2024年08月15日

【24緑陰図書―私のおすすめ】同調圧力社会を一蹴する絵本=宮崎 園子(広島在住ジャーナリスト・元朝日新聞)

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 何かを批判・批評したら「悪口」や「攻撃」と取られる時代。都知事選でも、現職を批判する蓮舫氏が、テレビのコメンテーターから「こわい」の大合唱を浴びせられていた。

 6月、小学校の娘の学級懇談に行った。担任が教育方針について「友達同士マイナスなことを言わないよう呼びかけている」と言った。何を言うにもポジティブにと。はて。

 次第に広がる社会生活の中で、何かの不正や権利侵害に直面する場面にきっと遭遇する。そんなとき、わが子は笑って流さず、毅然と「それはおかしい」と言えるだろう
か。
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 親としてモヤっていた頃、書店である絵本が目に留まり、娘のために購入した。『わたしは反対!社会をかえたアメリカ最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ』(子どもの未来社)だ。
 ご存じRBGの人生を幼少期から描いた本。彼女の主張の数々が大きく目に飛び込むようなデザインに特徴がある。「男女でわけるのはおかしい」「ちがう意見をもってるから?そのとおり。」など。とにかく痛快。娘の担任なら「別の表現に変えましょう」と言いそうだ。
 批判や批評を嫌う、議論なき同調圧力社会。一記者として悩む時に反芻する言葉ある。ニュースメディアというのは、空気の温度を調整するエアコンディショナーであるべきだ」。2016年に51歳で亡くなった元ニューズウィーク日本版編集長、竹田圭吾さんのものだ。熱い時は冷まし、冷めていたら熱するのだと。

 『コメントする力 情報を収集×発信する技術』(PHP)は、コメンテーターとして、ネットの情報大洪水に接する際のハウツーや、記者としての哲学を記した内容。「情報は疑う」「物事はすべからくグレーと考える」と。2013年の本だが内容は古びていない。新聞社を辞め、書くだけでなく喋ることも増えた私。世の中をしっかり見渡し、おかしいことはおかしいと言い続けたい。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする