2024年07月09日

【福島訴訟】国の賠償免責から2年 「人間の鎖」で最高裁包囲=編集部

 東電福島第一原発の事故は「国が対策を命じても事故は防げなかった。国に賠償責任はない」と国を免責した最高裁を「人間の鎖」で包囲する抗議行動が、判決から2年目の6月17日に行われた。
 2011年3月の原発事故後、被災者が国や東電に賠償を求めた訴訟は全国で約30件を数えた。最高裁は22年6月17日、原告が約3700人にのぼる福島、群馬、千葉、愛媛の4件の訴訟について、「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性があった」とし、裁判官4人中、「国の責任を認めるべき」と三浦守裁判官1人を除く3人の多数意見で国策で原発を推進してきた国の賠償を免責した。

原発推進を支持
メディアも批判
 福島原発事故を自然災害とは言えない。国が予測された津波への対策指針を怠った結果が大事故につながった。これを受け原発推進のメディアでさえ、「(国も)被災者支援の取り組みを緩めてはならない」(読売)、「政策の誤りを指摘する意見が少なからずあったことを国は重く受け止めるべきだ」(日経)「賠償責任を免れたことで国が胸をなで下ろしていては大間違いだ」(産経)などと判決を批判した。

大手法律事務所
最高裁と「癒着」
 判決を出した裁判官は、別の裁判で東電側の代理人を務める弁護士が所属し、東電の社外取締役を出す大手法律事務所のOBだったりし、陪席裁判官も、退職後、関係事務所に就職するなど最高裁と大手法律事務所との「癒着」が明らかになっている。
 こうした中で、最高裁判決を第一陣が受けた福島生業(なりわい)訴訟では、第2陣の原告団に約700人が加わった。

広がる抗議の輪
訴訟団連帯行動
 この日の抗議行動は「6.17最高裁共同行動実行委員会」が主催。「人間の鎖」には、被災者や株主代表訴訟の原告たちのほか、子どもの被ばくの責任を問う訴訟や東電株主代表訴訟の原告団、原発事故の刑事訴訟を支援する団体などが参加。数多く残る今後の最高裁審の際「公正な判決を」と求める要請書を約3万人の著名とともに提出。主催者調べで950人の参加者は正午から午後1時まで、最高裁の皇居側にある東門付近から青山通り沿いを経て、国立劇場手前の西門近くまでの約1`を「人間の鎖」で取り囲んだ。
 集会後は国会でシンポジウムを開催。最高裁と原発の癒着を告発したジャーナリストの後藤秀典さんらが報告した。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号
 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 福島第一原発事故 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする