関東大震災当時、朝鮮人や中国人が民衆に虐殺されてから101年。一市民の建てた慰霊碑のある横浜市の保土谷墓地で、9月7日に犠牲者追悼会が開かれた。
毎年、この追悼会では、実行委員による朗読劇が行われてきた。今年は新しく発見された資料に基づく「呼びかけ」が、それにあたる。
新資料は神奈川県知事から内務省にあてた公文書だ。虐殺された現場名や、犠牲者の特徴が記され、「呼びかけ」は追悼集会の実行委員たちにより一人ずつ読み上げられる。
「南太田町一九一二先、電車軌道内、2名虐殺される。氏名不詳」と、無機的に読み上げられる犠牲者の情報には、土工風などと犠牲者の風体も記されているが、名前は不明だ。
朗読劇の後に黙祷。引き続き、゙和仙氏が追悼の舞を舞い、神奈川朝鮮中高級学校中級部の生徒がアリランを歌った。
追悼会実行委員会の山本すみ子共同代表は主催者挨拶で、犠牲者には朝鮮半島に遺族がいるはずだから、調査を進めて犠牲者の名前を明らかにしたいと語った。
参加者スピーチは福島瑞穂参議院議員、弁護士の櫻井みぎわさん、ラッパーのFUNIさん。震災時の虐殺についての公文書が政府部内に存在しているか、再三国会で追及している福島議員は、戒厳令を発して民衆の不安を煽った当時の日本政府の責任と民衆の責任を共に追及しなければと強調した。
最後に、追悼会からの発信として、横浜市長に宛てたメッセージを採択した。
メッセージは、⓵関東大震災時虐殺の真相究明のための努力A神奈川追悼会への市長の出席または追悼文の送付B事実を記憶し教訓を継承するための追悼碑の建立C差別のない共生社会を築くための包括的差別禁止条例の制定を求めている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年9月25日号