政治資金規正法改正案が6月6日の衆議院本会議で自公与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、参議院に送られた。新聞各紙は、衆院委の可決を受けて6日付で社説「生煮えのまま通すのか」を掲載した朝日を除き、7日社説で一斉に社説を展開した。
毎日は「不透明なカネの温存策だ」の見出しで、政策活動費について「公開のあり方などの制度設計」のあいまいさに加え、10年後に公開する点も「不正が発覚しても、時効が成立している可能性が高い」と指弾する。
西日本はさらに踏み込んで「会期延長し抜本修正せよ」の見出しで「全ての国会議員に関係する重要な問題にもかかわらず、幅広い賛同を得ることができなかったのは、実効性のある改革に背を向けた自民の責任だ」と「怒り」を書いている。
以上の2紙の「厳しさ」は、国民の幅広い意見を代弁しているうえに自民の「裏金対応の遅さと不明朗さ」を考えれば当然だろう。「権力を監視するのを第一義とするジャーナリズム」としては、もっと厳しい表現で自民を指弾してもおかしくない。
ところが、既に「ジャーナリズム」の中には入らなくなって久しい読売は「規正法成立へ カネに頼らぬ政治への転機に」の見出しで、自民を始め、どの政党にも耳の痛い指摘はない。まさに「性善説の読売」とでも言いたそうな論調だ。「党から議員に支給されている政策活動費についても、一定の公開に踏み込んだ」と評価したうえで、その中身を「『組織活動』『選挙関係』など大くくりながら、毎年の収支報告書に記載することを義務とした」と、そのあいまいさに目をつぶる。
自民の対応の遅さや、国民があきれている「政策活動費の10年後の領収書公開」について、全く触れていない。読売論説委員会の社説担当委員は、そうした「大きな疑問」というか「疑惑の温床」とも言える問題について、何も考えなかったのだろうか。考えても書けない社の姿勢を忠実に守っているとしか思えない。「世界最大の部数」や「生き残るのは読売だけ」といった自慢したい点≠、幾ら声高に叫んでも、権力に媚びるような論調では、かつて清武英利、佐高信両氏が書いた「メディアの破壊者読売新聞」(2012年、七つ森書館)の書名を思い出してしまう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号