2024年12月18日
【沖縄シンポ@】沖縄・琉球弧の声を届ける会連続講座 地域間での連携・行動を確認 石垣島で初の開催=米倉外昭(JCJ沖縄)
「沖縄・琉球弧の声を届ける会」の第5回連続講座=写真=が10月27日、石垣島で開かれた。これまで4回は那覇市で開かれており、今回初めて離島で開催された。新たに自衛隊基地ができたことで激変する地域の実状や環境問題について各地からの報告や専門家の提言などが行われた。「島の中でも温度差があり、小さな島も日本の縮図である」との指摘もあり、地域間で連携し行動し続けることを確認した。
シンポは、石垣駐屯地に隣接して暮らす嶺井善おもと公民館長、与那国島で畜産を営む小嶺博泉さん、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の上里清美共同代表が、それぞれ現地の状況を報告に続いて、砂川かおり沖縄国際大准教授が基調講演した。
嶺井さんは、沖縄戦の後、両親が玉城村(現南城市)から計画移民として開拓に入り、厳しい生活を営んできた歴史を振り返った。「自分たちは自然に生かされている。未来の人たちにいい形で残していくよう努力したい」と結んだ。
上里さんは、自衛隊駐屯地や訓練場が次々に建設される中で、家賃・地価、物価の高騰で住みにくい島となったと訴えた。今後、下地島空港の軍事利用が大きな問題になると話した。
元町議の小嶺さんは「国境の島に住民がいることが(振興策を得るための)外交カードだったが、駐屯地ができてカードがなくなった」と話した。
住民生活にリスク 環境アセスそのものに欠陥
砂川准教授は「南西諸島の軍事要塞化に係る環境アセスメントの課題」と題して語った。
自衛隊施設に対して、環境アセスだけでなく火薬取締法などでも規制が弱いと指摘し、住民生活へのさまざまなリスクを解説した。そして、環境アセスの年間実施数が、米国が3万〜5万件であるのに対し、日本は20〜100件と極端に少なく、累積影響を導入していないなど、制度そのものに欠陥があると強調した。
そして、市民がお金を集めて土地を買い取り保全するナショナル・トラストや、条例で「自主アセス」を規定するなど8項目の提言を行った。討論では、小嶺さんが「攻められたらどうするんだ、とよく言われるが、抑止力はハードにハードだ。最後は原爆だとなって何の解決にもならない。ハードに対してソフトで行くべきだ」と訴えた。
国民保護計画の説明会や避難訓練の様子についての質問には「避難なんてできないとみんな思っている」「市の担当者も困っている」などの説明があった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年11月25日号