2024年11月10日
【支部リポート】東海 市民監視訴訟が確定 闘いはこれからだ=丹原美保
【岐阜県が上告断念】岐阜県は10月2日、警察の大垣市民監視違憲訴訟判決への上告断念を公表した。これにより、大垣警察警備課(公安警察)の個人情報収集・保有・提供を違法とし、損害賠償と個人情報の抹消を認容した名古屋高裁判決が確定した。
公安警察が市民を監視し、知らぬ間に個人情報が収集・保有され、その結果市民活動が抑圧されることは、民主主義国家ではあってはならない。原告側の言い分がほとんど認められた判決の確定は、胸のすく思いだ。
【経緯と争点】大垣警察市民監視違憲訴訟は、大垣警察警備課が風力発電施設の勉強会を開いた地元市民4名の個人情報を収集、保有し、風力発電事業の事業主を大垣警察署に呼んで情報提供していた事件だ。
市民側は、大垣警察警備課の行為をプライバシー侵害等の違憲・違法行為と主張。警察側(岐阜県)は警察法をたてに、個人情報の収集等を通常業務と主張した。
一審の岐阜地裁は、情報提供は違法としたが、情報収集は適法とし、岐阜県警が保有する個人情報の抹消については、「情報が特定されていない」として請求を却下していた。名古屋高裁は、提供の違法性を認めた部分以外は「警察の通常業務」であり、問題ないとした岐阜地裁の判断をほぼ覆した。原告の請求を全面的に認めた判決に市民は喜びに沸いた=写真=。
【判決の画期性】判決が従来にない極めて画期的なものと注目されるのは@市民活動はむしろ推奨されるべきものとした点と、A警察庁高官が国会で「通常の業務」と答弁した公安警察の情報収集活動等を断罪した点にあると言えよう。
【今後の課題】だが、@市民への謝罪はあるのか。A公安警察の「個人情報は抹消しました」の一言で済ませてよいのか。弁護団と原告側は、抹消の確認方法を含め協議していく。B公安警察活動の法的規制をどうするかの検討も必要だ。
山田秀樹弁護団長を迎えての報告会は11月9日(土)午後2時から、大垣市スイトピアセンター学習館かがやきで開かれる。市民の権利を守る闘いはこれからが、正念場だ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年10月25日号