆円)に課税する。これを国民の住宅ローン破綻や財政負担を阻止する財源にあてる」とアドバイスする。この危機を乗り越えるには、これが最良の政策というのだ。
このままでは庶民は塗炭の苦しみが続く。