2024年09月23日
【支部リポート】北九州 岐路に立つエイズ対策 国際AIDS会議を取材=久田ゆかり、杉山正隆
「人を第一に考えよう」(Put people first!)をテーマに、第25回「国際エイズ会議」(AIDS2024)が7月22日から26日まで南ドイツ最大都市、ミュンヘンで開かれ世界100か国以上から約2万人が参加した=写真=。北九州支部は感染症対策にも力を入れており現地で取材。国連首脳がエイズ対策は「岐路に立っている」と対策強化を呼びかけ、開催国ドイツのショルツ首相も「2030年までにエイズの流行を終わらせるという目標に向けて協力しよう」と国際社会にさらなる取り組みを訴えた。
市民が自由に参加し感染者らと交流する「グローバル・ビレッジ」では子どもたち・学生らの姿も。問題解決のための「鍵」と位置付けられる性的少数者LGBTIQ+らへの支援の輪が広がったほか、特許により高騰している薬剤問題などでデモや抗議活動が繰り広げられた。
子どもたちへの支援が不十分で今後も危機的状況が続くとの発表が相次いだ。国連エイズ計画(UNAIDs)のビヤニマ事務局長兼国連事務次長は、エイズ終結を確実なものにするため十分な予算を確保するとともに、差別や偏見に満ちた有害な法律を改廃し「正義のために立ち上がる」よう、指導者たちに呼びかけた。
UNAIDs(国連エイズ計画)は年次報告書「Global AIDS UPDATE 2024」を発表。タイトルは「The Urgency of Now: AIDS at a Crossroads(今まさに緊急事態:岐路に立つエイズ)」。各国が国連の場などで正式に約束した「2030年までにエイズを終結に導く」ことは可能だとしたうえで、「HIV対策に必要な資金を確保し、全ての人の人権が守られることを保障できた場合に限られる」と釘を刺した。
会議はA基礎科学、B臨床科学、C疫学と予防科学、D社会科学と行動科学、E実装科学・経済・システムと相乗効果、F政治科学・法律・倫理・政策と人権が柱。演題数は2500を超えた。
ジャーナリストも数百人が取材し、7例目となったエイズの完治症例や6カ月に1度服薬すれば予防ができる画期的な薬剤について等、大きく報道された。日本人記者の姿は見られず、日本での報道はごく一部に限られた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年8月25日号