昨年12月22日、沖縄県の沖縄市民会館大ホールで「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会」が開催された。
23年12月に起きた、16歳未満の少女が米兵に誘拐され性的暴行を受けた事件から1年、政府と司法当局の半年間の隠ぺい後に発覚してから半年で、年末の寒い時期に屋内開催となった。2500人超が集まり、宮古島市、石垣市、名護市のサテライト会場から大会を見守る人や、オンライン参加もあった。呼応して東京、大阪でも集会やデモ行進が行われた。
大会決議では@被害者への謝罪と丁寧な精神的ケアおよび完全な補償を行うこと、A被害者のプライバシーの保護と二次被害の防止を徹底すること、B事件発生時の県・市町村など自治体への速やかな情報提供を確実に行うこと、C米軍構成員などを特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと――の4項目を要求した。
今回は、過去の県民大会以上に若者の発言が重みを持って受け止められた。
東京の大学に通う崎浜空音さんは「東京にいて、米兵に襲われることを恐れたことは一度もなかった」と沖縄の日常の異常性を訴えた。そして、16年に、米軍属による女性暴行殺人事件に抗議する県民大会に参加したことを振り返り「また数年後に中高生の子たちをここに立たせてしまうのか。これで最後の大会にしたい」と訴えた。
沖縄平和ゼミナールの高校生たちのメッセージも、高校生自身の声で会場に流された。「繰り返される米軍の犯罪をいつまで見過ごすのですか」と日本政府の不作為を糾弾し、「誰かの犠牲によって成り立つ平和は本当の平和ではない」と訴えた。
1995年の女子小学生が被害にあった事件で県民大会があってから30年になろうとしているのに、変わらない現状を訴える発言も多く、世代を超えた怒りと悔しさが共有された。
今回、21の女性団体が加盟する女団協(県女性団体連絡協議会)が再三、県議会に県民大会開催要請をしたが、自民会派などは「県議会として全会一致で決議し政府・米軍に抗議と要請をしたことで役割を果たした」と応じなかった。結局、女性団体主導で148の賛同団体による実行委員会主催の開催となった。
大会の9日前には、米兵の刑事裁判の一審判決があった。被告の米兵は少女が18歳だと思っていたとして無罪を主張していたが、懲役5年(求刑7年)が言い渡された。被告はすぐ控訴した。日米両政府も謝罪をしていない。
大会からわずか17日後の1月8日、不同意性交致傷疑いで米海兵隊員が書類送検された。事件は昨年11月に起きていた。県民は再び衝撃を受けている。
一連の米兵事件も県民大会も、全国的な報道は弱い。主要メディアには、悲劇が繰り返された責任は、沖縄に米軍基地を押し付けている日本全体にあるという認識が乏しいと言わざるを得ない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年1月25日号