2024年07月03日
【支部リポート】神奈川 日本の侵略にも焦点 29回目の戦争展、次代へ=保坂義久
横浜大空襲があっ5月29日の頃には、毎年「平和のための戦争展inよこはま」が開かれる。今年も横浜市・中区のかながわ県民センター1階展示場で開かれた。
横浜の戦争展は今年で29回目。大空襲後の廃墟や戦時中の生活の写真をはじめ、市内にある戦争遺跡などがパネル展示されている。桐生悠々が批判したことで知られる「関東防空演習」のポスターとその発見の経緯を伝える2007年8月の神奈川新聞の紙面=写真=が興味深かった。戦争展の最近の特徴はアジアにおける日本の侵略に焦点をあてていることだ。
また今年は朗読劇と講演が5月26日午後に、「戦争・核被害体験を語り継ぐ」という企画は6月1日の午後に、同センターの2階ホールで行われた。
朗読劇は横浜市立日吉台中学校演劇部による「安全地帯にいる人の言うことは聞くな〜戦場の軍人たちが残した言葉と現在〜」。職業軍人3人の遺した戦争体験をもとに構成した作品で、南方戦線で軍務につき、特攻隊の生みの親と言われた太西瀧治郎中将の副官だった門司親徳少佐の言葉から標題がとられている。
続く講演、最初は空襲当時5歳だった金子光一さんの体験談。当時の写真などを示しながら、家族とはぐれて見知らぬ人と避難した幼い日の体験を語った。
次に「日本とガザ・パレスチナ〜平和と共存に向けて〜」と題し、日本中東学会元会長でお茶の水大学名誉教授の三浦徹さんが講演した。三浦さんはイスラエルとパレスチナが民族や宗教の対立と誤解されるなど、日本でのイスラム理解が偏っていることを指摘した。
6月1日には、横浜商業高校OGが横浜大空襲体験者に聞き取り調査した結果の報告や、母親が広島で被爆した被爆二世が親から聞いた体験談、神奈川学園中学・高校の生徒による核実験場であるマーシャル諸島と神奈川をつなぐデジタルアーカイブについて発表した。戦争体験の伝え方を考えさせる催しだった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号