2024年07月28日
【JCJ広島支部】学習交流会 日鉄呉跡地の軍事拠点問題を考える会参加者発言2=編集部
保革を超えた運動 伊波 洋正さん
昨年12月に突如持ち上がった、うるま市石川のゴルフ場跡地に自衛隊の訓練場を設置する計画は今年4月、木原防衛相が計画断念を表明するに至った。「市民の会」の運動によってそれを勝ち取った要因は、第1に地元自治会がいち早く反対を表明し最後までその姿勢を貫き通したこと、その背景には1959年の地元小学校近くに米軍機が墜落し、17人が死亡した悲惨な事故の記憶がある。第2は、それを全市の自治会を中心として地域全体の反対運動へと広げていったこと。第3には、自衛隊の動きの是非ではなく住環境を脅かす問題として、保革を超えた運動となり県民多数の共感を得たことだ。また、議会や行政への働きかけを精力的に行い防衛省への圧力を強めたことに加え、マスコミが問題を丁寧に拾い上げ全県に発信してくれたことも大きい。岸田政権が大軍拡に突き進む中で、このうるま市の闘いが現状を変えるターニングポイントになればと願っている。
世論で政治動く 又吉 朝香さん
記者5年目で今、うるま市の担当をしている。「陸自、うるまに訓練場」の一報があって以降、どんな思いで、どんな報道をしてきたかを話したい。木原防衛相の撤回表明に至る4カ月弱の間、活動家だけでなく幅広く一般市民の声を紙面に反映させることを心がけ取材してきたが、中でもとても印象に残ったのが、2月に防衛省が開いた住民説明会で質問に立った高校1年の女子生徒。静かな住環境が脅かされるのではないか、小学生が登校するのに使う小道を自衛隊車両が通行して安全なのかと、中学時代の「公民」の教科書を持ち込んで「憲法に反するのではないか」と問い詰めた。その勇気と問題意識の高さ、事態を「自分事」として捉えていることに感心した。当初は賛否を明らかにしていなかった市長や自民党県連などが反対に転じたのも、選挙を控え世論を気にしたから、つまり自分事として考えたからではないか。この取材を通じて「市民の声で政治は動かせるんだ」と実感した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年6月25日号