2024年06月30日

【沖縄リポート】「訴えの資格あり」まで5年、だが国は‥‥=浦島悦子

           
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 「原判決を取り消す」。
一瞬、何のことだかわからなかった。続いて「本件を那覇地方裁判所に差し戻す」。満員の傍聴席から「おお〜〜!」という声と拍手が起こった。
 5月15日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は、辺野古新基地建設工事を巡り、沖縄県による埋立承認撤回を取り消した国土交通大臣の裁決は違法だとして、辺野古周辺住民4人が裁決の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、原告適格を否定した一審判決を取り消し、原告適格を認める判断を下したのだ。
 提訴は2019年。基地ができれば被害を受けるのは明らかな地元住民に「訴える資格あり」という、極めて当たり前の判断にたどり着くのに5年かかった。しかし、沖縄県と国との訴訟も含め新基地建設を巡る訴訟がことごとく「門前払い」されてきた中で、画期的な判決だった。裁判所前で行われた報告集会は「おめでとう!」の声と笑顔があふれ、手弁当で奮闘してきた弁護団を讃えた。

 しかし、一貫して「門前払い」を主張し、実質審理を避けようとしてきた国がこれをすんなり受け入れるだろうか…?
 最高裁への上告期限2週間(29日まで)を前に、新基地建設反対運動の一環として住民の訴訟を支えてきたヘリ基地反対協議会と原告団・弁護団は、「国に上告しないよう求める要請」への賛同を県内外の団体に呼びかけた。そして実質3日間で188団体の賛同を得たのだ。
 原告団事務局として取りまとめに当たった私は、北は北海道から南は与那国まで、全国を網羅する大組織から小さな市民グループまで、その幅広さ、多様さに感動し、このような人々に支えられているのだという大きな勇気を頂いた。全賛同団体が連名した要請書は27日、東京の団体と沖縄選出国会議員が国土交通省に手交した。

 ところが国はこれを一顧だにせず、翌28日、最高裁に上告受理申し立てを行った。ヘリ基地反対協と原告団は30日、あくまでも実質審理から逃げようとする国を糾弾し、最高裁に対して上告を受理しないよう求める抗議声明を発表した。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする